日本と世界

世界の中の日本

日本・ドイツのような強大国も中国圧迫に手をやく

2021-11-29 14:38:00 | 日記
【コラム】日本・ドイツのような強大国も中国の圧迫に手をやく(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.12.18 10:45


「中国に対抗すれば世界のどのような国であろうと即刻弾圧を受ける」。

オーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所(Lowy Institute)が最近フィナンシャル・タイムズ(FT)を通じて指摘した中国の強圧的覇権の様相だ。

同研究所のリチャード・マクレガー上級研究員は「自由主義国家間の協力がなければ中国の圧迫はますます露骨化する可能性が高い」と懸念した。

事実、世界中ほぼすべての国がこの苦悶に陥っている。これまで自由主義陣営国家は米国による安保の傘の下、中国市場でビジネスを展開してきた。

しかし、中国の覇権拡張が本格化すると状況が急変した。中国の立場で少しでも癪に障るようなことがあれば経済報復や外交圧迫を躊躇(ちゅうちょ)しない。

オーストラリアはそのような中で今中国と最も葛藤を深めている国だ。

南シナ海紛争からファーウェイ(華為)5G移動通信主導権の葛藤、新型コロナウイルス(新型肺炎)責任攻防まで中国と鋭く対立している。

中国はオーストラリアのアキレス腱を刺激している。

オーストラリア産の麦・ワインに莫大な関税を課し、牛肉・石炭の輸入を制限したり反ダンピング調査に着手したりした。

マクレガー氏は「われわれが間違っていた」とひざまずくまで、中国の報復が続くだろうと予想した。

さらに深刻な問題は、中国が海外メディアの報道に対しても不満を隠さないという事実だ。

さらに一歩踏み込み、露骨に海外メディアの表現の自由までも統制しようとする意図を示しているという懸念が、米国や欧州メディアからあふれている。

オーストラリアのこのような境遇は全く他人事ではない。

英国週刊誌「エコノミスト」は「中国が主に米国の中小同盟国を刺激している」と分析した。

経済力が脆弱な中南米・アフリカ国家は地理的に遠く、中国から経済援助を受けている場合が多い。

インドは図体が大きいため中国は軽視できない。

国境紛争が起きても、兵力を派遣して肉弾戦を行うのがすべてだ。

インドは中国アプリの使用を中断して対抗している。しかし中国と貿易依存度が高い国々が進退苦難に陥った。

その代表的な国がオーストラリア・韓国・ドイツ・日本だ。

◆中国威力の前に日本は実利的対応

中国は常に弱点を叩く。

オーストラリアは米国・英国・カナダ・ニュージーランドとともに安保を共有する「ファイブアイズ(Five Eyes)」同盟国だ。

香港事態に関連し、これら5カ国が中国に対する非難声明を発表すると、中国はオーストラリアを集中的に叩き始めた。

中国に対する貿易依存度が30%に達し、2500万人口の雇用12件に1件が中国に関連したものだ。

FTは米国が不明瞭な政権交代期を迎え、中国のこのような「戦狼(wolf warrior)外交」はさらに本格化する可能性が高いと指摘した。

戦狼外交は2015年に中国歴代最多観客を動員した愛国主義アクションヒーロー映画『戦狼』シリーズから名称を引用してきた。

今は自国の利益を守るためには周辺国との対立も辞さない圧迫外交の象徴になっている。

このような現実のもと、オーストラリア・韓国・ドイツ・日本はそれぞれ置かれている境遇が少しずつ違う。

このような違いからもはっきりした教訓がある。独自の技術力を確保していれば、中国は相手に無茶な扱いができないという事実とあわせて、中国と対するときには柔軟性が必要だという点だ。

