現代日本語百科   けふも  お元気ですか

gooブログはじめました!日本語百科です。
現代日本語百科 ⓒ2013gooksky

人走茶涼

2021-03-10 | 新語・社会現象語

会議中、お茶を飲むための蓋付き茶碗が、なぜか2つも置かれている、という、中国全人代の記事。日経新聞の中国、習政権ウオッチである。ニュース報道の映像で、机上の様子を見たので、なぜかと思っていたが、その解説記事があった。よくわかった。それにしても小細工めいた話にも見える、聞こえる。中国に関して論評するのが難しくなって、こういう秀逸には参考になる。

>首相の李克強(リー・クォーチャン)ら他6人の最高指導部メンバーの前には1つだけである。開幕式がある人民大会堂の本会議場ばかりではなく、習が出席するどの部屋の会議も同じだ。習だけ2つ。一目瞭然である。しかも2つの茶碗は蓋の突起を含めて他と微妙に違う特別仕様に見える。

もろもろの憶測めいたことになるが、それでも、強権を維持し続ける意図である。
4字熟語、人走茶涼、それを紹介して、その成句の意味がある、「人が去れば、出されていた茶も冷めてしまう」という意味だ、という。2015年夏、共産党機関紙、人民日報が「『人走茶涼』を考察する」と題した文章というのがあったそうで、そうすると、この語を知れば、これは意図するところが浮かび上がるというわけである。

>こんな予備知識をもって2つに増えた習近平の茶碗を観察するとどうだろう。「権力者は職にとどまり、お茶も温かいままだ。冷めない蓋付き茶碗で2杯目が用意されているのだから」。目の前に座った代表らにそんなメッセージを送っているように見える。
1杯目は習が苛烈な「反腐敗」運動で権力を固めた12~22年の任期。2杯目は重要人事がある22年共産党大会以降、習が最高指導者として続投する方向性を暗示している。そう考えることもできる。

というわけだ。何とも言い難い。続けて観測するのは、その取り巻きの様子。

>では習の頭の中にある構想は、どの程度の任期延長を思い描いているのか。22~27年までの5年だけなのか、それとも32年までの10年なのか、いや、事実上の「終身の主席」をめざすのか。代表らは、2つに増えた茶碗から思いを巡らせることになる。

実は全人代では6年ほど前から習の茶碗だけを見守る鋭い視線の男性監視要員が配置され、その後、習の世話だけをする専用スタッフが登場した。当初は女性だったが男性に変わった。今回の変更も不測の事態に備えて身辺を守る保安対策、コロナを含めた健康対策に関係している可能性はある。

この記事で興味深いのは、中沢氏の筆鋒にあるだけでなく、掲載写真がそれぞれに、場面をリアルにする。

分科会でも習近平国家主席の前だけ茶碗が2つ置かれている(5日の全人代内モンゴル自治区分科会、国営中央テレビの画面から)
李克強首相の前の茶碗は1つだけ(6日の全人代広西チワン族自治区分科会で、国営中央テレビ画面から)
習近平国家主席(左)だけは前に茶碗が2つ置かれ、李克強首相らとの違いが際立っている(5日の全人代開幕式)=共同
習近平国家主席(中央)の前に置かれた2つの茶碗と、ポットを手にする男性スタッフ(5日、北京の人民大会堂で)=ロイター


https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK072980X00C21A3000000/
茶碗が2つに増えた習近平氏、目標隠しの深謀と苦慮
編集委員 中沢克二
習政権ウオッチ
2021年3月10日


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。