日本と世界

世界の中の日本

ソニー・トヨタ・ソフトバンクが力合わせ「ファウンドリー」

2023-02-09 17:30:13 | 日記
ソニー・トヨタ・ソフトバンクが力合わせ「ファウンドリー」

韓国半導体が困窮する状況に追い込まれているのは半導体産業の地殻変動によるところが大きい。

サムスン電子とのメモリー半導体チキンゲームで連戦連敗した世界的半導体企業が非メモリー分野では新たな歴史を書くことになってだ。台湾はメモリーで万年後発走者だった。

しかしシステム半導体需要が増えると台湾はTSMCを中心に世界のファウンドリー(半導体委託生産)市場で1位に上った。

昨年の売り上げは2兆2630億台湾ドル(約10兆円)で過去最大を記録した。

前年より42.6%増えた規模だ。営業利益もこの期間に70%急増し1兆1600億台湾ドルを収めた。営業利益率は49.5%に達する。

一時メモリー市場でシェア80%を占めた日本は過去の栄光を取り戻すためファウンドリー分野で臥薪嘗胆している。

日本のラピダスは次世代半導体の国産化に向け来月までに工場用地を選定すると8日に明らかにした。

国内有力8社の出資で、新しい半導体メーカー「Rapidus(ラピダス)」が設立された。

ラピダスは政府の支援を受けつつ、現時点で最先端といわれる回路線幅2ナノメートルのロジック半導体開発に取り組む。

ラピダスの狙いは、半導体をはじめとする先端分野で、わが国企業を復活させることだ。

現在のように、国内で最先端チップを生産できない状況が続けば、わが国経済の競争力はさらに低下することは避けられない。

ソニーとデンソー、台湾積体電路製造(TSMC)の合弁企業が熊本県で生産する予定である22~28ナノメートルのチップを飛び越え、ラピダスは2ナノプロセスの確立を掲げている。

まさに、わが国半導体産業の起死回生を目指している。

ラピダスの設立に参加する8社は、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行だ。事業運営は2段階で計画されている。

まず、2020年代後半にかけて、回路線幅2ナノメートルのロジック半導体の量産体制を目指す。

製造技術の開発などはIBMなどと連携する。

政府は700億円を投じて支援する。量産体制の確立後、30年ごろにファウンドリーへの参入を目指す。

ラピダスが計画通りに2ナノのロジック半導体を量産し、競争力を発揮できるかは見通しづらい。

今後の展開は、官民の協力体制構築にかかっている。

組織力を高め、最先端のチップ製造技術の実現に取り組む体制をいち早く整備することが必要となる。


首都に集中、釜山は衰退 若者流出・産業低迷 政治へ期待薄く

2023-02-09 17:16:42 | 日記
首都に集中、釜山は衰退 若者流出・産業低迷 政治へ期待薄く

2021年4月6日 06時00分

<政権審判 4月7日 ソウル・釜山市長選㊦>

 幅1メートルもない路地が入り組んだ山の斜面に、段々畑のように平屋が立ち並ぶ。

所々に「空き家 出入り禁止」の張り紙が張られ、崩れそうな廃屋も目立つ。

朝鮮戦争時、避難民が住み始めてできた釜山プサン市東区の安昌アンチャン村。

再開発からも取り残され、出ていく住民が後を絶たない。

空き家や廃屋が目立つ釜山市東区の安昌村=3月29日撮影

◆「老人ばかりだ」

 2000年代には、建物に壁画を描いて観光客を呼び込み、村の再生を目指したが、頓挫。「近所の3分の2は出ていった。

4人の子どももみんな村を離れ、若い人はほとんどいない。老人ばかりだ」。40年以上、村で暮らしている女性(73)は嘆く。

韓国第2の都市、釜山。

1995年に388万人だった人口は、20年には339万人まで減少した。

安昌村がある東区のように半減した地区もあり、数年後には仁川インチョン市に抜かれる可能性がある。

人口減とともに経済も沈滞。

繁華街の西面ソミョンや南浦洞ナムポドンでは近年、空き店舗が目立つようになった。
西面の不動産業者は「新型コロナウイルスの影響もあるが、それだけではない。若い世代がどんどん釜山を出ていってしまっている」と話す。

