角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

新郷村の牛乳とは

2011-10-26 14:00:00 | 乳製品
新郷村は青森県酪農発祥地です。
なので、人口より牛が多いのです。
うちの、工場へも毎日新鮮な搾りたて生乳が届きます。
で、これがどこから来るかといえば、新郷村大欠平の「戸田牧場」。下のヘタっぴな地図をご覧ください。

ね、キリストの墓を中心に新郷村の端っこと端っこにあるでしょ。距離にし20Km弱はあると思います。

加工場は秋田県との国境。 ↓こんなところ。秋なのできれいでしょ。



戸田牧場は十和田市の国境です。↓こんなところ。

約35ヘクタールの牧草畑の土作りに励み、餌の牧草づくりからこだわる、戸田牧場です。

で、その内部。↓

約90頭います。ここの牛は取材なれしています。右側の牛はカメラ目線。

ちなみに、ここでごちそうになる牛乳は(もちろん加工前)はめちゃくちゃ旨い!
正確にいうと、砂糖が入っているのかと思うくらい甘いんですね。
加工処理前なので、脂肪球が直接舌にあたり、脳がそう感じるわけ。

  ↓ このように、乳質についてたまに相談。

戸田さん(左)と打合せの、田沢工場長(右)

で、朝になると、新鮮な牛乳を積んだタンクローリーが到着するわけです。






アイスクリーム充填

2011-10-25 17:05:43 | 乳製品
アイスクリームは加工食品の中で実に不思議な地位を占めています。
なんと「賞味期限」がない!んです。

なので、製造も不定期となります。
で、今日はたまたま、アイスの充填作業の日でした。

これは、前日作ったアイスクリームのミックス原液。
材料は生乳、生クリーム、卵、糖分。事前に殺菌し、4℃くらいに冷やしておいたものです。

氷らせる前のアイスの原液なんですが、某ホテルの仕入担当の人が味見したところ、
「これは、デザートのソースとして使えますよ!」だって。

これを、フリーザーにかけます。
つまり、原液を回転させながらフリージングするのですが、この作業でアイスに空気を入れていくわけです。
この、空気の含有率をオーバーランといいます。

空気が入れば入るほど、アイスの舌触りが軽くなり、我々のもうけ幅も上がるのですが、味に重厚さが無くなっていくんです。
かといって、オーバーランが低すぎると、べったりと重すぎるアイスになるんですよね。
ここの、オーバーランのかけ具合が難しいところです。

10分もすると

ソフトクリームのようなフワフワのアイスが出来上がるわけです。
オーバーラン15%といったところでしょうか。

で、アイスの自動充填機でカップづめしていきます。

このマシーンは、120ml入りのカップへ、きっちりアイスクリーム115ml充填し、アルミの蓋をする優れ物。
うちの工場1番のハイテクマシーンです。

ベルトコンベアーにのってきたアイスは、化粧用の上蓋をされます。
この先は、人力。おばちゃん二人で、せっせと蓋をします。ここはローテク。


ある一定の数量に達したら、-35℃の冷凍庫へ。急速冷凍します。


4時間たてば、出荷可能です。


飲むヨーグルト②

2011-10-25 11:35:47 | 乳製品
さて、ヨーグルトの基礎というか、根幹はやっぱり「乳酸菌」です。
新鮮な牛乳も大事な条件ですが、我々技術屋にとって「乳酸菌」培養こそ腕の見せどころというヤツです。

で、これがそれ。

詳しくは、説明できない(いわゆる企業秘密というヤツですな)のですが、ともかく手間暇かけて、この状態まで(?)培養します。写真だば、さっぱりわがらネ。栄養豆腐くらいの硬さになります。

前回、ご紹介した、「密閉式培養タンク」の牛乳は一度殺菌され、約40度まで冷やされます。


この、39度~41度の間が乳酸菌のもっとも増えやすい温度帯なわけです。


いよいよ、タンクの中に乳酸菌を投入します。


雑菌が中に入らぬよう、すばやく埴菌作業をおこないます。


この段階では、タンクの中はただただ甘いだけの牛乳のようなものです。
乳酸菌はその糖分をエサとして、どんどん増えていきます。
乳酸菌が増えると、当然酸っぱくなります。それに反比例して糖度は下がります

