素読について、どの程度、行われていたか。
第一部 日本文化と漢字・漢文 第四章 漢文訓読について に、それを言及する。
漢文訓読を現代に活かすために 素読から文法理解へ には、藩校の学習内容で、書物名と対象年齢が引用されている。
そして、その一つ、明倫館の課業には小学生素読の試験で、五経十一冊と小学四冊を誤読遺忘なきようにというようなことであったと紹介している。
http://kambun.jp/izanai/04-22bunpo.htm
>
具体的にどの程度の素読が課されていたのか、宇野哲人・乙竹岩造・外著『藩学史談』(文松堂書店)の記事から見てみましょう。
津藩・有造館(三重県) 対象年齢 9歳~15歳
論語 孟子 詩経 書経 易経 礼記 春秋左氏伝 十八史略 史記 前後漢書 綱鑑易知録 資治通鑑 (同書12ページ参照)
仙台藩・養賢堂(宮城県) 対象年齢 8歳~三度落第したら退学
孝経 小学本註 四書集註 近思録 春秋胡氏伝 公羊伝 穀梁伝 周礼 太載記 (生徒の望みにより、史記 漢書 等も教授)(同書369ページ参照)
長州藩・明倫館(山口県) 対象年齢 8歳~14歳
孝経 大学 論語 孟子 中庸 詩経 書経 易経 春秋三伝 礼記 小学(同書181ページ、191ページ)
さて、このサイトの漢文訓読入門より、学習の文法としてt、摘記している。
サイトにはより詳しい説明があるので、そちらを参照いただきたく思う。
ここに記してお礼を申します。
読解のための漢文法入門
http://kambun.jp/izanai-index.htm#kanbunpo1
(9)述賓短語1 賓語(目的語)のいろいろ
(10)述賓短語2 形容詞の意動賓語
(11)述賓短語3 注意すべき賓語
(12)述賓短語4 比較の表現
(13)述賓短語5 謂詞・賓語の倒装
(14)双賓短語1 二重の目的語
(15)双賓短語2 第二賓語が処所賓語の場合
(16)聯合短語
述賓短語、形容詞の意動賓語について見るように、漢文では、形容詞は動詞の一部であり、形容詞も賓語を取る。
李佐豊氏、形容詞を状態動詞に含める。同氏著、古代漢語語法学、中国:商務印書館、131ページ。
意動賓語 時人両賢之。(蘇軾、司馬温公行状)
述賓短語の中に状中短語があるが、形容詞が賓語を取る場合、訓読では、○○とす、のように読みならわす。
意動賓語 爾安敢軽吾射。(欧陽脩、帰田録)
軽い という形容詞を、軽んずる と動詞的に訓読する。
時間賓語 吾不食三日。
状語のように見えるが、中国の漢文法の教科書で賓語としている。
楊伯峻・何楽士 古漢語語法及其発展、中国:語文出版社、547ページ
処所賓語 吾居東京。
東京は場所を表す賓語、処所詞である。
比較は介詞や副詞により示され、形容詞の賓語が比較の対象を示す場合。
苛政猛於虎。賓語の前に介詞、於 をもって、対象をしめす。
幼安与文与可遊、如兄弟。(蘇軾、石氏画苑記)
一つの主語に対していくつかの謂語がある、複句。
謂語は並列の関係、聯合短語になる。
※漢文の句(sentence)は、このような階層構造になっているものが多く
形容詞の前に、最 尤 など、副詞を謂詞の前に置いて最上級を表す。
其西南諸峰、林壑尤美。(欧陽脩、酔翁亭記)
主謂短語は、一つの句が短語となるもの。
林壑尤美。
述賓短語で賓語が代詞である場合に、賓語たる代詞が謂詞たる動詞の前に移る。
倒装が行われるのは、疑問代詞が賓語である場合、代詞が賓語となっている述賓短語の前に否定副詞がつく場合。
疑問代詞の倒装
雖有安禄山、亦何能為。(蘇軾『志林』)
疑問形容詞、何 が、名詞と結合、定中短語となる場合。
何驕之有。(蘇軾『志林』)
この倒装では助詞、之 が間に入り、之字は訓読では便宜上、これ と読んでいる。