空き家が目立つ釜山最大の繁華街・西面

 韓国は5000万人の人口の約半分が首都圏に暮らし、地方の若者も大企業に入るため、こぞってソウルの名門大を目指す。

過度の一極集中は地方都市の衰退を招き、釜山では造船などの産業も低迷。20年の統計では、労働者の平均賃金は、8つの主要都市の中で最低の250万ウォン(約24万円)で、ソウルより45万ウォン低い。

◆冷めた市民

 市長選に入り、革新系与党「共に民主党」候補の金栄春キムヨンチュンは30年までに新空港を建設し国費7兆5000億ウォンを投入すると表明。

保守系野党「国民の力」候補の朴亨埈パクヒョンジュンも新空港に賛成しつつ、新空港と市内を結ぶ高速鉄道の整備も公約に掲げる。

雇用や教育の充実も訴えるが、互いに大規模事業を前面に押し出し、過去の言動や政策を批判し合う選挙戦を、市民は冷めた目で見る。

「大金をつぎ込んで空港をつくって何になるのか。もっとやらないといけないことがあるのではないか」。安昌村で自治会長をしている女性(67)は、ため息をつく。

 元々、保守が地盤とする地域だが、釜山近郊の巨済島コジェドで生まれ、小学校から高校まで釜山で過ごした文在寅ムンジェイン大統領には期待も大きかった。

経済政策は成果がなく、政権の不祥事も相次ぐ。

「最初の期待は、すべて消えてしまった」。

前回の大統領選、釜山市長選ともに革新系の候補に投票したという金吉成キムキルソン(42)は、言う。

勤める自動車会社は早期退職を募って人員を減らしている。

「未来が見えない。今の政権を見れば、与党に入れる気にはならないし、保守も嫌だ。投票しないことも考えている」

(敬称略、釜山で、中村彰宏、写真も)=おわり


高齢者が貧困に苦しむ韓国。貧困率や自殺率もOECD加盟国トップ

2023-02-09 16:55:13 | 日記
高齢者の貧困率は先進国の約3倍日本の倍のスピードで高齢化する韓国

2022年3月10日

韓国の統計庁が、2020年の韓国の高齢者貧困率が38.9%だったことを発表しました。30%台に下がったのは初めてのことで、前年の2019年よりも2.5ポイント低下したそうです。

しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の約3倍にあたることから、韓国の高齢者の経済状況が悪いことに変わりはないようです。
目次
  • 1. 貧困率が前年よりも減少するも…
  • 2. 経済成長と社会保障の板挟み
貧困率が前年よりも減少するも…
韓国の日刊紙「中央日報」が「統計庁が2020年の韓国の高齢者貧困率を公表した」と報じました。

それによると、韓国の65歳以上の高齢者の相対的貧困率(その国の生活や文化を基準にした貧困率)は、38.9%。2019年よりも2.4%減少しており、30%台になったのは調査開始した2011年以降初めてのことです。

韓国の高齢者貧困率は、2011年の46.5%からは低下傾向にある様子。2016年には43.6%となり、2018年は42%まで減少しています。
とはいえ、先進国から見るとかなり高いと言わざるを得ません。
2019年のOECD加盟国の高齢者貧困率は平均13.5%なので、3倍近い数字であることがわかります。
ちなみに、日本の高齢者貧困率は20%。韓国ほどではないにしても、日本も平均よりも高いですね。
このように韓国や日本の高齢者貧困率が高い理由は、高齢化が進んでいることにあります。
2020年時点の高齢化率は、日本で28.4%、韓国で15.79%。当然、韓国の方が高齢者の割合は低いのですが、韓国はこの10年で毎年平均4.2%高齢者の人口が増えているそうです。日本は2.1%の増加率なので、日本の2倍の早さで高齢化が進んでいます。

さらに、韓国が年金制度を導入したのが他の先進国に比べて遅かったこともあり、制度の拡充が高齢化のペースに追いついていないのが現状のようです。
韓国と日本の年金については、こちらの記事でも紹介しています。

高齢者が貧困に苦しむ韓国。貧困率や自殺率もOECD加盟国トップ
今月13日、韓国の日刊紙「東亜日報」が、経済開発協力機構(OECD)に加盟する38ヵ国の中で、韓国の老人 ...
 
