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やっと一審判決。なぜ韓国「玉ねぎ男」の裁判はここまで長引いているのか?

2023-02-14 17:13:22 | 日記
やっと一審判決。なぜ韓国「玉ねぎ男」の裁判はここまで長引いているのか?

MAG2 NEWS2/7(火)12:00

韓国の文在寅前大統領の側近で、元法相のチョ・グク氏といえば、子供の不正入学に絡む多くの疑いで起訴され「玉ねぎ男」と呼ばれていたことで知られています。

そんな彼の裁判の一審判決がようやく出たようです。

今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年で韓国の大学に勤務する日本人教育関係者が、この裁判について詳しく語っています。

たまねぎ男に懲役2年

たまねぎ男で一躍有名になったチョ・グク。2月3日、3年2か月ぶりに第一審の判決があった。

ソウル中央地裁刑事合意21-1部(馬成英部長判事)は3日、入試不正と監察もみ消しなど12の容疑で起訴されたチョ・グク元長官に対し、7つの容疑を有罪と認め、懲役2年と追徴金600万ウォンを言い渡した。

チョ・グクとともに自分の子どもの入試不正などの疑いで起訴された夫人の鄭京心(チョン・ギョンシム)元東洋大学教授(収監中)は、懲役1年の実刑を言い渡された。

鄭元教授は昨年1月、最高裁で入試不正および私募ファンド不法投資などの疑いで懲役4年と罰金5,000万ウォン、追徴金1,061万ウォンが確定し、収監中だから1年がさらに追加された格好だ。

チョ・グク裁判は、起訴されてからなんと3年2か月ぶりのことだ。

裁判所は「チョ・グクが入試制度の公正性に対する社会的信頼を深刻に毀損し、政界の請託により監察を中断させ罪が悪質で重い」と語った。

チョ・グクは息子の入試のために虚偽で作成したソウル大学インターンシップ活動証明書を活用し、息子が通っていた米の大学のオンライン試験の代わりにしてやった。

また娘の医学専門大学院入試に虚偽インターン確認書と東洋大学表彰状を提出した。

文政府時代の青瓦台の民情首席(民情首席というのは大統領の次にふんぞり返っていたポストだった。今はない)時代、政界の請託を受けてユ・ジェス前釜山市副市長に対する青瓦台特別監査班の監察を揉み消した。この容疑すべてが有罪と判断された。

3日、共犯として一緒に起訴された妻のチョン・ギョンシム元東洋大学教授も懲役1年を追加で言い渡された。

上でも書いたように彼女はすでに娘の入試不正などで懲役4年が確定し収監されているからさらに1年追加で5年収監されることになった(まだ最終判決ではないにしても)。


たまねぎ男・チョ・グクの容疑は、法務長官に任命される前にすでに明らかになり始めていたが、文在寅大統領はついに己の我を通して彼チョ・グクを長官に任命してしまい、国家的葛藤構図を作ることになってしまった。

文在寅はチョ・グクのような男を採用して国家を二分するような大きな事態になったにもかかわらず一切謝罪もせず、むしろ「チョ・グクに心の借金がある」と話したものだ。

自身の不法を一度も認めなかったチョ・グクは「検察が捜査ではなく狩りをした」として回顧録まで出した。今回の判決はそのような文政権とチョ・グクに対する断罪となった。

この裁判はもともとこれほど長くかかる事件ではなかった。

チョ・グク関連の疑惑は多かったが、偽造文書など明白な証拠も多かった。

だが、キム・ミョンス最高裁長官がウリ法研究会(ウリとか民族とか正義とかがついてくると韓国ではたいていガリガリの左派を意味する)出身のキム・ミリ判事にこの事件と文政権最大不法の一つである「青瓦台の蔚山市長選挙介入事件」を任せ、裁判が果てしなく遅延されることとなった。

キム・ミリ判事は蔚山事件では1年3か月間、有罪・無罪を決める裁判を一度も開かなかった。

そうするうちに突然休職し、両事件とも裁判が遅れた。

蔚山事件も起訴されて3年が過ぎたが、まだ1審判決が出ていない。

その間、選挙工作で蔚山市長になった人は任期を全うして再出馬までした。金・ミョンス式の裁判遅延は、それ自体が不義だ。

裁判所の前では、「チョ・グク死守」と「チョ・グク即収監せよ」のデモ隊が道に両側に別れて大声をあげていた。

実刑判決を受けても「死守しよう」という輩の多いのには驚かされてしまう。

民主党は「判決と関連して別になんの立場もなく、党レベルで論評する計画もない」とだけ明らかにした。

今は李在明問題で頭の痛い民主党だ。チョ・グクまで手が回らないといった格好のようだ。

ただこれは第一審にすぎずチョ・グクが控訴すると明らかにしているだけに結局は大法院(最高裁)にまでいくだろう。

最終判決が下されるまでまだまだ時間がかかりそうだ。

それにしても一審で2年いう有罪(実刑判決)が出たことは、今後いつになるかわからないが必ず開かれる李在明裁判にも影響のないはずはなく、検察側に多少風向きが向いてきたとみていいだろうと思う。

