語彙論について 語彙論は言語研究の新たな地平を開いてきた。日本では1950年代以降である。国語学の音韻、語彙、文法に対して、あえて三分野を対応させると、言語学では音声科学、文法、意味論となる。日本語教育では音声音韻、文法文体、語彙意味と分けた。必ずしも、国語、日本語研究、日本語教育研究がその研究範囲を取ってこの分野に収束しているものではないが、日本語語彙論は定着してきた。
語彙論の関連分野に、意味論、語句論、語源論を、ウイキペディアは上げている。語彙を扱う言語学の部門としながら、近接する分野は辞書学であるとだけ、説明をそれ以上、載せない。したがって、意味論のうち、対義語、類義語といった語義の関連を対象とする分野は語彙意味論と呼ばれる、といったように、その記述についてはこれからのもののようである。
シリーズの朝倉日本語講座 4 、語彙・意味、において、研究史を章に立てている。その12章、語彙研究史によれば、次のようである。 12.1 「語彙」の用語 12.2 語彙とは何か,語彙の要素 12.3 語彙における体系と集合 12.4 戦前の語彙調査(理解語彙・国語教科書の語彙調査・基本語彙) 12.5 語彙の計量的研究 12.6 意味の側面からの語彙研究 12.7 語種構造の研究 12.8 品詞別構成の研究 12.9 語構成論 12.10 国語辞典
次は、台湾文藻外語学院、現代日本語の語彙論とその課題、2008年5月3日の資料プリントである。斉藤倫明氏による。
>言語単位との関わりから見た研究分野
語(=語彙素)は語彙論と文法論とを繋ぐ存在である。
語の集合が語彙であり、語彙とその元である語の特質とを研究するのが語彙論である
語彙論で研究する語の特質は、文法的特質以外の語彙的特質であり、それは特に語彙の中で発揮される。
語は文を構成する単位であり文法論の対象でもある。
文法論には、大きく品詞論と統語論とがあり、前者が語の文法的特質(=語が文を構成する際に直接関わる特質)を研究するのに対し、後者は語が具体的に文を構成する有り様を研究する。