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国際通貨基金(IMF)は1月31日、韓国の今年の経済成長率予測を2%から1.7%へと0.3%ポイント引き下げた。

2023-02-02 18:22:48 | 日記
国際通貨基金(IMF)は1月31日、韓国の今年の経済成長率予測を2%から1.7%へと0.3%ポイント引き下げた。

昨年7月予測値は前回よりもマイナス0.8%ポイント、10月も同じくマイナス0.1%ポイントに続き、すでに3度目の連続の下方修正だ。韓国の「一人負け」という印象を強めている。

IMFは、同時に発表した日本の23年成長率予測が、1.8%と前回予測より0.2ポイント引上げた。この結果、日韓の成長率は25年ぶりに韓国が日本を下回るとして、韓国メディアは悲壮感を表している。韓国に対する今回の下方修正は、IMFが世界経済成長率の予測値を2.9%と、3ヵ月前より0.2%ポイント引き上げた中で行われた点で深刻に受け止めている。

『朝鮮日報』(2月2日付)は、「数十年ぶりに韓日の経済成長率が逆転、国全体を変えろという警告だ」と題する社説を掲載した。

国際通貨基金(IMF)は今年、韓国経済が1.7%の成長にとどまると予測した。昨年10月の予測値は2.0%だったが、3カ月間で下方修正された。一方、IMFは世界経済の成長率予測を3ヵ月前より0.2ポイント上方修正し2.9%とした。米国(1.0%→1.4%)、中国(4.4%→5.2%)、ユーロ圏(0.5%→0.7%)、日本(1.6%→1.8%)も予測値が上方修正された。主要国のうち、韓国の経済低迷に対する懸念がさらに深刻化した格好だ。

(1)「もしIMFの予測が現実となれば、韓国と日本の成長率が通貨危機以来25年ぶりに逆転する。過去65年間で韓国の成長率が日本より低かったのは、1980年のオイルショックと1998年の通貨危機だけだった。「失われた20年」の長い低成長を経験している日本よりも低い成長率を記録するというのは並大抵の危機ではない」

韓国は、次の3要因が経済を圧迫している。
1)半導体市況の急落
2)中国と韓国が、これまでの相互補完関係から競争関係に変わってきた
3)住宅価格急落と金利上昇で消費者マインドの低下
上記要因のうち、2)と3)は構造的に負の圧力を増す危険性が高まっている。となると、今後の韓国経済は、構造要因を取り除くほかない。

(2)「新年を迎え、各種指標は韓国経済が「パーフェクトストーム」(全体的危機)に直面したと言っても過言ではないほど深刻だ。半導体が輸出全体の19%を占める国では、半導体市況が悪化すると、経済全体が揺らぐ。1月の輸出は前年同月比で16.6%減少したが、半導体輸出が44.5%急減した影響が大きかった。1月の輸出減少の半分以上が半導体輸出減少による影響だった。最大の輸出先である中国への半導体輸出も46.6%減少した。輸出急減で1月の貿易収支は過去最悪の127億ドルの赤字を記録し、昨年3月以降11カ月連続赤字となった」

最大の輸出先である中国への半導体輸出が、46.6%も減少している。中国は、スマホ需要が落込んでいることを反映している。中国は、輸出の新規受注が落込んでいる。これが、韓国輸出を減らしている背景の一つになっている。

(3)「半導体企業の業績は急激に悪化した。サムスン電子の昨年第4四半期(10~12月)の営業利益が前年同期を69%下回り、特に半導体部門の営業利益は97%減の2700億ウォン(約284億円)にとどまった。台湾積体電路製造(TSMC)の第4四半期の営業利益(約13兆ウォン)に比べれば、50分の1にすぎない。ファウンドリー(受託生産)分野の収益で赤字を免れただけで、主力のメモリー分野は事実上赤字と推定される。半導体の不振が経済全般に広がる兆しも見える。昨年12月の産業生産指数は前月より1.6%低下し、32カ月ぶりに大幅な低下となった。設備投資は7.1%減少した」

TSMCとサムスン半導体は、昨年10~12月期の営業利益を比較すると50分の1という大差になっている。TSMCの非メモリー半導体が、サムスンのメモリー半導体に比べて圧倒的優位を見せた象徴的ケースである。

(4)「韓国政府は下半期になれば景気が好転し、貿易収支の赤字も改善されるとしている。そうかもしれない。しかし、現在のような低迷が一時的な状況にとどまらず、構造的不況として定着するリスクも少なくない。韓国経済をリードしてきた半導体産業にこれ以上圧倒的優位を期待するのは難しい。米国をはじめ各国が巨額な資金をばらまき、自国の半導体産業を支援している。ファウンドリー分野では台湾TSMCとのシェア格差も広がっている。さらには世界最悪の少子高齢化で憂うつな未来が待っている。これから30~40年後から60年間はマイナス成長になるという予測もある」

韓国は、これまで勝ちパターンであったカードが、一枚一枚とひっくり返され始めていることに気づくべきだ。半導体も日本の技術盗用であった。それが、グローバル経済下でたまたま上手く行ったという側面もある。非メモリー半導体で出遅れているのは、技術基盤がそれだけ軟弱である証拠だ。

(5)「現在の危機は、経済だけでなく政治、社会など国全体を丸ごと変えろという再三の警告として受け止めなければならない。労働、規制、教育、公共、年金改革は必須であり、二極化する政治も終わらせなければならない。時間は多く残されていない。警告信号は点滅し、いつの日か信号自体が消える」

このパラグラフは、極めて重要な指摘である。下線部は、韓国経済の脆弱性を示す「一覧表」である。本欄が、繰り返し取り上げてきた点だ。