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なご月

2023-09-03 | ほんとうのところは





  
    長月になってこの月はどうして長いと表記するのか、陰暦の名称には当て字表記が言葉の意味を変えているような話になる。夜が長い、夜長月が略されていると言われるが、ほんとうのところはどうなんだろう。日本国語大辞典の補注にはニッポニカ語源説を踏まえた解説が見える。また中古の和歌のやり取りに見える文字遊びを言うが、民間語源にちかい。

しかし、稲熟、稲刈 、穂長などが変化したとする言われには稲穂にかかわる季節の反映があり、陰暦7月、8月、9月と異称を唱えるのはおもしろい解釈である。そして9月は、なご月であったとするのは、実り、収穫になごむ月であるとするのと、それまでの、は月となったのは、穂月からであり、文月となると、穂含月か穂見月か、ほふみ、ほみ、というふうに。

ニッポニカより
>陰暦9月の異称。語源は明らかではないが、中古以来、夜がようやく長くなる月の意の夜長月の略称といわれてきた。稲熟 (いなあがり) 月、稲刈 (いなかり) 月、穂長月などが変化したものとする説もあり、近時では、9月は5月と並ぶ長雨の時季で「ながめ」とよぶ物忌みの月だからとする折口信夫 (おりくちしのぶ) の見解もある。この月は菊の花の盛りにあたるため菊月ともいい、また紅葉の季でもあるため紅葉 (もみじ) 月、木染 (きぞめ) 月などの称もあるほか、漢名では季秋、無射 (ぶえき) 、玄月 (げんげつ) などともいう。
[宇田敏彦]

>補注
語源は明らかでない。「拾遺‐雑下」に、「夜昼の数はみそぢにあまらぬをなど長月といひはじめけむ(五二二)」「秋深み恋する人のあかしかね夜を長月といふにやあるらん(五二三)」とした、伊衡と躬恒との問答の歌があり、また、夜がだんだん長くなるから「夜長月」というのを誤ったものだと、「奥義抄」にあるので、このような語源解が中古以来広く信じられていたことがわかる。ほかに、稲熟月(いなあがりつき)、稲刈月(いなかりづき)、穂長月(ほながづき)などの変化したものとする説もある。折口信夫によれば、五月と九月とは長雨の時季で、「ながめ」と称する物忌(ものいみ)の月だという。ちなみに、中古には、九月は婚姻や洗髪を忌む月とされていた。
日本国語大辞典より
>語源説
(1)イナカリツキ(稲刈月)の略〔語意考・兎園小説外集・百草露・日本語原学=林甕臣〕。イナアガリツキ(稲熟月)の約か〔古事記伝・大言海〕。ナガ(長)は稲の毎年実るを祝う意で、稲を刈り収める時であるところから〔嚶々筆語〕。
(2)ヨナガツキ(夜長月)の略〔奥義抄・和爾雅・日本釈名・類聚名物考・古今要覧稿・菊池俗言考・紫門和語類集〕。
(3)ナカは、ナガキヨ(長夜)の反ナコの転。またニハキク(庭菊)の反ナクの転。またナクマ(無隈)月の義。またナカは、ナラキバ(楢黄葉)の反〔名語記〕。
(4)ナコリノツキ(名残月)の略〔和語私臆鈔〕。








 
   
      




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