経済成長と社会保障の板挟み
韓国の高齢者貧困率の高さは「経済成長を急いだ反動」とも言われています。
というのも、韓国で年金制度の施行が遅れた理由は、経済成長を優先させたから。社会保障を充実させると企業の負担が増えるため、経済成長の足かせになると考えたようです。

しかし経済成長を優先した結果、セーフティネットの整備が遅れて高齢者の貧困率が高くなってしまいました。
そうした現状を見て、国の将来を支える若者が希望を持てなくなってしまっています。
”今”の経済も重要ですが、”将来”の自分である高齢者が安心して暮らせる政策を実行してもらいたいですよね。
2022年3月10日

韓国の統計庁が、2020年の韓国の高齢者貧困率が38.9%だったことを発表しました。30%台に下がったのは初めてのことで、前年の2019年よりも2.5ポイント低下したそうです。

しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の約3倍にあたることから、韓国の高齢者の経済状況が悪いことに変わりはないようです。

目次
  • 1. 貧困率が前年よりも減少するも…
  • 2. 経済成長と社会保障の板挟み
貧困率が前年よりも減少するも…
韓国の日刊紙「中央日報」が「統計庁が2020年の韓国の高齢者貧困率を公表した」と報じました。

それによると、韓国の65歳以上の高齢者の相対的貧困率(その国の生活や文化を基準にした貧困率)は、38.9%。2019年よりも2.4%減少しており、30%台になったのは調査開始した2011年以降初めてのことです。

韓国の高齢者貧困率は、2011年の46.5%からは低下傾向にある様子。2016年には43.6%となり、2018年は42%まで減少しています。

とはいえ、先進国から見るとかなり高いと言わざるを得ません。

2019年のOECD加盟国の高齢者貧困率は平均13.5%なので、3倍近い数字であることがわかります。

ちなみに、日本の高齢者貧困率は20%。韓国ほどではないにしても、日本も平均よりも高いですね。

このように韓国や日本の高齢者貧困率が高い理由は、高齢化が進んでいることにあります。

2020年時点の高齢化率は、日本で28.4%、韓国で15.79%。

当然、韓国の方が高齢者の割合は低いのですが、韓国はこの10年で毎年平均4.2%高齢者の人口が増えているそうです。日本は2.1%の増加率なので、日本の2倍の早さで高齢化が進んでいます。

さらに、韓国が年金制度を導入したのが他の先進国に比べて遅かったこともあり、制度の拡充が高齢化のペースに追いついていないのが現状のようです。
韓国と日本の年金については、こちらの記事でも紹介しています。

高齢者が貧困に苦しむ韓国。貧困率や自殺率もOECD加盟国トップ

今月13日、韓国の日刊紙「東亜日報」が、経済開発協力機構(OECD)に加盟する38ヵ国の中で、韓国の老人 ...
 

経済成長と社会保障の板挟み
韓国の高齢者貧困率の高さは「経済成長を急いだ反動」とも言われています。
というのも、韓国で年金制度の施行が遅れた理由は、経済成長を優先させたから。社会保障を充実させると企業の負担が増えるため、経済成長の足かせになると考えたようです。
しかし経済成長を優先した結果、セーフティネットの整備が遅れて高齢者の貧困率が高くなってしまいました。
そうした現状を見て、国の将来を支える若者が希望を持てなくなってしまっています。
”今”の経済も重要ですが、”将来”の自分である高齢者が安心して暮らせる政策を実行してもらいたいですよね。



「所得代替率」とは、年金受給開始の時点(65歳)で年金額が、現役世代の手取り収入額(賞与含む)と比較してどのくらいの割合かを示す指標

2023-02-09 16:29:05 | 日記
「所得代替率」とは、年金受給開始の時点(65歳)で年金額が、現役世代の手取り収入額(賞与含む)と比較してどのくらいの割合かを示す指標です。
ですので、世帯一人当たりの所得水準が違うと所得代替率は変わります。

正確に算出する事は難しいため、参考指標として考えてください。

たとえば、「所得代替率50%」の場合は、そのときの現役世代の手取り収入の半分、50%を年金として受け取れるということになります。

なぜ所得代替率が必要?