韓国検察よ、がんばれ。

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年2月4日号)



窮地の文在寅。大抜擢した韓国最高裁長官“大ウソ発覚”の大誤算

2023-02-14 16:59:39 | 日記
窮地の文在寅。大抜擢した韓国最高裁長官“大ウソ発覚”の大誤算

国際

2021.02.15

韓国の最高裁判所長官に当たる大法院長の「嘘」発言が発覚し、国民の多くが怒りに打ち震えているようです。

なぜ「法の番人」は事実に反する発言をするに至ったのでしょうか。

今回の無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が事の経緯を詳しく紹介。

さらに司法トップのこうした振る舞いについて、批判的な意見を記しています。

法の最終番人の嘘

日本の最高裁判所にあたる組織を韓国では大法院という。

この大法院の親分は大統領が任命する。

金命洙氏は2017年8月21日、文在寅大統領に大法院院長に指名されたが、彼は大法院での判事経歴がないだけに、コード人事と評価されている。

コード人事とは言葉通り「コードに合った人事」ということで大統領のお気に入り人事というわけだ。

大法院院長は、大法院判事を務めた人がなるのが一般的なのだが、金命洙氏は大法院判事の経験なしで地方の裁判所から一挙に大統領の人事で大法院院長になった。

2018年10月30日にいわゆる元徴用工裁判の判決が出されたのは記憶に新しい。

日本に賠償せよと。1965年に一旦解決している問題をほじくり返してこういう判決を出したのも、この金命洙である。

で、今問題になっているのは、この金命洙大法院院長の裁判官らしからぬ俗物的部分である。ちょっと長くなるがコトの経緯を書いてみたい。

2020年5月に健康悪化を理由に辞職を願い出た裁判官がいた。

林成根釜山高裁の部長判事である。

林成根部長判事は、いくつかの裁判に関して判決文修正などに関与したという疑惑で裁判になっており、すでに一審が開かれて無罪が言い渡されている状況だ。

ところで与党連中が中心となって彼を弾劾しようとする動きが前からあった。

そんな中、林成根部長判事は去年の5月に大法院に辞表を提出することになったわけだが、大法院院長の金命洙が、「今与党が(あなたを)弾劾しようとやきもきしているときに、わたしが辞表を受理して(あなたが)辞めたら弾劾が不可能になるではないか。

与党の連中になんと言われるかわからない。辞表は受理できない」として林成根部長判事の辞表をはねつけ、林成根部長判事の弾劾案を憲法裁判所に送付したのだ。

憲法裁判所というのは、大法院とはまた別に独立した形で存在している。アメリカスタイルといえばいいだろうか。

普通ならば裁判官の総括をしている大法院の院長ならば、裁判官のことを考えてやるのが道理だが、金命洙は反対に(自分と同じ裁判官を)「売り飛ばす」ような行動をしたわけである。

今問題になっているのは、金命洙が去年の5月の林成根部長判事の辞表提出時に、弾劾がらみの発言など俺はしていないと言い張ったことから問題が爆発したのである。

林成根部長判事が辞表をもって金命洙を訪ねた時、金命洙が「与党になんといわれるかわからない」からなどと保身することにのみ汲汲となって相手のことなどこれっぽっちも考えてくれなかったわけだが、なんと金命洙が「俺はそんなことは言ってない」と言い張ったから、頭に来たのは林成根部長判事である。

裁判官が政治家の顔色をうかがうなどもってのほかであろう。

話にならない。

しかも裁判官の長である大法院の院長がだ。



韓国が日本との関係改善に動き出した納得の事情元徴用工めぐる問題解決に向けて協議会発足

2023-02-14 16:23:38 | 日記
韓国が日本との関係改善に動き出した納得の事情元徴用工めぐる問題解決に向けて協議会発足

戦時中の元徴用工をめぐる解決策を探ることを目的とした官民協議会が7月4日、韓国で設立されたことは、日本との関係を打開するという韓国新政権の決意を示す最新かつ最大の兆候だ。

