源氏物語のシーン scene は、物語の展開にあらわされる。作者の用意に想像力の豊かさに物語がある。物語の創造は想像の作品となる。作り物語である。フィクションにおいて場面があらわすものは物語テーマでもある。そのシーンにおいて印象にあるものは、次の1場面である。
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/text12.html
>
原文
沖より舟どもの歌ひののしりて漕ぎ行くなども聞こゆ。ほのかに、ただ小さき鳥の浮かべると見やらるるも、心細げなるに、雁の連ねて鳴く声、楫の音にまがへるを、うち眺めたまひて、涙こぼるるをかき払ひたまへる御手つき、黒き御数珠に映えたまへる、故郷の女恋しき人びと、心みな慰みにけり。
「初雁は恋しき人の列なれや
旅の空飛ぶ声の悲しき」
とのたまへば、良清、
「かきつらね昔のことぞ思ほゆる
雁はその世の友ならねども」
民部大輔、
「心から常世を捨てて鳴く雁を
雲のよそにも思ひけるかな」
前右近将督、
「常世出でて旅の空なる雁がねも
列に遅れぬほどぞ慰む
友まどはしては、いかにはべらまし」
と言ふ。親の常陸になりて、下りしにも誘はれで、参れるなりけり。下には思ひくだくべかめれど、ほこりかにもてなして、つれなきさまにしありく。
現代語訳
沖の方をいくつもの舟が大声で歌いながら漕いで行くのが聞こえてくる。かすかに、まるで小さい鳥が浮かんでいるように遠く見えるのも、頼りなさそうなところに、雁が列をつくって鳴く声、楫の音に似て聞こえるのを、物思いに耽りながら御覧になって、涙がこぼれるのを袖でお払いなさるお手つき、黒い数珠に映えていらっしゃるお美しさは、故郷の女性を恋しがっている人々の、心がすっかり慰めてしまったのであった。
「初雁は恋しい人の仲間なのだろうか
旅の空を飛んで行く声が悲しく聞こえる」
とお詠みになると、良清、
「次々と昔の事が懐かしく思い出されます
雁は昔からの友達であったわけではないのだが」
民部大輔、
「自分から常世を捨てて旅の空に鳴いて行く雁を
ひとごとのように思っていたことよ」
前右近将監、
「常世を出て旅の空にいる雁も
仲間に外れないでいるあいだは心も慰みましょう
道にはぐれては、どんなに心細いでしょう」
と言う。親が常陸介になって、下ったのにも同行しないで、お供して参ったのであった。心中では悔しい思いをしているようであるが、うわべは元気よくして、何でもないように振る舞っている。
>朝ぼらけの空に雁連れて渡る。主人の君、
「故郷をいづれの春か行きて見む
うらやましきは帰る雁がね」
宰相、さらに立ち出でむ心地せで、
「あかなくに雁の常世を立ち別れ
花の都に道や惑はむ」
デジタル大辞泉
シーン
1.映画や芝居の場面。転じて、事件や小説の場面。 「ラスト―」
2.光景。風景。
シーン - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/シーン
>
映画では1秒間に24個のフィルムのコマ(フィルムフレーム)があり、最小単位からいえば、コマ→ショット→シーン→シークエンス→1本の映画となる。
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%B3
ニコニコ大百科
>
元々ギリシャ語の「skēnē」が語源であり、これは「裏方」「天幕」「舞台」などを意味した。
現在の英単語「scene」ではさらに「場面」「舞台背景」「事件現場」「光景」「景色」「眺望」「業界」「分野」などの意味も付会した。
そこから転じて、俗に「特定の時代」「特定の状態」を現し世を演劇になぞらえて指すこともある。
映像業界では、収録の際の台本上での区切りから「ある一連の場面」を指す。
現代ではそれが拡大解釈され「ある一連の作品の特定の時間帯(に起こったこと)」を示す。
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/text12.html
>
原文
沖より舟どもの歌ひののしりて漕ぎ行くなども聞こゆ。ほのかに、ただ小さき鳥の浮かべると見やらるるも、心細げなるに、雁の連ねて鳴く声、楫の音にまがへるを、うち眺めたまひて、涙こぼるるをかき払ひたまへる御手つき、黒き御数珠に映えたまへる、故郷の女恋しき人びと、心みな慰みにけり。
「初雁は恋しき人の列なれや
旅の空飛ぶ声の悲しき」
とのたまへば、良清、
「かきつらね昔のことぞ思ほゆる
雁はその世の友ならねども」
民部大輔、
「心から常世を捨てて鳴く雁を
雲のよそにも思ひけるかな」
前右近将督、
「常世出でて旅の空なる雁がねも
列に遅れぬほどぞ慰む
友まどはしては、いかにはべらまし」
と言ふ。親の常陸になりて、下りしにも誘はれで、参れるなりけり。下には思ひくだくべかめれど、ほこりかにもてなして、つれなきさまにしありく。
現代語訳
沖の方をいくつもの舟が大声で歌いながら漕いで行くのが聞こえてくる。かすかに、まるで小さい鳥が浮かんでいるように遠く見えるのも、頼りなさそうなところに、雁が列をつくって鳴く声、楫の音に似て聞こえるのを、物思いに耽りながら御覧になって、涙がこぼれるのを袖でお払いなさるお手つき、黒い数珠に映えていらっしゃるお美しさは、故郷の女性を恋しがっている人々の、心がすっかり慰めてしまったのであった。
「初雁は恋しい人の仲間なのだろうか
旅の空を飛んで行く声が悲しく聞こえる」
とお詠みになると、良清、
「次々と昔の事が懐かしく思い出されます
雁は昔からの友達であったわけではないのだが」
民部大輔、
「自分から常世を捨てて旅の空に鳴いて行く雁を
ひとごとのように思っていたことよ」
前右近将監、
「常世を出て旅の空にいる雁も
仲間に外れないでいるあいだは心も慰みましょう
道にはぐれては、どんなに心細いでしょう」
と言う。親が常陸介になって、下ったのにも同行しないで、お供して参ったのであった。心中では悔しい思いをしているようであるが、うわべは元気よくして、何でもないように振る舞っている。
>朝ぼらけの空に雁連れて渡る。主人の君、
「故郷をいづれの春か行きて見む
うらやましきは帰る雁がね」
宰相、さらに立ち出でむ心地せで、
「あかなくに雁の常世を立ち別れ
花の都に道や惑はむ」
デジタル大辞泉
シーン
1.映画や芝居の場面。転じて、事件や小説の場面。 「ラスト―」
2.光景。風景。
シーン - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/シーン
>
映画では1秒間に24個のフィルムのコマ(フィルムフレーム)があり、最小単位からいえば、コマ→ショット→シーン→シークエンス→1本の映画となる。
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%B3
ニコニコ大百科
>
元々ギリシャ語の「skēnē」が語源であり、これは「裏方」「天幕」「舞台」などを意味した。
現在の英単語「scene」ではさらに「場面」「舞台背景」「事件現場」「光景」「景色」「眺望」「業界」「分野」などの意味も付会した。
そこから転じて、俗に「特定の時代」「特定の状態」を現し世を演劇になぞらえて指すこともある。
映像業界では、収録の際の台本上での区切りから「ある一連の場面」を指す。
現代ではそれが拡大解釈され「ある一連の作品の特定の時間帯(に起こったこと)」を示す。