もぐりの語学教室+修行が辛くお寺を逃走した元僧侶見習の仏教セミナー

ご一緒に学習を!
私は先生ではありません.間違いだらけかと思います.
ご容赦下さい.

2948番:さすらいの青春(324)

2023-10-31 22:07:53 | 日記


𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
  
さすらいの青春(324)


.——————————【324】————————————————
  
Deux  barreaux  de  fer,   comme  on  en  voit  derrière
les  domaines  aux  volets  toujours  fermés  des  écuries,
avaient  dû  clore  cette  ouverture.  Mais  le  temps  les  
avait  descellés.
  « Je  vais  entrer  là,  se  dit  l' écolier,  je  dormirai
dans  le foin  et  je  partirai  au  petit  jour,  sans  avoir
fait  peur  à  ces  belles  petites  filles. »
  
  

————————————(訳)——————————————————
           
 二つの鉄格子が、屋敷裏によくある鎧戸で閉められた
厩舎のように、入口を閉めているに違いなかった.しか
し、この時は鉄格子は外されていた.
 「よし、あそこから入ってやろう」、この生徒はそう
言い聞かせた.「可愛い女の子たちに見つかることなく
ぼくはそこの秣の中で眠って、夜明けに出て行こう.」

 

.———————————《語句》——————————————————
       
barreau:(m) 格子、柵 
domaine:[ドメーヌ](m) 所有地、領地、家屋敷    
volet:(m) 鎧戸、シャッター   
écurie:[エキュリ](f) 厩舎
avaient dû + 不定詞:(大過去3複)~はずだった  
clore:(他)[文] 閉じる、閉ざす    
ouverture:(f) 開くこと、開けること、入口 
descellé:(p.passé) < desceller (他) 取り外す、
   desceller un barreau / 窓格子を取り外す
dormirai:(未来1単) <dormir (自) 眠る
   眠る=dormir ; 寝る=se coucher 
      眠っていなくても、横になれば「寝る」が成立.
   フランス語ではちゃんと使い分けするので要注意.  
foin:(m) 秣(まぐさ)、干し草;
   「わら」と訳したかったが「わら」は
   paille (f) なので無理があります.   
partirai:(未来1単) < partir (自) 出発する、立ち去る     
petit jour:(m) 夜明け、薄明かり

   
——————————— ≪確認≫ ————————————————

訳に100 % の自信がないときは、よく訳本で確認するの
ですが、今回も語順をいじって訳したのでチェックのた
め角川文庫「さすらいの青春」の訳文を見てみました.

すると、テキストにない訳文が増えていた.
それは:
   「屋敷のうしろにあるような、厩舎のよろい戸で、
二本」の鉄柵が入口をふさいでいた.しかもそれは、
もはや古びて、こわれかかっているのであった.」

Le LIVRE de POCHE には  「しかもそれは、
もはや古びて、こわれかかっているのであった.」
という箇所はありません.

【結論】たくさんの版を重ねた本には、多少削られたり、
足されたりした箇所があるのでしょう.

 

——————————— ≪感想1≫ ————————————————

aux volets toujours fermés des écuries:
語順を変えないと訳せません
   ↓
des écuries aux volets toujours fermés
いつもは閉められている鎧戸のある厩舎

なぜdes écuries をうしろに回した?
おそらく正規の語順だと直前のderrière les domaines 
にくっついてしまって、「厩舎などの建物群の裏に」
となって厩舎のさらに裏側になってしまうからでしょう.

きっと感覚的には
「いつもは閉められた鎧戸さ、厩舎のね」


——————————— ≪感想2≫ ————————————————

l'écolier:「生徒」ですがモーヌのことを言っているのは
確かです.日本人ならこんな紛らわしいことを言わず
はっきり「モーヌ」と書くところでしょう.しかし向
こうの小説は同じ名詞を繰り返したがらない.そうい
う闇のルールがあります.闇ルートじゃなく闇ルール.