実際、筆者は最近、韓国で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の高官や日本に関わりの深い学者・政策専門家と1週間にわたって会談したが、この目標を共有しない人物はいなかった。

この傾向は、前与党「共に民主党」内の左翼強硬派とその支持者を除いて、政治的スペクトル全体に及んでいる。

日本との関係改善を望む高官が政権に

「日本との関係修復は優先課題だ」と、尹大統領の上級顧問は語る。尹政権には日本との良好な関係を長年にわたって主張してきた高官が多くいる。

朴振(パク・チン)外相、金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長、尹徳敏(ユン・ドンミン)新駐日大使などだ。

新政権は、中国やロシアなどの権威主義的挑戦者に対する民主主義国家の世界的闘争において韓国が中心的な役割を果たすうえで、日本との緊密な関係が不可欠だと考えている。

このことは、先週のNATO首脳会議に韓国と日本の両首脳が出席したことに象徴されている。

「日本との関係を改善する必要がある」と、有力シンクタンク「世宗研究所」の元所長で著名なリベラル派政策立案者の白鶴淳氏も賛同する。

「(前大統領の)文在寅(ムン・ジェイン)氏が日本に対して創造的な取り組みをしなかったことが残念なので、尹大統領に託したい」。

だが、新大統領が関係正常化への道を模索する余地があったとしても、それは限られたものだ。なぜなら、尹大統領は歴史的僅差で当選し、先月の地方選挙での勝利に支えられはしたものの、その人気はすでに低下しているからだ。

しかも、国会は民主党が支配しており、大統領の提案に対しては強硬な姿勢を示すとみられる。

特に戦時中のデリケートな問題について提案された妥協案に関してはなおさらだ。

「人々は過去の歴史を忘れることはできない」と朴氏は語る。

「尹大統領が韓国人の心の奥底にある思いを気にせず先に進めば、深刻な影響が出るだろう」。

日本政府の慎重な反応

同様に問題となるのは、岸田文雄政権の態度だ。

同政権は韓国政府からの申し出1つひとつに対し、冷ややかな対応とは言わないまでも、過剰なほどの注意を払いながら対応してきた。

韓国の当局者たちは、林芳正外相の尹大統領就任式出席や、尹大統領の政権移行チームの代表団に対する東京でのレセプションなど、いくつか前向きな兆しがあることを指摘している。

しかし、日本政府は先月、提案を受けた朴外相の訪問を拒否し、さらにNATO首脳会合での真剣な二国間会合を手配しようとする韓国の試みにも反対し、公式の夕食会と、アメリカのジョー・バイデン大統領が主催する短時間の3カ国間会合での非常に短い意見交換で済ませることとした。

その会合で、岸田首相は個人的な関係を示すジェスチャーは見せず、北朝鮮による核実験の脅威に対する共同の対応についてのみ話をした。

韓国の当局者たちと日本に詳しい関係者たちは、この温かいとは言えない岸田首相の対応にはいくつかの要因があると考えている。

関係者の多くはその要因として、10日に迫った参議院選挙と、安倍晋三元首相と密接な関わりを持つ、自民党内のより強硬な保守派(彼らは韓国の政権交代を意味のある変化とは見ていない)が現在も継続的に力を持っていることを挙げている。

