年末に、年内に…と思って急いでローハンの戦いの感想を上げたのですが、読み返してみたら、結構気に入ったと言いつつ、割とマイナスなことばかり書いてるな、と思い、その後4回観たので、もう少しどこが良かったか書きたいと思います。
まずは素直に引き込まれたのが、終盤の展開でしたね。終盤の覚悟を決めてからのヘラが良かったんだなあと。
覚悟を決めたヘラは、死を覚悟して…というより、死を怖れなくなっていて、これが「死と契る」ということなのかと、見返してから思いました。
避難する子供たちや兵士を笑顔で励まし、「何人生き残れるか」と言いかける兵士にそっと唇に指を立てるシーンには初見の時からグッと来たなあ…
ヘラについては、前の感想にも書きましたが、最初は優等生的でちょっとつまらないかな、などと思っていたのですが、この終盤の覚悟を決めたあたりで変化しているのかなと思いました。
頼るべき父も亡くし、自分にできることは何か気が付いた時、ヘラは自由奔放なだけの王女ではなく、民を率いる責任がある大人の王族になったんだなと。
でも最後は王族として国を率いることはしないで、全てフレアラフに託して自由に生きることを選ぶんですね。
これは自由に生きるためというのもあるけれど、もしかしたら自分には王になる資格はないと思っていたかもしれないなと何回か見て思いました。ウルフを殺してしまったから。この解釈、ミス・サイゴンでもキムが自分の命を捨てる決断をしたのは、トゥイを殺してしまった罪を背負っていたから説を取っているので笑 しっくり来ました。
でも、女王になったらそれこそ跡継ぎ生まなきゃとかで婿取りしなきゃいけないし、それは彼女にとってあり得ない生き方だったんでしょうね。
ただ、オルウィンが一緒に来てくれるとわかって泣いてたので、やっぱり一人で出ていくのは彼女にとって罰でもあったのかも、なんてことも思いました。
前の記事にも書きましたが、ヘルム王は良かったですね。怪力の老人王というビジュアルにすると難しそうなキャラクターでしたが、アニメならではの収まり具合というか。終盤の乱れ髪の姿はカッコ良かったし、子どもたちを愛する父である姿も描かれていて良かったと思います。
ハレスとハマの死に方の変更、あれはヘルムの前で殺される必要があったんだなと思いました。ヘルムの息子たちへの愛情を描くために。
あと、ウルフの恨みの強さも表していたかな。アイゼンガルドでヘラに「まず兄たちを殺してヘルムも殺す」と言ってましたから、ヘラとヘルムの前で二人を殺す必要があったのでしょうね。まあヘルムにはちょっと太刀打ちできなかったですけど💦ハレスも面と向かったら絶対勝てなかっただろうな。オルウィンとかヘラで互角だもんな…
そういえば吹き替えでハマが「だめだ父さん!」と言う場面があって、いや王子で「父さん」はないのでは、と思ったけれど、あれも父子の絆を感じさせたかな、と思わなくもなかったり。
字幕では「いけません、父上!」で、言葉遣いは適切だけど、どこか王に忠誠を誓う王子と言った感じがして。「父さん」の方が父親への愛情として受け取れた気がしました。幼い頃は「父さん」と呼んでたのかもしれないなんて妄想までできました笑
まあ原語がNo, father!なので…父さんほどはくだけてないかな?
ハレスとハマの兄弟王子のキャラクターも良かったと思いました。あの短時間の出番なのによくぞあそこまでキャラ立ちさせてくれたなと思います。
父親そっくりなハレスに対して、予想外なキャラクターだったハマですが、ああいうキャラクターよく思いついたなと。そしてハマの歌ですね~。エンドロールのハマの歌が一番感動したもんな…
フレアラフも好きですね。出番少なくて色々勿体無かったけど、そう言う役回りだからなあ…ヘラに活躍譲ったところもありますしね。
最初の頃のヘラに対する親しげな兄のような接し方が、最後には少し距離を置いた感じになって、ヘラに対する敬意なんだろうけどちょっと寂しかったり。
そう言えば前半のフレアラフ、ヘラのお守りとかこき使われて?いたりして、「未来の王になんて危険なことを」と思ってしまったけど、あの時点では王子二人もいるし、まさかフレアラフに順番回ってくるなんて誰も考えなかっただろうな…
あとサントラについてですが、5回観て色々聴き取れるようになって来ました。
まずは、ローハンのテーマの使い方がとても適切で感心しました。(上から目線💦)
ローハンの希望に満ちたところとか、(だけではなかったけど)終盤はヘラが自分が正統な王家の最後の一人だと言うところで流れたりとか。
オリジナルのメインテーマや、最初ウルフのテーマかな?と思った二つほどの暗いテーマは、特定の人物や勢力のものではなく、その場面の雰囲気を表すものらしいということもわかりました。
そういう音楽の作り方も全然ありなのですが、やはりショアさんのLotRサントラに慣れていると、人物ごとのテーマがないのはちょっと寂しい気がしてしまいますが。力の指輪もショアさんのテーマは使えないけれど、人物や土地のテーマを多用しているところは受け継いでいましたね。
随所に意識してショアさんらしいフレーズを入れてみたりして、LotRサントラの雰囲気を引き継ごうとしているのは良くわかりました。
そして、映像と合わせて聴いていると、その場面の感情をよく音楽で表しているなあと思いました。神山監督が、音楽が感情の高まりを先に表現しすぎてしまうので抑えてもらったと言っていましたが、よくわかるというか、それでももっと抑えてもよいのではと思ってしまいましたけど💦
正直なところ、ちょっと音楽鳴らしすぎだなあと感じてしまったのは、前の記事でも書いたとおりです。
残念だなあと思ったのは、ヴォーカルを上手く使えてなかったかなと…。ハマが死んだ後、ハマの歌のメロディを不穏な感じで女声ソロが歌っているのですが、もうちょっと印象的になってもいいのになとは思いました。
終盤の戦いでも女声が流れる場面ありましたが、LotRサントラのような印象的な音楽にはなっていませんでした、残念ながら。
コーラスだったらもっとインパクトあったと思うのですが…予算の都合かなとつい思ってしまいます(^^;)
前の記事で民族楽器使えば…とか書いてましたが、そこそこ使ってましたね。もうちょっと使っても良かったんじゃないかなと思いましたが。
あと、森の中からじゅうが出てくる場面とか、鷲の巣に鷲がいた時のびっくりさせるような音楽もちょっとやりすがかなあ。しかもこの2場面同じ音楽では?
とまあ最後にまたサントラで落としてしまいましたけど💦映画館で5回見たというのはナルニア1作目の4回を抜きました。
この上は10回ずつのバーフバリと、20回超ずつのホビットと、多分ホビットの倍以上ずつ見ているLotR…(^^;)
何回も観に行く映画って、映画としての完成度が高いとかとは別に、何かが気に入って、その世界に浸りたいと思うからなんですよね。
WotRも、どうやらその括りに入ったようです。
前の記事にも書きましたが、事前に想定していたよりいろいろ気になって、なんだかんだとツッコミどころを探したりとか、いろいろな解釈を考えてみたりとか、今でもまだ余韻に浸っているような感じです。
見に行けたらあと1回くらは見たかったけれど、地元では上映終わっちゃうので…
また配信なり円盤なりで見られる日を待とうと思います。
そして、次に控えるHunt for Gollumはどんな作品になるのか。不安も色々ありますが、またあまり期待しないで粛々と待っていようと思います。
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