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じわじわびしょびしょ

2013-09-26 | 日本語どうなるの?
天使人語が書いた。擬音語、擬態語は厄介であると。それは文学表現にして、俗に堕すというわけだ。不用意に使うと、とあるが、用意して使うものは文学表現だから、この言いには異論も出そうだ。きんきん、サクサク、ざっくり、ほっこり、うるうる。どれもこれも、聞いてすぐにイメージがわけばオノマトペである。日本語表現としてわかるという限定つきだが、奇をてらったり意に反するというものではない。パソコンを使ってサクサク動くのはページに移り変わることなのか、フリーズすることなく、検索が早くてそう思わせるのか。いまだにわからないところでもある。

何よりもこの国語の調査はいとすることはなんであろう。市民権を得た言葉さがしか、民衆が忘れ行く日本語を憂えるのか。サクサクが野菜食べ物の擬音から、マージャンを囲んでの擬態擬音なのか、これは漫画にあるらしい、果ては機械の使用を表す擬情語のような使い方をする時代だ。

サクサクはサッサとすると聞けば、なるほどと思ったりもする。サクサク(さくさく) - 日本語俗語辞書によれば、次のようである。
>雪の中を歩く音を表す擬音語として鎌倉時代の書物には既に登場している。この擬音語の動作には軽快なものが多いが、前述の意味と直接関連性があるかは不明。ちなみにすばやく行動するといった意味では江戸時代の賭場用語としての記録が古い。サイコロ賭博をテンポよく進めるため、サイコロを振ったあとに「さあ入った。サクサク張ってくれ」といったセリフで使われる。


天声人語より。
>向田邦子が短編「だらだら坂」で、登場する女性の泣き顔を形容して書いている。「小さなドブから水が溢(あふ)れるように、ジワジワビショビショと涙が溢れた」。2つの擬態語をつないだことでパンチ力を持ち、並の女性の顔とは違うのだという雰囲気を醸し出している。

▼擬音語・擬態語のたぐいは厄介である。手垢(てあか)がついたものを不用意に使うと俗に堕す。賞味期限も短い。だから森鴎外や三島由紀夫は嫌った。一方で、ツボにはまれば鮮やかで意外でもある。「白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる」(俵万智)。散文より詩歌こそが腕の見せどころといえるかもしれない。

▼近年よく使われるようになった5つの擬態語を文化庁の「国語に関する世論調査」が取り上げた。「きんきんに冷えたビール」「パソコンがさくさく動く」「ざっくりとした説明」「気持ちがほっこりする」「うるうるとした瞳」。こう並べているだけで少し気恥ずかしいのは、もう陳腐の影が忍び寄っているからだろう。

▼事実、「さくさく」をこうした文脈で使うのを聞いたことがある人は38%だが、残り4つは70%を超えている。「うるうる」にいたっては85%だ。これでは涙顔に「うるうる」と書く気がしない。とはいえ、どんな顔を目にしたところで「ジワジワビショビショ」と思いつくはずもない。日本語はまったく難しく、面白い。

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