之字が入るかどうかは、倒装が必須か否かの違いによる。
否定句における代詞の倒装
古之人不余欺也。(蘇軾、石鐘山記) 雖良医未之言也。(蘇軾、志林)
※双賓短語に関しては、廖振佑著『古代漢語特殊語法』(中国:内蒙古人民出版社)245ページ以下に多くの用例を載せていますから、参考にしてください。
動詞が二重の賓語、双賓語を取る場合、動詞と二つの賓語が双賓短語を形成する。
人をあらわす賓語が事物をあらわす賓語よりも後に置かれる場合は、人を表す賓語は介詞、於 を伴う。
或問之年。
人を表す賓語が代詞、之 である場合、事物を表す賓語よりも前に置かれる。
或問之以年。
或問年於三老人。
吾・・求之診。(蘇軾『志林』)
吾・・求之以診。
吾・・求診於医。
双賓短語、第二賓語が処所詞、場所を表す名詞場合。
語順の入れ替えや言い換えができない、つまり、第1賓語が人を表し、第2賓語が場所を表すという語順が固定されてしまう。
処所賓語は、介詞、於 を伴うこともできるし、 於 なしでもかまわない。
※松下大三郎著『標準漢文法』798ページを参照。
成王・・・立微子於宋。(蘇軾、志林)
僕送之江上。(蘇軾、志林)
聯合短語、別名を並列短語、同じ種類の詞や短語を並列させたものである。
夫風雨・霜露・寒暑之変、此疾之所由生也。(蘇軾、教戦守策)
風雨・霜露・寒暑 の名詞が並列されて、この三つをまとめた聯合短語の後ろに、之字がついている。
名詞、変 を修飾する定語となり、風雨・霜露・寒暑之変 全体で定中短語の之字短語になっている。
風雨・霜露・寒暑(聯合短語)
風雨・霜露・寒暑之(定語)→変
風雨・霜露・寒暑之変(定中短語=之字短語)
動詞、形容詞を含む、と、動詞性の短語が聯合短語を形成している場合。
匹夫見辱、抜剣而起、挺身而闘。(蘇軾、留公論)
動賓短語、抜剣 と、動詞、起 が並列され、また動賓短語、挺身 と、動詞、闘が並列されている。
第一部 日本文化と漢字・漢文 第四章 漢文訓読について に、それを言及する。
漢文訓読を現代に活かすために 素読から文法理解へ には、藩校の学習内容で、書物名と対象年齢が引用されている。
そして、その一つ、明倫館の課業には小学生素読の試験で、五経十一冊と小学四冊を誤読遺忘なきようにというようなことであったと紹介している。
http://kambun.jp/izanai/04-22bunpo.htm
>
具体的にどの程度の素読が課されていたのか、宇野哲人・乙竹岩造・外著『藩学史談』(文松堂書店)の記事から見てみましょう。
津藩・有造館(三重県) 対象年齢 9歳~15歳
論語 孟子 詩経 書経 易経 礼記 春秋左氏伝 十八史略 史記 前後漢書 綱鑑易知録 資治通鑑 (同書12ページ参照)
仙台藩・養賢堂(宮城県) 対象年齢 8歳~三度落第したら退学
孝経 小学本註 四書集註 近思録 春秋胡氏伝 公羊伝 穀梁伝 周礼 太載記 (生徒の望みにより、史記 漢書 等も教授)(同書369ページ参照)
長州藩・明倫館(山口県) 対象年齢 8歳~14歳
孝経 大学 論語 孟子 中庸 詩経 書経 易経 春秋三伝 礼記 小学(同書181ページ、191ページ)
さて、このサイトの漢文訓読入門より、学習の文法としてt、摘記している。
サイトにはより詳しい説明があるので、そちらを参照いただきたく思う。
ここに記してお礼を申します。
読解のための漢文法入門
http://kambun.jp/izanai-index.htm#kanbunpo1
(9)述賓短語1 賓語(目的語)のいろいろ
(10)述賓短語2 形容詞の意動賓語
(11)述賓短語3 注意すべき賓語
(12)述賓短語4 比較の表現
(13)述賓短語5 謂詞・賓語の倒装
(14)双賓短語1 二重の目的語
(15)双賓短語2 第二賓語が処所賓語の場合