 

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2947番:「おとうと」(1)(フィリップ短篇集より)

2023-10-31 22:05:11 | 日記

 
 「おとうと」(1)(フィリップ短篇集より)

    LE  PETIT  FRERE


—————————【1】——————————————————  

  A  midi,  les  enfants  n' avaient  rien  remarqué,  mais
le soir,  à  quatre  heures,  lorsqu'ils  revinrent  de  l'école
ils  virent  qu' il  y  avait  une  personne  de  plus  à  la 
maison: c' était  la  mère  Buvat,  la  sage- femme.   Ils
allèrent  jouer  comme   d' habitude,   et,   à  six  heures,      
Lartigaud  les  appela  pour  le  souper.
  


—————————— (訳)——————————————————

  正午、子供たちは何も気に留めていなかったが、夕方
4時、学校から帰ると、家にもう一人いることがわかり
ました.それは助産婦のビュバおばさんでした.彼らは
いつものように遊びにいきました.そして午後6時にラ
ルティゴーは夕食のため、みんなを呼んだ.

 

——————————《語句》———————————————————
           
remarqué:(p.passé) <remarquer [ルマルケ]  
remarquer:(他) 注目する、注意する、気づく
    認める;
    remarquer les défauts des autres 
        他人の欠点に気がつく    
virent:[ヴィール](単純過去3複) <voir    
voir:(他) 見る、目撃する、分かる、知る     
sage-femme (sages-femmes):(f) 産婆、助産婦       
allèrent:(単純過去3複) < aller (自) 行く
   aller + 不定詞:❶~しに行く;
   ❷[近接未来] これから~しようとする       
Lartigaud:(人名) ラルティゴー;フィリップの短篇集
   では皆同じ名前の人物が登場します.
   この ラルティゴーも「荷車」の登場人物です.
souper:(m) 夜食、田舎では「夕食」の意味だそうです.
souper:(自) 夜食をとる、夕食をとる;


——————————≪文法≫—————————————————

たい焼き...ではなく対訳書の解説によると、本文の書き
出しは大過去、その後の話は単純過去が使われており、
これにより、時間の経過がはっきり示される奥行のある
ストーリー展開になっているとのこと.
  つまり正午の時点では大過去が使われています.
その後はすべて単純過去で書かれています.

 

 

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2946番:仏作文(63)(スタンダード・フランス語講座③より)

2023-10-30 11:33:23 | 日記


仏作文(62)の学習でスペル間違いをしていましたので
訂正させていただきます.すみませんでした.
間違い箇所は問題Aの1

誤:春之助生徒答案:
  Vous pancez que ce plan soit réalisable ?  
  模範解答:
  Pancez-vous que ce projet soit réalisable ?

正:春之助生徒答案:
  Vous pansez que ce plan soit réalisable ?  
  模範解答:
  Pansez-vous que ce projet soit réalisable ?

今回penser を使ったことで気づきました.すみません.


——————————————————————————————————

仏作文(63)

(スタンダード・フランス語講座③より)

 

Leçon 14: 経済生活 Vie économique

 
—————————————————

 

—————————【63】——————————————————— 

  彼はこの財政上の困難に友人たちが援助してくれる
 だろうと思っていた.
  Il espérait que ses amis lui viendraient en aide dans ce
  difficultés financières. 
  
————————————————————————————————
 
♦  主節の動詞が過去のとき従節の動詞がそれに応じて変化します
(「文の構造」* p.131参照)過去における未来は条件法現在形、過
去における現在は直説法半過去、過去における過去は直説法大過去
形」と覚えておきましょう.

  *) 「文の構造」とは、「スタンダードフランス語講座②「文の
   構造」のことで、ここで触れられたのも何かのご縁かもし
   れません.本日より、この学習も併習しましょう.
   
      尚、「文の構造」 p.131には間接話法の過去変形の問題が取
   り上げられています.一例だけあげておきます.
     Il me dit que son père est malade.
    → Il m'a dit que son père était malade.  (現在→半過去)

♦ 「援助する」はaider がふつうです.venir en aider à qn は porter*
secours à と同じく「援助に来る」でしょうが、ちょっとしゃれた
言い方ですから覚えておけば便利です.