まず注目するべきは日本だ。

中国の影響力拡大に対して、実際のところ最も当惑しているのは日本だ。

日本はバブル経済が頂点に達していた30年前には中国に追い越されるとは想像すらしていなかった。

しかし中国が2010年に日本の経済規模を追い抜いた後、今は日本の3倍に達している。

このような現実のためなのか、日本の対応は非常に実用的だ。安倍晋三首相さえ在任8年間、中国を刺激しないように努力している姿が歴然としていた。

中国も日本に対しては慎重だ。

日本が実効支配している尖閣諸島(中国名・釣魚島)紛争をイシュー化することは避けている。

経済規模で見れば中国は日本を圧倒しているが、日本の先端技術と自衛隊の軍事力を無視できないためだ。

新型コロナウイルス(新型肺炎)事態の直前には習近平国家主席が国賓訪問を推進するほど友好的な関係を構築してきた。

2018年に本格化した協力的二国間関係をより一層篤実にする過程だ。このような関係が可能なのは、一言で日本の国力だ。技術力や軍事力の側面からみる時、中国が軽く見れるような相手ではない。

【コラム】日本・ドイツのような強大国も中国の圧迫に手をやく(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.12.18 10:47


◆ドイツも中国依存度を減らすために全力

ドイツの悩みも深まっている。

アンゲラ・メルケル首相はこれまで西欧先進国が貿易と投資を通じて中国の行動を民主的な方向に導くことができると主張してきた。

そのような信念を持っていたメルケル首相さえ、最近考えが変わった。

機会があるたびにドイツ企業に中国に対する依存度を減らし、他の代替市場を探すよう求めるようになった。

15年前メルケル氏が首相に就任した当時、ドイツは中国より経済規模が大きかったが、今は中国の4分の1程度に縮小した。

ドイツも経済規模は成長したが、2001年世界貿易機関(WTO)加入以降、中国が世界の工場になってから格差が急激に変化した。

ドイツ自動車産業は進退苦難に陥った。

フォルクスワーゲンは中国で工場をはじめ事業場26カ所を運営中だ。

イスラム教徒に対する人権弾圧が深刻な新疆ウイグルにも工場がある。

中国人の気分を害したら悪い影響が及ぶかもしれないという不安で、何かにつけて慎重になっている。

昨年ベルリン駐在中国大使は遠慮もなく「ファーウェイ(華為)に関連し、ドイツが米国の肩を持つなら、中国内のドイツビジネスが危機に直面する可能性がある」と警告した。

ドイツの立場では中国に対する輸出依存度が8%水準に止まっていることは幸いだ。

30%を越えるオーストラリアや25%に達する韓国よりは中国経済の影響力が弱い。

ドイツはこのような基本関係に基づいてドイツの長所を強化しようという戦略を立てている。

中国が2021年から技術自立を強化すると宣言すると、ドイツは世界最強の機械装置分野の先端技術をさらに強化していくことにした。

中国が経済力を前面に出して影響力を拡大し始めるようになったことを受け、先端技術力を強化して中国の威力拡大を遮断する戦略だ。

中国市場から撤収することもできないため、超格差を維持するほかはないというアプローチだ。

◆企業がのびのび活動できてこそ技術優位を確保して市場多角化も可能

中国は経済覇権「崛起」の最終段階に向かってひた走っている。

半導体を頂点に、核心製造業技術で米国をはじめ先進国に対する依存度を減らすという目標に向かっているからだ。

韓国がどの道に進むべきかは日本・オーストラリア・ドイツが示している。

一言で、唯一の支えは経済力で、これに加えて若干の柔軟性だ。

今は紛争になっても戦争で解決する時代ではないため、経済力が最も強力な武器となる。

日本とドイツが技術力を守って中国市場依存度を低くしようとしている理由だ。

世界最高水準の先端技術を武器に、韓国・オーストラリアよりも輸出対象が多角化しているためだ。

中国との関係をいい加減にしないことも重要だ。

自尊心の高いドイツや日本も中国との関係を最大限友好的に維持しようと努めている。

ドイツは中国で車を売ることができ、日本も中国市場で機会を逃さないようにしている。

菅義偉首相は王毅中国外交部長が最近日本を訪問した時、「安定した二国間関係を希望する」と強調した。

尖閣をめぐって互いに領有権を主張しているが、原則的な言及にとどまった。

日本はむしろ中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に積極的に参加している。

また中国もドナルド・トランプ大統領が脱退する前に米国が主導していた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を積極的に検討している。