(16)聯合短語
述賓短語、形容詞の意動賓語について見るように、漢文では、形容詞は動詞の一部であり、形容詞も賓語を取る。
李佐豊氏、形容詞を状態動詞に含める。同氏著、古代漢語語法学、中国:商務印書館、131ページ。
意動賓語 時人両賢之。(蘇軾、司馬温公行状)
述賓短語の中に状中短語があるが、形容詞が賓語を取る場合、訓読では、○○とす、のように読みならわす。
意動賓語 爾安敢軽吾射。(欧陽脩、帰田録)
軽い という形容詞を、軽んずる と動詞的に訓読する。
時間賓語 吾不食三日。
状語のように見えるが、中国の漢文法の教科書で賓語としている。
楊伯峻・何楽士 古漢語語法及其発展、中国:語文出版社、547ページ
処所賓語 吾居東京。
東京は場所を表す賓語、処所詞である。
比較は介詞や副詞により示され、形容詞の賓語が比較の対象を示す場合。
苛政猛於虎。賓語の前に介詞、於 をもって、対象をしめす。
幼安与文与可遊、如兄弟。(蘇軾、石氏画苑記)
一つの主語に対していくつかの謂語がある、複句。
謂語は並列の関係、聯合短語になる。
※漢文の句(sentence)は、このような階層構造になっているものが多く
形容詞の前に、最 尤 など、副詞を謂詞の前に置いて最上級を表す。
其西南諸峰、林壑尤美。(欧陽脩、酔翁亭記)
主謂短語は、一つの句が短語となるもの。
林壑尤美。
述賓短語で賓語が代詞である場合に、賓語たる代詞が謂詞たる動詞の前に移る。
倒装が行われるのは、疑問代詞が賓語である場合、代詞が賓語となっている述賓短語の前に否定副詞がつく場合。
疑問代詞の倒装
雖有安禄山、亦何能為。(蘇軾『志林』)
疑問形容詞、何 が、名詞と結合、定中短語となる場合。
何驕之有。(蘇軾『志林』)
この倒装では助詞、之 が間に入り、之字は訓読では便宜上、これ と読んでいる。
之字が入るかどうかは、倒装が必須か否かの違いによる。
否定句における代詞の倒装
古之人不余欺也。(蘇軾、石鐘山記) 雖良医未之言也。(蘇軾、志林)
※双賓短語に関しては、廖振佑著『古代漢語特殊語法』(中国:内蒙古人民出版社)245ページ以下に多くの用例を載せていますから、参考にしてください。
動詞が二重の賓語、双賓語を取る場合、動詞と二つの賓語が双賓短語を形成する。
人をあらわす賓語が事物をあらわす賓語よりも後に置かれる場合は、人を表す賓語は介詞、於 を伴う。
或問之年。
人を表す賓語が代詞、之 である場合、事物を表す賓語よりも前に置かれる。
或問之以年。
或問年於三老人。
吾・・求之診。(蘇軾『志林』)
吾・・求之以診。
吾・・求診於医。
双賓短語、第二賓語が処所詞、場所を表す名詞場合。
語順の入れ替えや言い換えができない、つまり、第1賓語が人を表し、第2賓語が場所を表すという語順が固定されてしまう。
処所賓語は、介詞、於 を伴うこともできるし、 於 なしでもかまわない。
※松下大三郎著『標準漢文法』798ページを参照。
成王・・・立微子於宋。(蘇軾、志林)
僕送之江上。(蘇軾、志林)
聯合短語、別名を並列短語、同じ種類の詞や短語を並列させたものである。
夫風雨・霜露・寒暑之変、此疾之所由生也。(蘇軾、教戦守策)
風雨・霜露・寒暑 の名詞が並列されて、この三つをまとめた聯合短語の後ろに、之字がついている。
名詞、変 を修飾する定語となり、風雨・霜露・寒暑之変 全体で定中短語の之字短語になっている。
風雨・霜露・寒暑(聯合短語)
風雨・霜露・寒暑之(定語)→変
風雨・霜露・寒暑之変(定中短語=之字短語)
動詞、形容詞を含む、と、動詞性の短語が聯合短語を形成している場合。
匹夫見辱、抜剣而起、挺身而闘。(蘇軾、留公論)
動賓短語、抜剣 と、動詞、起 が並列され、また動賓短語、挺身 と、動詞、闘が並列されている。