  *) secours (f) [援助、救助]、porter secours à qn は「(人)を助け
  る、援助する」の意味.
 
 

———————————————————————————————
問題A
1. 彼はひとがこの問題にかまけすぎると思った.
———————————————————————————————

【単語チェック】
思う:trouver、penser 
かまける:être absorbé(e)
  雑用にかまけて仕事がはかどらない.
  Je suis trop pris par des occupations diverses pour me 
    consacrer à mon travail.
問題:problème (m)、question (f)、cause (f)                      

———————————————————————————————

春之助生徒答案:
Il a trouvé tout le monde était trop absorbé dans ce problème.  
もひとつ
Il a pensé que tout le monde  était trop pris par ce problème. 

模範解答:
Il a trouvé qu'on s'occupait trop de ce problème.


———————≪感想≫——————————————————

 trouver のあとque を置く必要があります.よって春之助の
答案は✖   trouver を用いる場合、下記のどちらかになります. 
  trouver que ~ 
  trouver + 目的語 + 属詞 
次に模範解答のs'occupaitですがs'occuper は「かまける」
以外の言葉、「たずさわる」で引けば、見つかるようです.
「かかずらう」で引いてみましたが、不掲載でした.
「かかわる」で引けばse mêler がありました.
他人のことにかかわっている暇はない.
(=他人のことに首を突っ込む)
Je n'ai pas le temps de me mêler des affaires des autres. 
最後に「ひと」ですがon でもle monde でも、tout le
monde でもいいと思います.

ちょっと脱線しますが「ひと」と来れば、そのあとに
「は誰でも」とつなぎたくなります.もしかしたら
「ひと」と「ひとは誰も」は同じなのかも.

 

—————————————————————————————
問題A
2. 彼はマリーがすでにフランスへ出発していると思っていた.
—————————————————————————————

【単語チェック】   
       なし
             
———————————————————————————————

春之助生徒答案:
Il pensait que Marie était déjà partie en France. 


模範解答:
Il croyait que Marie était déjà partie pour la Frace.

———————≪感想≫——————————————————

何でもかんでもpenser を使えばいいってものじゃないようです.
思い込む場合は「信じる」要素が入ってくるので、croire を立てる
方がよかったのでしょう.

 

———————————————————————————
問題A
3. 彼は娘が幸福になることを希望していた.

———————————————————————————

【単語チェック】    
希望する:espérer que + 直説法、
        :souhaiter que + 接続法
  
  
—————————————————————————————

春之助生徒答案:
Il espérait que sa fille aurait été heureuse. 

模範解答:
Il espérait que sa fille deviendrait heureuse.


———————≪感想≫——————————————————

問題をまず、現在形にしてみました.
そのあとで、そのまま過去に書きかえればいいと
思っていましたので.
Il espère que sa fille sera heureuse. 
(彼は自分の娘が幸せになることを希望する)  
を下書きしました.
しかし、今気づいたのですが、この時点ですでに間違いでした.
なぜなら、未来形は「未来」だけでなく、「現在の推量」も言い
表す多機能時制なのだ.だからここははっきりとdevenir を使っ
て「(幸せに)なる」という希望を表現するのが正解.
  
sera で済ませると (彼は自分の娘が今頃幸せでいてくれれば
いいのだが」と受け止められるかもしれない.娘はアメリカ
で幸せに暮らしているのだろうか、という親の心配を言って
いるのかもしれない.


———————————————————————————
問題B
1.日本の財界はアメリカの決定が日本の経済に深刻な影響を
与えないことを希望していた.
 