公的年金制度には、年金受給の「額面」ではなく一定の「価値」を保障するといった側面があります。

インフレや所得水準が上がったときも、年金の「額面」を固定してしまうと年金受給額の「価値」が下がってしまう恐れがあります。

今の価値で100円で買えるものが20年後30年後には120円出さないと買えなくなるかも知れません。

このような事がないように、公的年金制度ではモデルケースの「モデル年金」と「所得代替率」を設定し、年金受給開始時の現役世代の手取り収入額と比較してどれくらいの年金額を受給できるか、という基準(ものさし)を設けているのです。

公的年金の強みは、インフレを考慮して将来の受給額の調整ができる点です。民間保険では仕組みとしてインフレには対応できません。

所得代替率50%をめざす

所得代替率50%を目指すと「100年先まで公的年金制度が安心して持続できる」と言われています。
そのため、所得代替率が50%を下回らないように現役世代の手取り平均収入の約半分くらいはその時の年金受給者の受給額になるようにしましょう、と言う考え方です。

公的年金で安心して暮らせると言うことではなく「100年先まで年金制度が続く」と言うことも頭に入れておきましょう。

現在の所得代替率はどれくらい?

2019年の財政検証の資料を見ながら説明していきます。

モデルケースを決めて試算し、経済が成長した場合と成長しなかった場合に分けて所得代替率がどうなるか検証が行われました。

ここでいうモデルケースは以下のとおりです。

夫は平均的な収入で(ボーナス含む42.8万円)40年間就業 厚生年金に加入
妻は40年間にわたり専業主婦

政府が用いたこのモデルケースは多くの世帯には当てはまらないかも知れません。
あくまで「平均手取り収入」に対して「モデルケースでの年金受給額」を比較する指標となります。

以下、2019年の財政検証の結果を抜粋した資料です。


2019年の所得代替率は61.7%でした。

所得代替率=(夫婦二人の基礎年金13.0万円+夫の厚生年金8.0万円)÷現役男子の平均手取り収入額35.7万円

モデルケース世帯では現在の所得代替率で見ると年金受給額は夫婦で約21万円です。

上記は一番経済が成長するケースⅠと、経済成長が0%のケースⅤを解説したものです。

ケースⅤでは所得代替率が50%を下回っている事が分かります。

その場合、今の現役世代がおさめた金額だけで年金を支給する事が出来ないため、不足分を年金の積立金から取り崩しながら給付していきます。

そのまま取り崩しが続けば積立金が枯渇すると言われており、2053年以降は賦課(ふか)方式になります。賦課方式とは現役世代が収めた金額が少なければ受給が少なく、収めた金額が多ければ受給が多くなります。
現在30歳の人が年金を受給する頃には、子供やその下の世代が収めた保険料から自分の年金を受け取るという事です。

参考資料

マクロ経済スライドとは・・賃金や物価が上昇すると年金の額が増える。
一定期間、年金額の伸びを調整する(賃金や物価が上昇するほどは増やさない)ことで、保険料収入などの範囲内で給付を行いながら、長い目で公的年金の運営していく。

財政検証は5年に一度行われ、概ね100年後に積立金として「年金給付額の約1年分」を持つことができるように、調整期間を見通している。その後の財政検証で、年金財政に問題がなく均衡を図れると見込まれた場合には、年金額の調整を終了する。

参考:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html

私たちはどうすれば良いのか?
公的年金が老後資金の柱である事に変わりはなく、年金制度が破綻することはないと考えます。
しかし、今後の労働人口は減少していくため、年金受給者を支える人口はどんどん減っていくと予測されます。

そのため、65歳時点で十分な年金額を受給することは期待できず、また受給開始の年齢が繰り下げになる可能性も頭に入れておかなければいけません。

年金に対しての現状を知り、より良いセカンドライフを送るためには公的年金だけをあてにすることなくコツコツ資産の準備をしていくことが大切です。
老後資金の準備の方法はいくつかありますが、税金でメリットの多い確定拠出年金を活用される事をおすすめします。