この、甘さと酸っぱさが、一番バランスの良いときに、40度培養を止めるわけです。

ここのバランスの見極めが一番難しい。何十年やっても緊張する作業です。
醗酵が進みすぎても(酸っぱすぎ)、醗酵が未熟(甘すぎ)でも廃棄せざるを得ないからです。

後は、タンクの温度を40度に維持し、ひたすら待ちます。


東野圭吾「マスカレード・ホテル」

2011-10-24 21:58:38 | ミステリー
この国民的作家、東野先生の作品久しぶりに(ひょっとして新作?)に読みました。
前作「麒麟の翼」は正直アレレレ・・という感じでした(東野ファンの皆さんゴメンナサイ)ので、
さほど期待もせず(更にゴメンナサイ)読んだところ。


いやいや、良かったです。小生イイと思います。少なくとも快作ですね。

Amazonの読者さんの書評に「重厚さが足らない」などの書き込みがあったりしますが、東野先生の作品に限って言えば、それはハッキリ言って「ないものねだり」です。

東野作品は重厚でないからこそ、イイのです。正直、東野作品は情景描写も、人物描写もさしてウマくありません。

あの、大作「白夜行」「幻夜」とかも、くどい文体を避けているため、映画のようなイメージが読者の脳内に浮かぶのだと思います。

1つ!小気味良くすすむ独自のスピーディな文体。2つ!最後の明かされる見事なトリック。3つ!ラストの数ページで、ほろっと泣かせる読後感のグッドセンス。これこそ、本を閉じてから「読書ってイイですね~水野晴郎 風)」と思わせる東野マジックの3点であろう。

更に、人気作家にもかかわらず、シリーズ物をあまり書かぬ作家なため(最近は加賀恭一郎と湯川学ありますが)、初めて作品を読む人でも敷居が高くない。
本作品は見事に上記の東野作品の3点のツボを押えてます。シリーズものでないし。

(ストーリー)
東京都内で起こる連続殺人。これから起こるであろう殺人現場は高級ホテル。
ホテルマンに扮して潜入操作する刑事と彼をサポートする女性教官のようなホテルマン。
最初は反発しながらも、事件と同時進行でお互いのプロフェッショナリズムを理解しあうようになります。
で、巧みな伏線とホテルで起こるエピソードがパズルのピースのように最後にはまるわけです。
特に、ラスト近くの意外な真相とサスペンスは見事なものです。

ちなみにですけど、重厚な文体と物語のミステリーを求める人は伊人記号学者ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」を強くおススメします。



飲むヨーグルト①

2011-10-24 16:18:04 | 乳製品
朝、チラッと工場をのぞくと、やってます。やってます。
うちの乳製品のフラッグシップ「飲むヨーグルト」の仕込み作業。

ここは調号室。もちろん、牛乳その他の原材料を調合する部屋。


で、これが調合タンク。  今入れているのは「オリゴ糖」。オリゴ糖は乳酸菌ととても相性が良く、
小腸での乳酸菌の吸収率を高めます


また、オリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌を増やすことが知られており、
お母さんの母乳にも含まれ、赤ちゃん必須の栄養素なんですね。
ビフィズス菌増加だけなく、カルシウム吸収、脳の中枢神経の発達に関与しているといわれています。

ところが、このオリゴ糖、なかなか自然界の食品には含有されていません。
わりと、ごぼう、玉ねぎ、ニンニクに含まれるのですが、ちょっとヨーグルトと一緒に摂取するには合わないですよね。

おすすめは、バナナ。市販の無糖ヨーグルトとも良く合います。
それと、きな粉が多量のオリゴ糖を含有しているのですが、これもなんかヨーグルトと合いそうにありません。
誰か、勇気のある方、相性実験してもらえませんか。

これは、ヨーグルトの培養密閉タンク。この小窓から中の様子が観察できます。

外気から完全に遮断され、このタンクの中に乳酸菌を入れて培養をします。

小窓からちょっと中をのぞいてみると・・

牛乳を撹拌させる羽根(プロペラ)が2枚あります。

と、調合された牛乳が入ってきました。

で、この中に、いよいよ、乳酸菌を入れ、埴菌するわけです。

埴菌作業は次回へ