シングルイシューを2紙が取り上げた。トップの見出しを掲げる。20140115中日新聞のトップ記事である。見出しには、「脱原発」元首相タッグ 細川氏出馬、小泉氏が全面支援 と見える。リードには、東京都知事選(二十三日告示、二月九日開票)で、細川護熙元首相(七六)が一四日、記者団に「立候補する決断をした」と出馬を正式表明し、「原発ゼロ」の方針で一致する小泉純一郎元首相(七二)全面支援を約束した、とある。記事には、都知事選、舛添氏も表明 また中見出しに、小泉流サプライズ とある。朝日新聞は、脱原発 首都で問う 細川元首相出馬 小泉氏が支援 都知事選 とあり、舛添氏も立候補 とある。この記事の下には、トヨタ 2年連続世界一 昨年販売台数 米国・中国で好調 とある。2紙に共通の都知事選、元首相出馬のニュースはやはりビッグニュースなのだろう。天声人語でも取り上げている。
(天声人語)原発考える好機になる
2014年1月15日05時00分
> さしずめ〈筆(ふで)を投(とう)じて戎軒(じゅうけん)を事(こと)とす〉の心境だろうか。戎軒とは戦車のこと、あるいは戦(いくさ)のこと。唐詩選にある有名な「述懐(じゅっかい)」を、細川護熙氏はかつて自著に引いて、「天下を争う戦いに、筆を投げ捨てて乗り出した」という訳を添えた▼政界を退き、詩、書、画、陶芸を心の友として過ごしてきた元首相が一転、東京都知事選に立候補する。それを、やはり首相経験者の小泉純一郎氏が応援する。掲げる旗印は「脱原発」。驚きの展開である▼エネルギーや原発政策は国策であり、首長選にそぐわないという議論はある。しかし、都知事選で光を当てることの意味は大きい。福島の事故の後に行われた一昨年の衆院選でも去年の参院選でも原発の扱いをめぐる論戦はかすんでいた▼都は並の自治体とは違う。最大の電力消費地であり、エネルギー問題の当事者にほかならない。立地の危険を地方に引き受けてもらって傍観しているわけにはいかない。今回、都民はわがこととして熟考するまたとない機会を得る▼都民だけの問題でもない。私たちの日本は未来の子孫に何を残すのか。世代を超える難題が永田町の政党政治は苦手だ。民主主義にはデモも住民投票も必要だし、地方政治も一翼を担う。首都という大舞台での論争なら、全国民の注目が集まろう▼先の「述懐」は〈功名(こうめい) 誰(たれ)か復(ま)た論(ろん)ぜんや〉と結ばれる。手柄を立てて有名になりたいなどと、だれが思うだろうか、と。勝敗はともかく、候補者同士の無私の論戦を切に望む。
(天声人語)原発考える好機になる
2014年1月15日05時00分
> さしずめ〈筆(ふで)を投(とう)じて戎軒(じゅうけん)を事(こと)とす〉の心境だろうか。戎軒とは戦車のこと、あるいは戦(いくさ)のこと。唐詩選にある有名な「述懐(じゅっかい)」を、細川護熙氏はかつて自著に引いて、「天下を争う戦いに、筆を投げ捨てて乗り出した」という訳を添えた▼政界を退き、詩、書、画、陶芸を心の友として過ごしてきた元首相が一転、東京都知事選に立候補する。それを、やはり首相経験者の小泉純一郎氏が応援する。掲げる旗印は「脱原発」。驚きの展開である▼エネルギーや原発政策は国策であり、首長選にそぐわないという議論はある。しかし、都知事選で光を当てることの意味は大きい。福島の事故の後に行われた一昨年の衆院選でも去年の参院選でも原発の扱いをめぐる論戦はかすんでいた▼都は並の自治体とは違う。最大の電力消費地であり、エネルギー問題の当事者にほかならない。立地の危険を地方に引き受けてもらって傍観しているわけにはいかない。今回、都民はわがこととして熟考するまたとない機会を得る▼都民だけの問題でもない。私たちの日本は未来の子孫に何を残すのか。世代を超える難題が永田町の政党政治は苦手だ。民主主義にはデモも住民投票も必要だし、地方政治も一翼を担う。首都という大舞台での論争なら、全国民の注目が集まろう▼先の「述懐」は〈功名(こうめい) 誰(たれ)か復(ま)た論(ろん)ぜんや〉と結ばれる。手柄を立てて有名になりたいなどと、だれが思うだろうか、と。勝敗はともかく、候補者同士の無私の論戦を切に望む。