韓国での統一教会はどんな存在? 問題になったことはないの? 韓国在住40年の黒田さんに聞いてみた

2023-02-09 16:02:46 | 日記
韓国での統一教会はどんな存在? 問題になったことはないの? 韓国在住40年の黒田さんに聞いてみた

■韓国在住40年の日本人ジャーナリスト、黒田勝弘さんインタビュー
安倍元首相の銃撃事件で注目が集まっている統一教会(現世界平和統一家庭連合)。
1950年代に韓国から日本に来たこの宗教、韓国ではどのような存在なのでしょうか。
韓国在住40年の日本人ジャーナリスト、黒田勝弘さんに聞いてみました。

黒田さんは2013年に刊行した角川新書『韓国 反日感情の正体』で統一教会について言及。合同結婚式で韓国に渡った日本人妻に着目し、韓国社会の受け止めなどをウォッチし続けています。

■韓国では「統一教会問題」への関心は低め

――7月の安倍元首相の銃撃事件後、統一教会が大きくクローズアップされており、改めて2013年に刊行した黒田さんの角川新書『韓国 反日感情の正体』を読み直しました。
最後の章で、統一教会のことを取り上げていたからです。今回の統一教会問題に関して、韓国での関心はどうですか。

黒田:安倍元首相が亡くなった時は韓国でも大々的に報じられ、日韓関係への影響など政治外交的な意味で大きな話題でしたが、その後の「統一教会問題」はあまり伝えられていません。
日本国内では、それが自民党非難となって政治問題化していることを含め、一般の人はほとんど知らないですね。

――8月18日には、ソウルの中心街で在韓日本人女性らの信徒たちによる抗議デモがあったと報じられています。日本国内における統一教会非難に抗議する、という趣旨ですが、市民など韓国での反応はいかがでしたか。

黒田:現場に行ってみましたが、全国各地から貸し切りバスでやってきていましたね。警察当局の発表でも約3500人でしたから相当の規模でした。
ほとんどが中年以上の日本人女性で、日本語のプラカードも掲げられていて、日ごろデモの多いソウルでも珍しいデモでした。

 沿道の市民の一部は不思議そうに見てましたが、しかしテレビ、新聞などマスコミではまったくといっていいほど報道されなかったですね。韓国にとって今回の日本での統一教会問題は不愉快なことですから触れたくない、避けたいという心理の表れですね。

――日本での巨額献金のことは話題になっていないのでしょうか。

黒田:とくに関心の対象にはなっていませんね。韓国から日本への資金流出ならともかく、日本から韓国に入っているので問題視する必要はないわけです。銃撃事件の背景になっている容疑者の母親の件も、特異宗教にはまった特異例、といった受け止め方です。

――統一教会の名称変更は韓国ではどうなっていますか。

黒田:韓国では日本より早く「世界平和統一家庭連合」になったように思います。ソウル駅近くの鉄道沿いに10階建てほどの本部ビルがあって電車からよく見えます。そのビルの名称がいつの間にか変わってましたね。
 しかし一般の人はみんな今でも「トンイルギョ(統一教)」といってますよ。

■韓国における布教活動は?

――日本で問題になっているのはいわゆる霊感商法や巨額献金などですが、韓国ではそういった事件的なことはなかったのですか。

黒田:韓国における統一教会の巨額献金事件というのは聞かないですね。どの宗教、宗派も信徒集め、つまり布教活動はあの手この手でやってますが、統一教会の布教活動が日本でのようにことさら問題になったことはなかったですね。
宗教団体の献金については、韓国の多くのキリスト教会で必ずしも強制ではないですが「収入の10%を」といわれているように、よくあることですからね。

 統一教会は、教祖が外国人男女を結びつける合同結婚式や、ソウル近郊に広大な「統一教タウン」、さらにリゾート開発や飲料メーカー、旅行社、プロサッカー、不動産経営などビジネス活動で知られていましたが、宗教としての影響力はそれほどなかったと思います。