韓国が進むべき道は自明のものとなりつつある。

柔軟性と実用主義を発揮し、半導体をはじめとする先端技術の優位を確保することが、韓国が中国崛起の影響下で生き残れる道だ。

このためには経済戦争の最前線にいる企業が一息つけるようにしなければならない。

外では次期米国大統領のジョー・バイデン氏が旗を揚げた「民主主義同盟外交」も重要だ。

FTは「中国の各個撃破式による主要国の手懐け作戦に対処するためには、自由主義国家の団結が必要だ」と繰り返し強調している。

経済や外交や多国間主義の枠組みで国益を最大化していかなければならない。

キム・ドンホ/論説委員


韓国、「決められない政府」コロナ感染者激増でも緊急対策会議を延長 「オミクロン株も重圧」

2021-11-29 13:33:49 | 日記
韓国、「決められない政府」コロナ感染者激増でも緊急対策会議を延長 「オミクロン株も重圧」

2021年11月29日

  • 韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評

   

韓国は、11月1日から「ウィズコロナ」で、規制緩和に踏み切った。だが、直後から堰を切ったように感染者が激増している。重症患者は激増し病床は、レッドラインである「稼働率75%」をはるかに上まわっている。本来ならば、「ウィズコロナ」の手直しをすべきところ、未だに傍観している。政治的思惑の結果であろう。


「ウィズコロナ」に入って、一ヶ月も経たない時点で、規制強化したのでは政府への批判を浴び、ひいては大統領選挙で与党候補が不利になるという思惑が働いているにちがいない。文政権は、これまでも世論動向を見ながら「政策決定」してきたのである。


『中央日報』(11月29日付)は、「オミクロン株まで出現したが、韓国政府は右往左往」と題する社説を掲載した。


(1)「韓国における新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)関連のほぼすべての主要指標に連日赤信号が灯っている。28日は一日の死亡者(56人)と重篤患者(647人)が過去最多を記録した。首都圏重症患者専門担当病床稼動率が85%を超えて、3日連続で1000人以上の患者が病床の割り当てを今か今かと待つ状態が続いている。28日の一日新規感染者は3928人だったが、これは検査件数の少ない日曜日発表基準でも最多だった」


政府は、重症患者のベッド稼働率75%が危険ラインと決めた。現実にはすでに85%を超えている。こういう事態を迎えながら、「ウィズコロナ」の手直しができないとは異常である。何をためらっているのか。政府のメンツしか考えられない。自営業を圧迫することを懸念しているというが、それは表向きの話であろう。政府批判の高まりが怖いのだ。「反日不買」を即時に決めた、あの機動性はどこへ消えたのか。



(2)「弱り目にたたり目で、デルタ株より感染力が少なくとも倍以上あると言われているオミクロン株も報告され、地球村が再びコロナ再拡大の恐怖に包まれている。11月11日、アフリカ南部ボツワナで初めて見つかったオミクロン株は25日にアジアでは香港で感染者が報告された。韓国ももはや安全地帯ではないようだ。昨年12月、インドでデルタ株が出てきてから感染が急速に拡大した痛恨の経験を考慮すると、防疫当局が速やかに動かなければならないときだ」


感染力は、デルタ株の2倍とされるオミクロン株が出現した。今の状況に加えて、新たな危険因子の登場である。韓国政府が、早急に対策を打たなければならない事態だ。


(3)「だが、急激に変化している国内外のコロナ状況とは違い、韓国政府の対応速度はイライラが爆発しそうなほど遅い。南アフリカなどアフリカ8カ国を出発した外国人は昨日0時から入国禁止となったが、旅行者が感染した香港はここから除外された。必要なら入国禁止を先制的に拡大しなければならない。25日に韓国の防疫政策諮問機構である日常回復委員会が開催され、その翌日には中央災難(災害)安全対策本部が対策を発表する予定だったが突然29日に延期した。状況判断を正確にできていないのか、決定を下すことができずに右往左往している様子だった」


