昨日やっと大谷選手のホームランが出てほっとした人が多かったのではなかろうか。私もその一人である。それはそれで良いのだが、このホームランボールの帰属についてここでまた微妙な問題が持ち上がっているということをご存じだろうか。
この問題について日本側ではまず次のように報じられた。
≪ 試合後、ホームランボールは戻ってきたのか問われた大谷選手は「戻ってファンの人と話して、いただけるということだった。僕にとっては特別なボールなので、ありがたい」と説明し、ファンには代わりに「ボールとハット2個とバット1本ですね。サインを書きました」とプレゼントを手渡したことを明かしました。 ≫(==>「特別なボール」大谷翔平 移籍第1号記念ボールはファンと交渉し本人の元へ )
ホームラン・ボールをキャッチしたのはローマンさんという女性で昔からのドジャーズ・ファンだという。この記事を読むと、ファンである彼女は大谷から直にプレゼントを渡され、大谷本人から感謝されてさぞやハッピーだったに違いない、と思うのではないだろうか。(私はそのように受け取った。)ところが、おなじYahooでもアメリカのヤフーニュースでは全然違うのだ。
上の記事では、ローマンさんはハッピーではなかったというニュアンスで記述されている。どうも10万ドルの価値があるというボールをそれより価値の劣るプレゼントと交換させられたことに納得していないらしい。それと見逃すことの出来ないのが、彼女は大谷と会っていないと主張していることである。 しかし、記事では大谷が次のように述べたと書かれているのである。
“I was able to talk to the fan, and was able to get it back,” Ohtani said through interpreter Will Ireton. “Obviously it’s a very special ball, a lot of feelings toward it, I’m very grateful that it’s back.”
私の考えでは、たぶん大谷は通訳に言伝を頼んだのだと想像している。しかしこの文章だと明らかに大谷がそのファンにその場で話しかけたように受け取れる。この記事を書いた記者はそのように解しているはずだ。そして次のように語ってもいる。
Given that Ohtani's willingness to tell the truth is already a central part of one of the biggest stories of the season, his getting caught in an apparent lie over something as trivial as meeting a fan can't be ignored.
こんな些細なことで大谷があからさまな嘘を言っていると述べている。アメリカ人が「嘘」という言葉を使う場合は軽く受け流すことは出来ない由々しき問題だと思って間違いないだろう。この記者は大谷という人物にかなりの疑いの目を向けているということである。
私自身は大谷がこのようなことでつまらない嘘をつく人間であるとはみじんも思ってはいない。もし大谷が通訳を介する必要がないほど英語に通じていたならこのような齟齬は生まれなかっただろうと思っている。しかし、既に日本人が知っている大谷翔平とアメリカ人の知っているShohei Ohtani はかなり乖離しているのである。まわりのスタッフはそのことにもっと留意して早めに対処した方がよいと思う。とりあえず、この記事を書いた記者本人にきちんと説明してあげて欲しいと思っている。でないと、大谷はうそつきであるというレッテルを貼られてしまうことになるだろう。大谷ファンにとっては耐えがたいことである。