日本の当局者たちは、韓国が両国の関係に重くのしかかる歴史問題を取り除くための明確な第一歩を踏み出すまでは、本当の意味での前進はあり得ないと、主張し続けている。

「日本は、会合を開いても成果を得られないことを懸念していた」と、韓国元外相で駐日大使も務めた柳明桓氏は話す。

「岸田首相は、安倍氏の意向を無視できない」。

柳氏は、岸田首相が安倍氏の圧力に屈し、戦時中に朝鮮人労働者が強制的に働かされた佐渡島の金山跡をユネスコ世界遺産に推薦したことを指摘する。

「岸田首相は、反日左翼と、両国の関係改善を望む韓国国民の区別ができていない」。

韓日関係改善に向けて重要な役割を果たしてきた柳氏はこう話し、反日感情の根強さを認めつつ、日本に対し、韓国の新政権の努力により相互的で明確な支援を行うよう求める。

「岸田首相は尹大統領を援助するべきだ」
「会って握手するだけでは、あまりに弱腰だ」。

日本の慎重姿勢に対する不満

韓国政府関係者の間では、日本の慎重姿勢に対する不満が広がっているが、最初の一歩を踏み出すことと忍耐の両方が必要であることも理解している。

アメリカ高官も同様の見方を示している。

韓国政府は、参院選、および岸田首相と林外相の進退に大きな関心を寄せている。

林外相は日韓関係において積極的な役割を果たし、韓国政府幹部と良好な関係を築いている。

岸田首相も、2015年の日韓慰安婦合意の交渉を行い、合意を受け入れるよう安倍氏を説得したことで韓国政府高官から高く評価されている。

しかし、岸田首相は文政権によって慰安婦合意が頓挫したことで苦汁を舐め、韓国政府との新たな交渉に踏み切る意欲がないという見方もある。

新たに発表された官民による協議会は、「初めの一歩」を踏み出すために日本の要求に応えようという試みである。

同協議会は、受け入れ可能な解決策を見いだす際の課題を十分に認識している経験豊富な趙賢東(チョ・ヒョンドン)副外相が議長を務める。

協議会のメンバー12人には、学術専門家、企業出身者、そして重要なこととして、強制労働者たちの法定代理人を務める2人の弁護士が含まれる。

協議会の目標は、被害者たちの支持を得られる内容の、また日本にも受け入れられる可能性のある、具体的な提案を作成することだ。

当面の大きな課題となるのは、韓国最高裁による日本企業の資産差し押さえ命令の実施を回避することだ(日本企業とは、もともとは当時の新日鉄住金と三菱重工業のことで、最高裁は2018年にこの2社が戦時中自社工場や鉱山で韓国人を強制的に働かせたことに対し賠償金支払を命じる判決を下している)。

補償問題については、日韓関係を正常化する1965年の日韓基本条約および、それに伴う賠償請求問題などの解決に関する合意により決着済みという立場をとっている日本政府にとって、この資産差し押さえは超えてはならない一線だ。

理論的には、韓国の最高裁はいつでも差し押さえ命令を出すことは可能だ。

しかし、今回発足した協議会の支持者たちは、解決策が提案されるまで、裁判所はこの命令の実施を延期するものと信じている。

「命令の実施が延期されている間は、事態は停滞し、裁判所は彼らの言うことに耳を傾けるだろう」と、民主党の大統領選挙運動で外交政策の最高顧問を務めた元外務省の魏聖洛(ウィ・ソンラク)氏は話す。

「誰が事を進めて現金化の引き金を引くかについての判断が行われることはないだろう」と同氏は予測する。

専門家が考えるいくつかの解決シナリオ

官民協議会の設立に関わった専門家によると、いくつかの案が検討されているという。

1つは被害者とその弁護士に主張を放棄させるというものだが、これは不可能だと考えられる。

被害者の一部は、すでに協議会を批判しているタカ派の組織とつながっているのだ。

もう1つの案は、1965年の協定に組み込まれた仲裁手続に立ち戻るというものだ。

日本政府自体は当初、これを提案していた。

しかし、これには早くても数年かかり、すでに協定を否定している裁判所による資産差し押さえを阻止することは難しいとみられる。

最も現実的な案は、1965年の協定によって提供された日本からの融資や支援の恩恵を受けた韓国企業(鉄鋼メーカーのポスコなど)に、最初の賠償資金を提供させることだ。

その後、日本の企業はその目的のために設立された基金に自主的に資金を拠出するよう求められることになる。

このプロセスに関わってきた柳氏によると、被害者の弁護士はこの解決策を受け入れるという。

彼らは日本企業と直接対話できるよう日本政府に要請しているが、政府は今のところ1965年の協定を毀損するとして拒否している。

韓国政府の狙いは、このロードマップと足並みをそろえることで尹大統領と岸田首相の首脳会談につなげることだ。

しかし、そのためには岸田首相と日本政府も政治的リスクを負わなければならない。

2010年以来、公式訪問のない日本と韓国

韓国政府は、解決策への道を容易にするような日本からの何らかのジェスチャーを待っている。

関係改善に対する日本の真剣な関心を伝える第一歩は、文政権との関係悪化時から課されたままの韓国への輸出規制を撤廃することである。

もう1つは、慰安婦に関する河野談話と戦争責任に関する歴代内閣の声明の遵守を岸田首相が再確認することで「謝罪の態度」を示すことだ。

最も重要なのは、あらゆるレベルで通常の二国間会議を再開するための準備を整えることだろう。

驚くことに、2010年に当時の菅直人首相が訪韓して以来、日本の首相による国家としての韓国公式訪問は一度も行われておらず、2011年に京都で行われ悲惨な結果となった会合以来、韓国大統領による訪日もなかったということだ。