———————————————————————————

【単語チェック】   

財界:(経済界) milieux économics (m/pl)
   (金融界)monde financier (m) 
               monde de la finance (m)
               finance (f) 
深刻な:grave; sérieux(se)
       深刻な顔をする:prendre une expression grave
影響:influence [アンフリュアンス](f)
決定:décision
 
—————————————————————————————

春之助生徒答案:
Milieux économics japonais souhaitaient que la décision americaine
ne donnât une influence grave á l'économic japonais.
.     
 . 
模範解答:
Le milieu financier japonais espérait que la décision americaine
n'aurait pas de répercussion grave sur l'économie du Japon. 


———————≪感想≫——————————————————

わざわざsouhaiter を使って、接続法にする必要はなかったようです.
まして接続法半過去形を使うなど、100年早いわ!
 

———————————————————————————————
問題B
2.われわれは、これらの倒産が財政危機によるものでなく、すべ
て経営者の無能によるものであることを知った.

———————————————————————————————

【単語チェック】     
倒産:faillite (f); banqueroute (f) 
危機:crise (f) ;situation critique
財政難:difficultés financières
経済危機:crise économique
財政危機:crise financière
経営者:patron(ne) m(f)
無能:incapacité (f)


—————————————————————————————

春之助生徒答案:
Nous avons su que ces banqueroutes n'était pas par la crise financière,
mais par l'incapacité de patrons.   

 

模範解答:     
Nous avons su que toutes ces faillites étaient (sont) dues à 
(causées par) non pas à la crise financière, mais à l'incapacité
des dirigeants (des chefs).
    

 

———————≪感想≫——————————————————

 être par だけでは物足りないと思っていました.答をみて
なるほどと分かりました.
ここは dû (due) [à に] 因る、帰すべき
を入れるべきでした.
正解文のnon の使い方ははじめて見ました.「~ではなくて~だ」
という場合、nonを使って先に「否定:~ではなくて」してから
mais をつかって「肯定:~だ」.

辞書で確認したところその言い回しが載っていました:
「non pas ...mais...、 ...ではなくて...だ」

   
  
——————〘単語の勉強〙——————————————————

◇  espérer とsouhaiter:どちらも「希望する」という意味ですが
後者は「願望」「希求」のニュアンスがあります.それゆえ 
espérer que の後は直説法、souhaiter que の後は接続法になります.

◇critique: crise (f) は「危機」.財政経済上の一般的な危機によ
くでてきます.また内閣の危機(政権交代のとき)は 
crise ministrielle とも言います.
critique は「批評」「批評家」という名詞、形容詞としては「批評的」
「危機的」という意味になります.ことに最後の意味に気をつける
こと.

 

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2945番:アルト・ハイデルベルク(231)

2023-10-30 11:27:10 | 日記


アルト・ハイデルベルク(231)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌


——————————【231】———————————————

.............Lutz: Stattdessen haben die Leute keinen Takt. 
...........................Seine Durchlaucht haben die Studenten heute
...........................Morgen im Hotel empfangen.  Ich war Zeuge, 
...........................diese Leute benehmen sich, als wenn man sie
...........................in einen Frack gesteckt hätte, damit sie bei 
...........................Hofe erscheinen.  So tritt Seine Durchlaucht 
...........................ins Zimmer, im einfachen Anzuge ohne Orden,
...........................und lächelt und streckt gütig die Hand entgegen.
...........................Statt diese Hand zu nehmen, verbeugt sich die 
...........................Gesellschaft !   Der eine tritt vor und hält eine 
...........................Rede.   
 
Frau Dörffel: Ja ? 

.............Lutz: (Pause).  Als Seine Durchlaucht wieder allein 
............................war, meine liebe Frau Dörffel, das Gesicht war 
............................weiß wie Schnee.

Frau Dörffel: Ach.

