(1)ロビンソン・クルーソー
洋食レストラン「土瓶村狂う像軒」
お客様、お待たせしました.ロビンソン
クルーソーの牛一頭まる焼き料理を
持ってきました.どこに置きましょう?
あ、あほちゃうか、お前、こんなもんテーブル
に持ってくんな!
でもお客様の「ロビンソン・クルーソー料理」ですけど…
THE LIFE AND ADVENTURES
OF ROBINSON CRUSOE,² ☮c.
—————————【1】——————————————————
I was born in the year 1632, in the city of York,
of a good family, tho' not of that country, my
father being a foreigner of Bremen, who settled
first at Hull : He got a good estate by mer-
chandise, and leaving off his trade, lived after-
ward at York, from whence he had married
my mother, whose relations were named Robinson,
a very good family in that country, and from
whom I was call'd Robinson Kreutznaer, but
by the usual corruption of words in England,
we are now call'd, nay we call our selves, and
write our name Crusoe, and so my companions
always call'd me.
あのな、ボーイさん、こんな長文、注文した覚え
ないで.もっと消化にええもんもってきて!
—————————(訳)——————————————————
私は1632年、ヨーク市で生まれた。土地の者で
ななかったが、家柄はよかった。 父は外国人でブ
レーメン*出身でした。初めはハルに定住した:
商業を営んで、そこそこの財産を得ました。そして、
事業はやめて、後にヨーク* 市に移り住んだ。
そこで結婚したのが私の母だった。母方の親戚はロ
ビンソン姓だった。その州のきわめてよい家柄だっ
た.その姓をもらって、私はロビンソン・クロイツ
ェルと名付けられた。しかし英国風の音声脱落によ
り、そう呼ばずに、そして、読みだけでなく綴りも
クルーソーとなりました。私の周囲もみんな、そう
呼びました。
こんな長いもん、学習ゆわへんわ.こんなんは
もっと変人に読ませておけ!
—————————《語句》—————————————————
Hull ハル(イングランド北西部の港湾都市)
estate 地所、私有地、 ② 財産
③ 団地 ④(人生の)時期
————————≪ひとこと≫————————————————————
* ブレーメン(ドイツ北西部、州名及び都市名)
* ヨーク(ヨークシャー州の都市)
だから…
と、前回はここまで書いて投稿したのでした.しかし、これは
今思えば、たいへん無謀でした.どのように無謀だったか?
それはたとえば、レストランにやってきて、メニューを見なが
ら注文します.
「じゃ、アントレ(1皿目)はビーフにしてくれ」
そして、牛一頭がテーブルにやって来て、
おったまげるようなものです.
あるいは、人と待ち合わせをしていて、まだ1時間以上
時間がある.目の前は図書館だ.じゃここで何か本を
読んで1時間つぶそう、そう決めて中に入る.そして
手に取ったものが「電話帳」だったようなものだ.
とにかく
【1回目】の「ロビンソン・クルーソー」は牛一頭まるごとを
食卓にもってきたようなものだから、すこしづつ、ここから
切り取って、みなさまのお皿の上に盛り付けて行きます.
給仕人は、私、ゴタぴょんが務めさせていただきます.
ではまずこの料理について、ご説明をさせていただきます.
まず、なぜ、「ロビンソン・クルーソー」なのか?
それは「鳥島」をTV番組でやっていたからです.
「鳥島」によく似た話を思い出しました.それは昔読んだあの
「ロビンソン・クルーソー漂流記」だ.本棚を探してみた.
だがそこには、もう
その昔読んだというリライト版はすでになく、あったのは
本家本元のダニエル・デフォーの「ロビンソン・クルーソー」
であった.
さて、ここにある「ロビンソンクルーソー」は本家デフォーの作品なので
英語が古く、あまり学習の役には立たないかもしれない.
ダニエル・デフォーは1660年に生まれた.シェークスピアが没したのが
1616年だから、半世紀も隔てがなく、ほぼ同年期の英語ということになる.
幸いなのが、thou とかの代名詞は使われていない.そこは現代英語である.
日本語に譬えると、近松門左衛門 (1653~1724) や井原西鶴(1642~1693)
の日本語のようなものかも.
それでね、ワンセンテンス学習風にしてみたいのです.
給仕法はこれをカーバー(carver, 肉切り用ナイフ)で
切り分けることです.
つまり、この時代の英語は文章がやたらと長いのです.
なので文の途中でも、ぶっつり切って終わらせます.
——ぶっつり切ってもいいのか?
——いいのだ.
——文が死なないか?
——プラネリアを知ってるか?
——知らないよ.
——じゃ、ミミズは?
——ミミズはそりゃ知っているさ.
——小さい頃、ミミズを切って遊んだことないか?
——ある.
——ぶっつり切ったことないか?
——あった.
——ふたつに切っても両方動いていただろ?
--そうだったかな?
--そうなんだよ.
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「ロビンソンクルーソー(1)」(古い英語学習)(英語の骨董品)
The Life and Adventures of Robinson Crusoe,
(ロビンソン・クルーソーの冒険生活)
--------(本文)-------------
I was born in the year 1632, in the city of York.
(私は1632年、ヨークで生まれた)
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本日はここまで.ほなさいなら
春之助