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六法、ひらがな書きに

2015-03-03 | 日本語あれこれ百科
六法、全てひらがな書きになる、法を定めて、110年、憲法の平仮名書きから60年余、日本語が変わる。法務省は商法改正案を来年の通常国会にも提出、商法改正で基本六法は全てひらがなに統一というニュースが流れた。すでに、刑法や民法などは文語体によるカタカナの条文が順次改正されてきている。商法は1899年、明治32年に制定、会社法を2005年に独立させたが、運送・海商法と呼ばれる部分は110年以上にわたり実質的に改正されてこなかったようである。刑法では、人ヲ欺罔(ぎもう)シテ財物ヲ騙取(へんしゅ)シタル者ハ とあった条文が、人を欺いて財物を交付させた者は、というふうになったと、春秋は引いている。こういうのも、偶然ノ輸贏(ゆえい)ニ関シ財物ヲ以テ博戯(ばくぎ)又ハ賭事ヲ為シタル者ハ というのは、賭博をした者は となったそうである。

日経春秋20150303より。
>「人ヲ欺罔(ぎもう)シテ財物ヲ騙取(へんしゅ)シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス」。なんだこりゃ? と首をひねる人がたくさんいそうだが、20年前まで使われていた刑法の条文のひとつだ。改正後は「人を欺いて財物を交付させた者は……」とスッキリした。つまり詐欺罪のことである。
 古くは明治時代に誕生した多くの法律の文語体カタカナ書きは、現代語化に手間がかかるため戦後までしっかり命脈を保ってきた。さすがに近年は刑法や民法の改正が進み、基本六法で残るのは商法の一部のみだ。後半から唐突に文語体の難しい条文が現れるこの法律を、法務省はようやく全編現代語に改める方針という。
 日常あまりなじみのない表現を法律に残しておく必要はないから、もっともな話だろう。ただし文語文というものには、ふだんの言い回しにはない味がある。たとえば聖書の警句「人の生くるはパンのみに由(よ)るにあらず」など文語ゆえにじつに重々しい。「人はパンだけで生きるのではない」だとちょっと迫力不足だろう。
 かつて法律をつくった先人たちも、そんな重厚さによほどこだわったに違いない。「偶然ノ輸贏(ゆえい)ニ関シ財物ヲ以テ博戯(ばくぎ)又ハ賭事ヲ為シタル者ハ……」。刑法のなかでもとりわけ難解な条文だったが、なんのことはない。改正後は「賭博をした者は……」の一言だ。六法全書から消えゆく「時代」が、少しいとおしくもある。


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