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敬遠される放任型?

日比谷高校は、その当時、今の開成も筑駒もかなわないほど、秀才たちが集まっていました。しかし、それが学校群制度になって選抜制度がまったく変更されたとき、長年教鞭をとられていた先生がこんな話をされたそうです。

「この学校が今の学校になるまで何年もの蓄積があった。そうやってスクールカラーが作られてきた。しかし壊すのは3年で十分だ。」

今、日比谷高校はまた新たなステージに立っていますが、往時の学風にもどることはないでしょう。また新たな学風が作られていく、ことはあるのでしょうが。

私は、学校選択においてもっとも大事な要素はスクールカラーだと思っています。

スクールカラーがその子に合うかどうかでその後の6年間というものが変わってきます。しかし、最近、管理型の学校が増えてきました。本来私学というのは、もっと自由で、いろいろな創造性を生み出すもとだったと思うのですが、どちらかといえば学校の成績を管理し、生徒に多くの課題を与え、大学受験に向かう学校が多くなってきたように思います。

これは、やはり現在の保護者の志向がそうなっていることが大きいようです。塾的な学校を求めている、といってもいいのかもしれません。

管理型の反対が放任型です。私は子どもを育てる観点でいうと、放任型が良いと思っています。

子どもは管理しようがしまいが、自分でモチベーションをもってやり始めれば、当然、大学受験でも成果を出すのです。逆に管理すればするほどストレスは多くなる。その結果としてモチベーションを失う生徒のことが、あまり語られていないのではないでしょうか。学校をやめる子どもたちもいるのです。

中学、高校は大事な青年期を育つ環境です。

この6年間で形成していくものがその人の基礎になっていく部分があり、いろいろなことに挑戦したり、創り上げていくものがあってよいと思うのです。むしろ中学や高校でないとできない、ということがあるのではないでしょうか。

放任型の学校の文化祭を見てみると、非常によくわかります。出し物にしても企画にしても本当にレベルが高い。そしてだいたい文化祭の会場に教員の数が少ない。

子どもたちを信頼している、ということと、先生が手を抜いていることとは、実は違うのです。その分だけ先生は責任を負っています。でもそれが子どもたちのためになる、ということを先生たちは確信しています。なぜ、確信しているのかといえば、それが長年その学校で培われてきたスクールカラーだからです。多くの卒業生が、それを実証しています。

保護者が塾的な学校を求めることを知っていて伝統を守るのはなかなか大変ですが、それでも気骨を持ってがんばっている学校、そういう学校に個性を育ててもらうのは悪くない、と思うのですが。

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