 

———————————(訳)—————————————

................ルッツ:だが、さにあらずだ.学生さんたちと
................................きたら心遣いがまるでない.陛下は今
.................................朝、学生さんたちをホテルに招待あそ
.................................ばされた.私は立会人だった.学生た
.................................ちはまるで燕尾服にでも身をくるんで
.................................宮廷に参上しようかといった風に振舞
.................................うのだよ.陛下のお召しになっていた
..................................服は簡素だったし、勲章なども付けて
..................................おられなかった.にっこり微笑まれて、
..................................部屋に入られ、一座の人々に手を差し
..................................伸べられたのだ.しかし彼らは手を取
..................................る代わりにお辞儀をするのだよ.彼ら
..................................のひとりは一歩前に出て、演説をする
..................................のだからね.
   
デルフェル夫人: そうですか.

................ルッツ: (小休止) 陛下が再びおひとりになら
...................................れたときは、お顔は蒼白でした.ま
...................................るで雪の塊のようでしたよ.

デルフェル夫人: あらまあ.

 

———————————《語彙》—————————————
 
今回から複数形は(同尾式)(e式)(変+e)というような表記を
やめて複数1格を( )内に書きます.

stattdessen:(副) その代わりに、しかしそうではなく、
der Takt:(Takte) ❶拍子、調子; ❷思いやり、心遣い; 
empfangen:(他)[4格を] 迎える、歓迎する
   Sie empfangen den Gast freundlich.
      彼らはその客を親切に迎える.
      Sie empfangen den Gast kühl.
      彼らはその客を冷ややかに迎える.
* empfangen は不定詞と過去分詞が同形の不規則動詞.
   empfangen——empfing——empfangen
      du empfängst. er empfängt.
der Zeuge:(Zeugen) 目撃者、立会人、証人 
sich⁴+ 様態 + benehmen:[...に]ふるまう、
    [...の]態度をとる;
   sich wie ein Kind benehmen
      子供のようにふるまう.
   Er hat ihr gegenüber höflich benommen.
      彼は彼女に対して礼儀正しくふるまった.        
als wenn:=als ob = まるで…かのように
der Frack:(Fracks)もしくは(Fräcke) 燕尾服  
gesteckt:(過去分詞) < stecken (他) 差し込む、
   差してある 
Hofe:(男単3格) <der Hof (Höfe) 宮廷、宮殿
erscheinen:現れる、姿を見せる、❷と思われる
   [3格 に][状態]と思われる:
   Das erscheint mir seltsam. / 
   それは私には奇妙に思われる.   
tritt:(3単現) < treten (自) 歩み入る、歩み出る
      蹴る、踏む
   er tritt. 彼は歩み出る.
   So tritt er ins Zimmer. / そこで彼は部屋へ入る.
      treten——tratt——getreten
einfach:(形) 簡単な、質素な 
der Anzug:(Anzüge) スーツ、背広の上下 
der Orden:(Orden) 
lächelt:(3単現) < lächeln (自) ほほえむ  
streckt:(3単現) < strecken (他) (手足などを)伸ばす
gütig:(形) やさしい、寛大な、親切な、好意的な、善良な 
entgegen:(副詞) (3格名詞のあとに置く)
        ~の方に向かって
(後置詞3格支配)~の方に向かって 
(前置詞3格支配)~の方に向かって    
entgegen:(分離前綴り)
entgegen/strecken:(4格を)(3格にほうに)差しのべる
die Hand entgegen/strecken:手を差しのべる
verbeugt sich:< sich⁴ verbeugen お辞儀をする 
die Gesellschaft:(Gesellschaften) 一座の人々 
tritt:(3単現) treten (自) 歩む、進む 
hält:(3単現) < halten 
die Rede:(Reden) 演説;eine Rede halten / 演説をする   
     

 

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2944番:トニオクレーガー(4)

2023-10-30 11:23:56 | 日記


トニオ・クレーガー(4)


—————————————【4】————————————————

Große  Schüler   hielten   mit   Würde  ihr  Bücherpäckchen   hoch 
gegen  die linke  Schulter  gedrückt,  indem  sie  mit  dem  rechten 
Arm  wider  den  Wind  dem  Mittagessen  entgegen  ruderten;  kleines 
Volk setzte  sich lustig  in Trab,  daß * der  Eisbrei  umherspritzte  und 
die Siebensachen  der  Wissenschaft  in  den Seehundsränzeln  klapperten. 
Aber  hie und da  riß  alles  mit frommen  Augen  die Mützen  herunter
vor dem Wotanshut  und dem Jupiterbart  eines gemessen hinschreitenden
Oberlehrers...

