角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

「エトロフ発緊急電」と「ジョーカーゲーム」&「ダブルジョーカー」

2012-03-01 00:00:01 | ミステリー
そういえば、昨年12月8日は日本軍の真珠湾攻撃から70周年(?)だったそうですけど、これを描いた傑作はやっぱ佐々木譲先生の「エトロフ発緊急電」で、決まりでしょう・・・と小生は思うワケ。

まさか、ハリウッド、M・ベイの超おバカ映画「パールハーバー」を挙げる人はいないですよね(?)
コメディー映画としてみるなら、ある意味傑作ですが・・・・


 アメリカの日系スパイ、ケニー・サイトウを主役に、朝鮮人スパイから、南京の宣教師スパイまで登場する、イギリス冒険小説に一歩も引けを取らない和製冒険小説です。当時のアメリカ、東京択捉島をまるで見てきたかのように緻密に描き、かつ手に汗握るスパイストーリーの後に用意されている万人を泣かせるラストシーンはどうでしょう。思う出すだけで目頭が熱くなるというものです。

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というわけで、今回さらに、ご紹介したいのは、同じく大戦前夜から真珠湾攻撃までの時代を描いたスパイ小説柳広司先生「ジョーカーゲーム」「ダブルジョーカー」

何年か前に興奮して読んだのを覚えていますが、もう、文句なしに面白いです!

「ジョーカーゲーム」と「ダブルジョーカー」


陸軍内部に設立されたスパイ養成学校〝D機関〟。12人の精鋭を率いるのは、悪魔的な魅力を持つ、「魔王」こと結城中佐。
スパイにとって絶対してはいけなことは「目立つこと」。従って、結城中佐はこの部下たちに「殺人」と「自決」を徹底的に禁じ、諜報戦の敵のみならず、陸軍内部をも出し抜いていきます。
東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる、手に汗握るスパイミステリーです。

「エトロフ発緊急電」が熱く男臭いスパイ物語なら、このジョーカーシリーズは、クールでスタイリッシュなスパイ物語と言えるでしょう。

確かに、当時の時代考証としてはおかしな点が多々あり、それを「軽い」と見る向きもあります。
しかし、このスピード感あふれる軽快なストーリーテリングはそれを補ってあまりあると小生は思うのです。何より、最後にアッと騙される快感といったありません。

「ジョーカーゲーム」 (以下の短編5作収録)
 ・ジョーカーゲーム
 ・幽霊 -ゴースト-
 ・ロビンソン
 ・魔 都
 ・× × ダブルクロス

「ダブルジョーカー」 (以下の短編5作収録)
 ・ダブル・ジョーカー
 ・蠅の王
 ・仏印作戦
 ・柩
 ・ブラックバード

この、2作品はそんなに長くないので、いい気に読めます。もちろん「エトロフ発緊急電」と併せて読めば格別でしょう。