25日に開催されるはずの防疫対策会議が29日へ延期された。この4日間の差が、大きな被害を生んでいることに気付かずにいるのだ。状況判断が正確にできない結果とすれば、余りにも無責任である。防疫対策は、ルール通りに行なうのが鉄則のはず。政治的な思惑が介入してはならない。PCRの全数調査も、大統領府が介入した結果である。



(4)「オミクロン株の登場で、コロナ克服のためには全国民主労働組合総連盟(民主労総)をはじめとする各団体の大規模集会が集中した先週末が絶好の転換点だったかもしれないが、そのまま放置した。状況の緊迫感を国民に効果的に伝達できたのにタイミングを逃したという指摘もある」


韓国政府の最大支援者は労組である。その労組の大規模集会を規制すれば反発を受ける。だから、規制しなかった。文政権はこのように、支持率向上目的で世論の動きに敏感である。風見鶏である。


(5)「専門家は、日常回復委員会が12~18歳の青少年にも防疫パス(接種完了・陰性確認制)を導入し、カフェや食堂にも防疫パスを適用し、私的な集まりの人員制限を強化しようという意見を提示したと伝えた。だが、日常回復をしばらく保留する首都圏非常計画発動についてはその日議論さえしなかったという。今月1日から段階的日常回復(ウィズコロナ)第1段階に入ったが、1カ月もせずに防疫を強化する場合、自営業者からの反発が懸念されるため、政府が顔色伺いをしながらためらっているという指摘もある」


「ウィズコロナ」で規制を緩め過ぎた結果が、今日の事態を招いたのである。これも、政治的な思惑先行がもたらした。自営業者の顔色を伺っているとすれば、これも大統領選への影響を懸念しているにちがいない。文政権は、すべて大統領選への影響で対策を決めている。



(6)「韓国とワクチン接種率がほぼ同じだが一日感染者が3万人から100人前後に急減した日本の最近の流れに注目しなければならない。「水ワクチン」と呼ばれたアストラゼネカ・ヤンセンワクチンを初期に集中的に接種していた韓国とは違い、抗体価が高いファイザー・モデルナのワクチンだけを接種した日本のワクチン戦略のほうが正しかったという評価が出ている。今からでもワクチン効果をしっかりと分析して追加接種(ブースターショット)戦略を急いでこそ、ブレイクスルー感染(突破感染)を減らせる」


日本は、ファイザーとモデルナのワクチンだけを接種した。国内で委託生産していたアストラゼネカを接種せず、全量を海外へ寄贈したのは賢明であった。副作用問題が絡んでいたからだ。ただ、それだけでない。日本は、韓国よりも「人流」面ではるかに慎重であった。無闇に外出しなかったことが、日韓で大きな差を生んだ理由であろう。


大韓民国…貧困率も雇用率も世界1位

2021-11-29 12:03:15 | 日記
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大韓民国…貧困率も雇用率も世界1位

