東京新聞の一面に次のような一句が「平和の俳句」として紹介されていた。
日は昇る 赤ちゃんは泣く 花は咲く
見出しに、「手放しで泣ける幸せ」とある。
かつて、赤ちゃんが泣けない状況があったのだ。終戦間際における沖縄で、住民と日本兵がガマという洞窟に隠れていた時、赤ん坊が泣きだした。その時、米軍に見つかるのを恐れて、「殺しちまえ」と怒鳴ったという。(=>「証言でつづる戦争 」)
赤ん坊が泣けない状況というのも過去にはあったのだ。
日は昇る、赤ちゃんは泣く、花は咲く。どれも当たり前のことである。しかし、当たり前のことが尊い。どこかで赤ちゃんの声がすれば、なぜか心が安らぐ。その平安こそが玄妙である、というのが仏教の教えではないだろうか。
(山寺)