ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

「エピローグ」が本編に収録されなかった訳

2003年08月02日 | 旧指輪日記
話が毎日あっちこっち飛びますが(汗)今日は「指輪物語」本編に収録されなかったエピローグの話を。何で突然こんな話をしたくなったかというと、「J.R.R.トールキン-或る伝記」にエピローグについての記述がちょこっとあったからです。エピローグは「登場人物たちのその後を説明するために書かれた」と書いてあるのですが、その後出版間近の頃には「既にこの頃には感傷的なエピローグを本編に収録しないことを決めていた」となっていたのでした。
初めてエピローグを知ったのは、うちからもリンクさせていただいている「踊る小兎亭」さんで紹介されていた第二稿の抄訳を読んででした。サムとエラノールのやりとりに思わずディスプレイの前で落涙してしまい(笑)英語苦手なのにもかかわらず勢いで原書を購入しました。
で、初めて読んだ時の感想は、確かにいい話ではあるけど、なんか本編の後にこれがついてたら蛇足だなあ・・・ということでした。特に第二稿で、子供たちの会話が無理矢理箇条書きの質問になっているのを見て、ああ多分トールキンは登場人物たちのその後を書きたかったけれど、結局上手く収められなくて断念したんだなあ、と思ったのでした。
今回「-或る伝記」を読んで、ほぼそれを裏付けるような記述を読んで、「そう言えばThe end of the Thrid Ageに何か書いてあったかも・・・」と思って読み返してみたら、トールキンの手紙の一部が抜粋されて、このエピローグが収録されなかった理由が少し説明されていました。
まず第一稿の子供たちの会話ですが、これについては「子供たちの会話は素晴らしいけれど、第一章の繰り返しになってしまうのでやめる」というようなことが書いてありました。それで、サムとエラノールの会話中心の第二稿を書いたようなんですが、それについては出版直後の手紙に「サムとエラノールのエピソードはなんとか入れたかったと今も思っているが、どうしてもいい形を思いつかなかった」と書いてありました。結局本編の最後を締めくくるのにふさわしい形にすることができなくて、エピローグを入れることを断念したようですね。でも、トールキンもサムとエラノールのあの会話は気に入っていたんだなあ、と思うとちょっと嬉しいですが。なんとか「追補編」に入れてくれたりしたら良かったのに・・・そうしたら瀬田貞二さんが訳してくれたのになあ、なんて思ってしまいます。

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