—————————————(訳)—————————————————

先輩たちは威厳を持って書物袋を高く左の肩に押し当てて、また一方
右腕を回し風をボートのように漕いで、昼食場所に向かう.後輩たちは
愉快そうに駆け足になっていたため、ぬかるみの泥水が跳ねかかり、学
習七つ道具がアザラシ皮のランドセルの中で.カタカタと音を立ててい
た.
だが、あちらこちらで、みんなはゆっくりと威厳にあふれた歩調で歩い
ていく先生方のヴォーダンのよう な神々しい帽子やジュピターの髭
のような姿の前では、恭しいまなざしで、かぶっている帽子* を急いで
脱ぎ降ろしたのだった.


————————————〘語句〙———————————————

große (強複1) (形) 年長の
der Schulter {同尾式} ❶生徒、男子生徒、児童、 ❷弟子、門弟
Große Schüler 上級生たち 
hielten (過去1,3複、2敬)<halten  持っている     
die Würde {弱} ❶(複ナシ)尊厳、威厳、品位
               ❷ 位、階級       
Bücherpäckchen  辞書不掲載→  Bücher (書物) + (包み、もしくは束)
das Päckchen {同尾式}❶ 小さい包み、束 ❷(商品の入った)小箱   
  これらからBücherpäckchen を想像すると:レターケースのようなものか.
  とりあえず訳としては「書物袋」「書物パック」辺りにします. 
die Schulter {弱} 肩 breite Schultern 広い肩(肩はふたつあるので複数敬)
gegen (前置詞) [衝突]  ドンと~に
indem (従属接続詞)[定動詞後置] 
    ❶  (手段・方法)  ~によって、~という方法で
    ❷ (同時性) ~していると、~しながら       
wider (副) 他方では、また同時に    
entgegen (副)(3格に)向かって、(3格に)反して
  der Sonne entgegen 太陽に向かって 
  Das ist unserer Abmachung entgegen. それは我々の取り決めに反している.
(前置詞)(3格支配)(3格名詞のあとに置かれることもある)
  Entgegen seiner Erwartung (または Seiner Erwartung entgegen) kam
  eine positive Antwort. 彼の予想に反し、よい返事が返ってきた.   
ruderten (過去3複、主語はsie) <rudern (自/i マタハh) ❶ボートを漕ぐ、
  ❷両腕を振り回す
   Sie hat das Boot über den See gerudert. / 彼女はボートを漕いで湖を渡った.
das Volk (変ER式)❶民族 ❷(単のみ)国民 ❸単のみ)庶民 
    ❹(単数形態で)群衆、人々   viel Volk 大ぜいの人々
    ➎(単数形態で)連中、やつら  kleines Volk  ちび助たち
lustig (形) 愉快な、陽気な
der Trab (単のみ)(馬の)速足
setzen sich + 状態 自分をある状態にする、セットする
  setzen sich inTrab わが身を駆け足状態にする → 走り始める  
der Eisbrei (E式) 辞書不掲載→Eis (氷)+ Brei (ぬかるみ) = 雪どけのどろどろ道
umherspritzte 辞書不掲載→umher (あちこち) +  spritzte (過去3単)<spritzen   
  spritzen (他)❶ (薬品などを⁴) 注射する (人に⁴)注射する
   ❷(水などを⁴)まく、跳ねかける
  spritzen (自)(水などが)跳ねる、飛び散る 
Siebensachen (複)七つ道具、
 (テキストは die Siebensachenであるが通常、所有冠詞と共に用いる)     
die Wissenschaft (EN式) 学問、科学 
die Siebensachen der Wissenschaft 勉強の七つ道具
daß *  通常 so + 形容詞oder 副詞 が先行して、相関関係を構成するが
  ここでは、先行部分にsoが見当たらない.lustigが唯一、soをもつ
