2023年01月20日
北朝鮮経済ニュース時評
朝鮮半島情勢は、ロシアのウクライナ侵攻と共に大きく変わった。北朝鮮が、にわかにミサイル発射実験を行ない、韓国侵攻への構えを見せ始めたからだ。
ロシアに倣って、北朝鮮も韓国へ攻め込もポーズを取っているのである。
韓国左派メディアは、北朝鮮をけん制すべく日米韓三カ国による防衛協力の動きを批判し、自衛隊が韓国へ進駐するというあり得ない話を盛上げている。
自衛隊が、韓国防衛のために進出することなど、日本の国民感情からもあり得ないのだ。こういう非現実的な話題で、北朝鮮による有事をぼやかしているのであろう。
『フィナンシャル・タイムズ』(1月16日付)は、「朝鮮半島有事、備えあるか 情勢判断難しく」と題する記事を掲載した。
2022年の年末近くに開かれたあるセミナーに参加した際、自分が生き残れる確率はゼロより多少はましらしいと知って、妙に慰められた。
そのセミナーは戦争や戦争に至るまでの様々な危機に対し、企業や政府がどう備えるべきかについてコンサルティング会社のコリア・リスク・グループが開催したものだった。
(1)「このセミナーは、朝鮮半島情勢がこの1年で悪化したという認識のもとに開催された。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を手に入れた今、新世代の戦術核兵器や戦場核兵器の開発に全力を挙げている。
専門家たちは、それらは広範囲にわたる殺傷能力を持つ戦略核兵器などに比べ、使用に踏み切るハードルが低いだけに懸念を深めている。
昨年からのロシアによる大規模なウクライナ侵攻を受け、各国の政府や企業はほかの地域でも起こり得る紛争に備える必要性を痛感している。とりわけ台湾と韓国についてはそうだ」
ロシアのウクライナ侵攻は、台湾や韓国でも同様の事態が起こることを示唆している。
中国と北朝鮮という権威主義国家が、ロシア同様にいつ侵攻作戦を始めるか分からない不気味さを抱えているからだ。
(2)「(紛争に備える)その計画を策定する関係者は深刻なジレンマに陥っている。朝鮮半島では今や当たり前になっている緊張関係は、一体どの時点で危機に変わるのだろうか――。
危機がどの段階に達すれば、戦争に真剣に備え始めるべきなのか。
そしてもし戦争が始まりそうになったら、どの時点で退避を決断すべきなのか。
英コンサルティング会社、コントロール・リスクスの在韓国アナリスト、アンドリュー・ギルホルム氏は「それらを評価・判断するのは極めて難しい」と指摘する。
「慎重を期して避難させて何も起きなかったという事態が何年かごとに繰り返されればバカのようにみえる可能性があるし、戦争が明らかに始まるきっかけを待っていたのでは手遅れになるリスクがある」ためだ」
緊張関係は、どの時点で戦争への危機に変わるのか。それを判断するのは極めて難しいが、いつ起こっても慌てないで退避できるには普段からの準備が欠かせない。
(3)「多くの外資系企業は、有事に備えた計画を立てていないが、必要が生じた場合に従業員を朝鮮半島から退避させる入念な計画を策定している企業もある。
そうした避難計画では、従業員らが何とかしてソウルから脱出する方法を見つけ出して脱出し、港に集まり、そこから船で中国や日本に向かう計画が盛り込まれている。
しかし、平時であっても大型連休にソウルから出る大変さを知っている人なら、非常時にソウルから脱出するなどほぼ不可能だと断言するだろう。
したがってソウルに暮らす人々にとって最善の方法は、地下鉄の駅や地下駐車場、あるいは市内に点在する数多くの指定された防空壕(ごう)の一つに逃げ込むことだろう」
非常時に、韓国から脱出すのはパニック時だけに困難である。とすれば、シェルターに避難するほかない。
(4)「少なくとも紛争の初期段階では、一部の人が想定しているように北朝鮮はソウル全体をせん滅しようとするよりも、主な軍事施設や司令部、重要インフラを対象にした精密誘導兵器による攻撃を仕掛けてくるだろうと多くの専門家は考えている。
そうした事態に備えるため、ソウルで働く多くの外国人従業員は、自宅に「非常用リュックサック」を準備しておくよう会社から指示されている。
それには水から保存食品、ヨウ素剤、現金、懐中電灯、衛星電話、放射線量を測定するガイガーカウンターに至るまで、地下や紛争後の環境で30日間生き延びるために役立つ用品をぎっしり詰めておくことを求められている」
下線部のように、外国人従業員は自宅に「非常用リュックサック」の準備を会社から指示されている。平和になれた日本から見れば、忘れかけている戦時中の苦しみを思い出させる話だ。韓国では、30日間生き延びるために必要な物資の備蓄を求められている。
韓国左派メディアは、自衛隊が旭日旗をはためかせた韓国へ進軍すると、もっともらしく話を作っている。
だが、同盟国でない国へ自衛隊が上陸することなどあり得ない。
ましてや、反日国の韓国へ自衛隊が進軍したらどうなるか、だ。情緒的な自衛隊の韓国上陸論は願い下げにしたいものである。