――日本では自民党との関係が問題になっていますが、韓国では政治との関係はいかがですか。
黒田:統一教会には当初、国際勝共連合という政治団体があって共産主義反対の運動をやってましたから、北朝鮮の脅威にさらされてきた韓国では政治的影響がありました。東西対立の冷戦時代だった1980年代までは韓国政府と密着していたように思います。
 日本の自民党との関係もそうした冷戦時代の名残りといえますが、韓国社会では民主化時代が始まった90年代以降、それまでの「反共」とか「勝共」といったスローガンが姿を消し、統一教会の政治的影響力も後退した印象です。
韓国では保守勢力の中心を一般のキリスト教会が占めていて政治的影響力も強いので、マイナーな統一教会が出る幕はないということでしょう。
――統一教会が韓国系ということで日本社会ではあらためて反韓・嫌韓感情が刺激されています。韓国にとっては気になる出来事だと思うのですがいかがですか。

黒田:韓国人にとっても本当は大いに気になることなんですが、それゆえに韓国メディアは伝えることを遠慮しているように見えますね。
 理由は二つあって、一つは今回、統一教会非難というのはいわば韓国が批判、非難されているようなものですから、そんなイヤな話は知りたくない、伝えたくないという拒否感。もう一つは、統一教会は韓国ではごくマイナーな特異な宗教というのが一般的な受け止められ方なので、従来からその動向は無視するというところがあります。
 同じ韓国モノでもドラマやKポップの日本での人気ぶりはしょっちゅう大きく伝えられ、みんな気分がいいのですが、統一教会関連はいささか迷惑という感じでしょうかね。
■韓国でキリスト教徒が多いわけ
――統一教会はキリスト教系でマイナーということですが、韓国はキリスト教徒が多いですよね。
黒田:5000万人を超える全人口の3割以上がキリスト教で、病院やコーヒーショップより教会の数が多いといわれるほどです。韓国旅行をすれば分かりますが、どこに行っても夜空に教会の十字架のネオンが輝いています。
そんないわばキリスト教の本場みたいなところですから、統一教会は異端あるいは邪教視されていて、韓国では広がっていません。街頭での布教活動などほとんど見たことがないですね。

 かなり以前、統一教会の若い日本人男女が地下鉄の車内で募金活動をしたり、住宅街で新聞配達をしているのが話題になったことはありましたが。

――そもそも韓国でキリスト教徒が多いのはなぜですか。
黒田:一般的にいえば背景として、
 ①韓国には伝統的に「ハヌニム(天の神)」という絶対神(一神教)が存在するという考え方があった(ハヌニムは国歌にも登場する)
 ②日本統治時代に教会が韓国人を保護した
 ③解放後、とくに朝鮮戦争の後、米国のキリスト教会が物心面で人びとを救援した
 ④急速な産業化、都市化による故郷喪失者の心の拠り所になった
 などが挙げられます。と同時に「純粋で思い込みが激しい」という韓国人の気質に合ったからという説もありますね。

 そのあたりは角川新書の拙著『韓国人の研究』(2014年刊)で紹介したことがありますが、韓国のキリスト教会の海外活動は世界で米国に次いで2番目に活発といいます。

彼らはあのイスラム世界でも平気で布教活動をして、逮捕されたり殺害されたり、よく問題になってます。

――韓国では異端視されたマイナーな統一教会が、日本で多くの信者を集め、莫大な資金を獲得できたのはなぜだと思いますか。

黒田:そのことは日本人、日本社会の問題なので専門外ですが、韓国がらみであえて日本的な背景を考えれば、日韓の歴史にかかわる贖罪(しょくざい)意識があったと思います。

 昔、韓国を併合し支配したことに対する「すみません」という意識ですが、戦後日本では教育やメディア、大学など知識人世界ではこれが広範囲に存在しました。

今でも慰安婦問題やユネスコ歴史遺産問題などをめぐって、日本では韓国の立場を支持し支援する運動が結構あるじゃないですか。

統一教会はこうした日本人の対韓贖罪意識を、つまり原罪意識としてうまく利用し、大学での原理研究会などを通じて真面目(?)な若者を引き込んだように思います。

以下は余談になりますが、したがって日本社会では左翼・リベラル系と反共の統一教会系が対韓贖罪意識では共通していて、日本社会を悩ませているということですね。

■韓国に渡った日本人妻たちの今

――『韓国 反日感情の正体』で書かれていたのは、合同結婚式で韓国にわたった統一教会の日本人妻たちのことでした。苦しい家庭生活で思い余って病弱の韓国人の夫を殺してしまった事件も紹介されています。本の刊行からもうすぐ10年になりますが、彼女たちの現状はいかがですか。
黒田:集団としては今回の抗議デモの風景がそれですが、その存在が日常的に表面化することはあまりないですね。