  資格のある品詞なので、ここに関係づけて訳します.
   kleines Volk setzte sich (so) lustig in Trab, daß * der Eisbrei umherspritzte.  
   ちびすけたちは陽気が手伝い、駆け足気味になり、雪どけの泥水を
  跳ね散らした.       
Seehundsränzeln  辞書不掲載→ Seehund + Ränzeln
der Seehund (E式) アザラシ
Ränzeln →das Ränzelein (同尾式) ランドセル
  再度Seehundsränzeln (同尾式) アザラシの皮のランドセル(と推測します)
klapperten (過去3複) < klappern [クラッパーン](堅いものが)かたかたと音を立てる .
hie [ヒー] (副) ここ
♦ hie und da ❶あちらこちらで(に)、❷ときどき       
riß (過去)[新正書法はriss] <reißen  ❶(他) 引きちぎる、はがす、引き裂く   
            ❷(自) 裂ける、ちぎれる       
frommen (形、強複3)<fromm ❶敬虔な、信心深い ❷善意の、善意からの、誠実な      心のこもった
      ❸無邪気な ❹信心ぶった、偽善の
  ヴォーダンとかジュピター神のおん前なので、とりあえず❶の意味に仮決めします.  (全体が把握できてから、あとで意味修正をします)
die Mütze (弱) (つばのない)帽子  
herunter (副) [ヘルンター] (向こうの上からこちらの) 下へ       
Wotanshut (辞書掲載なし) 
  →Wodan + Hut = vo-dan  ヴォーダン(最高神)(北方神話)の帽子             
Jupiterbart (辞書掲載なし)  → Jupite +  der Bart[変E式] = ジュピターの髭   
gemessenⅠ (過去分詞) <messen    三変化(messen  maß  gemessen)
      ❶(他) (大きさ、長さなどを) はかる、測定する 
      ❷(自) ~の長さ(大きさ、高さなど)をもつ
  Sie misst 1.72m. / 彼女は背丈が1.72メートルある.    
gemessen Ⅱ(形容詞)落ち着いた、悠然たる、品位のある、現然たる、堂々とした   hinschreitenden (辞書掲載なし)→hin + schreiten     
hin (分離前綴り)  むこうへ
schreiten (自/s) (ゆっくりと・歩調正しく・おおまたに・悠然と) 歩く、     
der Oberlehrer (同尾式) ❶上級教師 ❷校長 ❸高校教諭
  ここでは❶だが、さらに
  ①永年勤続の功労のある小学校教諭に与えられた称号(旧西ドイツ)
    ②功績の多い教諭に与えられた名誉称号(旧東ドイツ)
  しかし普通にいう時はやはり単に「先生」と訳すのが自然だと思います.


————————————〘解説〙———————————————

*  かぶっている帽子:  die Mütze にはかぶっているという修飾語は
 ないのですが、次のherunter が、いかにも頭から脱ぎ降ろしたイメ
 ージを感じるので、意訳で付け足しました.独検のときは、余計な
 蛇足はやめましょう.(減点されます.)

vor dem Wotanshut  und dem Jupiterbart  eines gemessen hinschreitenden
Oberlehrers...
ゆっくりと威厳にあふれた歩調で歩いていく先生方のヴォーダンの帽子や
ジュピターの髭の前では(急いで帽子を取去った.)  ここは隠喩表現を
していますので、読み手側で「~のような」を補います.

「ゆっくりと威厳にあふれた歩調で歩いていく先生方のヴォーダンのよう
 な神々しい帽子やジュピターの髭のような姿の前では...」
となりますので、初めに見たfromm の意味は「敬虔な→敬意をもって」
と少しやわらげて訳します.
西洋文学では、隠喩表現が出てきますので、修飾関係がぎこちない時は
読み手側で修正します.

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