角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

東野圭吾「真夏の方程式」

2011-11-01 10:55:47 | ミステリー
ガリレオシリーズの最新作。いや、フツーに面白かったです。


東野ファンの小生も、この「ガリレオ」シリーズだけは、ホントは苦手だったんですよね。
特に短編!
科学だの数学だのがもともと嫌いなので、短編でも胸焼けするんです、あのモロ理系のお話。
主役の湯川洵教授の浮世離れした人物造形にもどーもなじめなかったです。短編のころは。
が、長編になったら「容疑者Xの献身」「聖女の救済」俄然イイ!面白い!
トリックも独創的ですばらしいのですが、やっぱり人間のリアリスティックな描写が桁違いに良くなり、湯川先生も、人並みに人間くさく悩んだりして、共感できるようになって来ました。
本作でも湯川先生は相変わらず浮世離れした学者のセリフ回しなのですが、ストーリー自体はだんだん、賀川恭一郎シリーズのように人情物に替わってきた感じ。というか、東京での過去の事件の話とかも含めて、もろ「人情物」です。
そもそも本作ではストーリーに物理学者が絡まる必然性が全く無い。
でも、湯川博士お得意の科学トリックの秘密が無い替わり、準主役の恭平少年の視点でこの物理学者が描かれるため、なんか「僕の夏休み(田舎で博士と遊ぶ編)」みたいな感じでほのぼのした読後感です。


時間のある休日に一気に読むミステリーとしてお勧めです。