バイデン政権は、来るG20外相会議など別の行事の傍らで行う三者間会議を通じて三国間協力を推進する努力もしているが、これらはきちんとした外交に代わるものではない。

アメリカが日本に対し、韓国からのアプローチにより真剣に対応するよう静かに圧力をかけるほうがより効果があるだろう。

「日本は、外相会議やハイレベルサミットへの準備を整えて受け入れる必要がある」と、韓国の元高官は語る。

「日本がそうしなければ、韓国側の窓はいとも簡単に閉ざされてしまうだろう」。

ダニエル・スナイダー : スタンフォード大学講師



「韓国と北朝鮮が“新冷戦“突入で“朝鮮半島有事”の恐れ」

2023-02-14 15:53:24 | 日記
元駐韓大使が解説、
「韓国と北朝鮮が“新冷戦“突入で
“朝鮮半島有事”の恐れ」

※「ダイヤモンド・オンライン」にて、2023年1月11日に掲載された武藤正敏氏(元・在韓国特命全権大使)の記事転載になります。

By 武藤正敏(元・在韓国特命全権大使)

2023/01/21

日韓関係と朝鮮半島情勢が2023年には大きく動きそう


これまでの韓国国民の一般常識は「日本は韓国を支配したのだから、日本はそれを償わなければならない。日本に対し強く要求するのは当然であり、特に歴史問題について日本は譲歩すべきである」というものであった。

このため韓国は歴史問題になると、外交の常識を無視する行動に出た。

韓国は、過去の合意をほごにし、要求をつり上げてきた。
日本も慰安婦問題まではこれにしぶしぶ付き合ってきた。

しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権が歴史問題を政治利用し、一方的な要求を繰り返すようになると、日本は韓国を見限ることになった。

今後、日本は韓国とも普通の国同士のように、国益に基づき利害得失で判断する客観的な関係を構築する方向に動き出そうとしている。

その一方で、韓国は北朝鮮とは対話によって核・ミサイルの問題を解決することに専念し、北朝鮮の挑発に対して対抗措置を取ることをちゅうちょしてきた。

特に、文在寅政権は北朝鮮の非核化の意思を西側主要国に説いて回り、北朝鮮への制裁緩和を促すほど、北朝鮮擁護の姿勢を明確にした。

このため北朝鮮は、報復を恐れることなく核ミサイル開発を進め、朝鮮半島の脅威を高めてきた。

また、昨年末には5機のドローンを韓国に進入させ、そのうちの1機は大統領府の5km先まで近づいた。

北朝鮮を甘やかす韓国政府の姿勢が安全保障上の危機を助長してきたことを、韓国国民もやっと気付き始めたようである。

北朝鮮の敵対行為に対し、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は本腰を入れ対抗措置を取ろうとしている。

しかし、それが北朝鮮の一層の敵対行動を生むことは必定であり、2023年には朝鮮半島は新冷戦時代を迎えることになろう。

そうした事態に直面し、尹錫悦大統領は日韓関係の修復を急ごうとしている。

そのための第一の関門が徴用工問題の解決であり、それを前提とした日韓首脳の相互訪問の再開である。

日韓首脳は昨年、国際会議の場で9月(日本側は懇談と解釈)と11月に会談した。

尹錫悦大統領としては、今年の5月にはG7首脳会議で訪日するにしても、徴用工問題は単独訪日で解決し、関係の正常化につなげたいだろう。

そしてG7では日米韓首脳会談で結束を強化したいのではないか。G7より前であれば、2月~4月の訪問である。首脳会談の調整、元徴用工説得を考えると1月中に解決案を示し準備にかかる必要があろう。

2023年は、日韓関係、朝鮮半島情勢が大きく動く年になりそうである。

尹錫悦大統領が
徴用工問題の解決を決意か

1月12日、韓国外交部は徴用工問題に関する公開討論会を開催する。

韓国政府は、同討論会を通じて、事実上最後の国内意見の集約手続きを経た後、解決策を発表するといわれている。

公開討論会は民意の殿堂とされる国会で各界各層から広く意見を聞く場となり、尹錫悦政権にとって元徴用工の反発への防波堤となるだろう。

今回は日韓間の友好増進に多くの役割を果たしてきた韓日議員連盟と共同で主催するようであるが、そこには日韓関係改善の最後のハードルを乗り越える尹錫悦政権の意図を反映しているのだろう。

韓国政府が検討している解決策の骨子は、行政安全部傘下の公益法人である財団が主体となって韓国企業などから受け取った寄付金で被害者に賠償金代わりに補償する方式との説が有力である。

元徴用工側は「この案には日本政府と日本の被告企業(発言のママ)の謝罪や賠償などの内容が全く含まれていない」と反発している。しかし、尹錫悦政権としては、すべての元徴用工を満足させる案はあり得ないと覚悟を決めたようである。