 現在、日本大使館が把握している韓国在住の邦人は約4万人で、その約半数が結婚女性とその子供となっており、そのほとんどが統一教会関係者と見られています。

日本からの献金を想定した教会の方針でしょうか、彼女らは日本国籍を維持していて、しかも地方在住が多いので、大使館としてはパスポート発給など対邦人業務で定期的に地方出張をしているほどです。

 本で紹介した殺人事件では、韓国のメディアが日本人妻を反日的に悪しざまに報道したのに対し、ネット世論では逆に同情論が強く、むしろ病弱で定職が無く、酒グセの悪い夫を長年、苦労しながら支えた日本人妻を称賛し、メディアを非難する声が圧倒的だったという話でした。

 ボクもこれまで個人的に信者の日本人妻から、離婚話などを相談されたことがあります。

 一つは、夫が重度の障害者で離婚したいのだが、夫の家族から巨額の慰謝料を要求され困っているという話で、もう一つは離婚予定の日本人女性を引き取って結婚したいという、韓国人男性からの相談でした。ただ、信仰心もあって多くの日本人女性はガマン強く、苦労しながらも定着しているという印象ですね。

――韓国の地方では「嫁とり」のために、男性が統一教会に入るケースもあると聞きましたが。
黒田:ローカルではよく耳にしましたね。なかには「日本の嫁がきたので商売が繁盛した」などといって、われもわれもと日本人女性を求めるとか。

 大使館関係者がいっていましたが、韓国では近年、ベトナムやフィリピン、中国など外国人嫁による“多文化家庭”が増え、各地で「多文化共生社会」を目指す行政やイベントが活発ですが、その現場で統一教会系の日本人女性たちが先頭に立っているといいます。彼女らは真面目でほとんど大卒ですから。

 あるいは韓国KBSテレビの長寿番組に「NHKのど自慢」をまねた、各地を回る「全国歌自慢」というのがあるのですが、そこにも時々、そうした地方在住の日本人女性が登場しますね。それだけ韓国社会に定着しているということですね。
――著書の『韓国 反日感情の正体』では韓国における創価学会のことも書かれてます。その意図はなんだったのでしょうか。
黒田:統一教会は日本では外来の韓国系新興宗教でしたが、その意味では韓国における日本系の創価学会も似たような立ち位置にあるということで、その様子を紹介したのです。

 創価学会は海外では通称「SGI(ソウカガッカイ・インターナショナル)」といってますが、韓国では今や信徒数160万人の大教団になっています。当初は「倭色宗教」とか「宗教侵略」などと非難され、反日の対象として排斥されていたのに、それがなぜ成功し定着したのだろう? 「あの韓国でここまで日本が入り込んでいる!」という驚きもあり、その秘密みたいなものを探りました。
――創価学会と統一教会を比べるのは少し無理がありませんか。
黒田:宗教団体としての比較ではそうかもしれません。ただボクの関心は、統一教会の日本人妻たちも日本宗教の創価学会も共に韓国における「日本」ということですから、それが韓国社会にどんな影響をもたらすのか、気になったわけです。ウオッチャーのボクとしてはやはり関心の対象ですね。

■プロフィール
1941年、大阪生まれ。産経新聞ソウル駐在客員論説委員、神田外語大学客員教授。64年、京都大学経済学部を卒業後、共同通信社に入社。78年、韓国・延世大学留学後、共同通信ソウル支局長に。89~2011年、産経新聞ソウル支局長兼論説委員。1992年、ボーン・上田記念国際記者賞、2005年には菊池寛賞および日本記者クラブ賞を受賞。近著に『韓国語楽習法』(角川新書)。在韓40年。