リタイアして老後を楽しむべき年齢で再び仕事場へ向かう韓国の高齢者が増加している。

韓国の働く高齢層の割合が昨年経済協力開発機構(OECD)加盟国で初めて1位となった。

OECDの統計によると、昨年の韓国の65歳以上の人口の雇用率は34.1%だった。

1年前より1.2ポイント上昇し過去最高となった。

定年を過ぎた年齢でも3人に1人の割合で働いていた。

OECD加盟国平均14.7%の2倍を大きく超えただけでなく、加盟38カ国うち最も高かった。

万年1位だったアイスランドの31%を抜き初めて1位となった。

 雇用率は人口比の就業者数の割合を意味する。

就業者に求職希望者(失業者)まで加えた65歳以上の経済活動参加率(人口比経済活動人口割合)もやはり韓国が35.3%でOECD加盟国のうちダントツで1位だった。

これは全くうれしくない記録だ。

韓国の高齢者がとりわけ健康で、仕事への欲が多くて雇用率が高いのではないためだ。

本当の理由は他のOECD統計に現れている。

昨年のOECD発表によると2018年基準で韓国の65歳以上人口の相対貧困率は43.4%に達する。

これもまたOECD1位で、加盟国平均15.7%と比較すると3倍近く高い割合だ。

韓国の高齢者の40%以上で収入が平均(中位所得)の半分にも満たない貧困に苦しんでいた。

年金のような老後資金が不足しセーフティネットは貧弱なためだ。

リタイアしても仕事に出なくては生計が維持できない現実が韓国の高齢層の雇用率を引き上げている。

ここに政府が「最小の財政投入、最大の人員増加」の効果を出そうと高齢者の公共雇用創出に集中して高齢層の雇用率がさらに上昇した。

https://news.livedoor.com/article/detail/21268108/


韓国の首都ソウル、富と貧困が同居する街

韓国の相対的貧困率は16.7%(2018年基準)で、37の加盟国のうち4番目に高いレベルだ。

相対的貧困率は、全体人口のうち等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合を指す。

韓国国民の6人に1人が貧困危機に陥っているという意味。

今年基準で等価可処分所得の中央値の50%は一人世帯91万4千ウォン(約8万9千円)、2人世帯154万4千ウォン(約15万円)、3人世帯199万2千ウォン(約19万3千円)、4人世帯243万8千ウォン(約23万7千円)。

OECD加盟国の中で相対的貧困率が韓国より高い国はコスタリカ(20.5%)、米国(17.8%)、イスラエル(16.9%)だけ。

OECD加盟国の相対的貧困率の平均は11.1%。

 世界で最も高い水準の高齢者貧困率となる韓国は、66歳以上の引退年齢層の相対的貧困率が、OECD加盟国の中で圧倒的な1位を記録している







失血死する中国経済~中国経済「死に至る病」(中)|石平

2021-11-28 18:00:55 | 日記

失血死する中国経済~中国経済「死に至る病」(中)|石平

中国経済の成長と繁栄は結局、巨額な借金のうえに成り立っている。中国企業は今後、長期間にわたる「デフォルト倒産大量発生」の時代を迎えることは間違いない。

目次

● 鉄道会社の負債だけで93兆円
● 「デフォルト倒産大量発生」の時代に突入
● 金融危機発生の可能性が高い


鉄道会社の負債だけで93兆円

中国の経済問題を取り上げた前回の本欄は、国内の個人消費が徹底的に不足しているなかで、中国経済はいままでずっと輸出と投資の拡大で成長を引っ張ってきていることを解説した。そのなかでもとりわけ、インフラ投資や不動産投資からなる投資部門は、まさに「成長の巨大エンジン」として中国経済を牽引してきている。  

インフラ投資の場合、たとえば中国版新幹線の高速鉄道建設はその典型例の一つである。中国で高速鉄道の建設が始まったのは2005年のことであるが、2020年末で営業距離は世界一の3万8000キロに達し、わずか15年で日本の新幹線の10倍以上の鉄道網を作り上げた。  

短期間においてそれほどの鉄道を作れば、当然のことながら鉄鋼やセメントなどに対する巨大な需要が生まれ、建設現場では大量の雇用を創出した。それらは国内総生産(GDP)に計上されて、中国の経済成長に大きく貢献したはずである。  

問題は、これほどの大規模投資がどのようにして実現できたのかだが、そのやり方は簡単だ。高速鉄道の建設は政府主導のプロジェクトだから、建設資金は国有銀行からいくらでも借金できる。お金をいくらでも借りられるのであれば、高速鉄道はいくらでも作れるわけである。  

しかしその結果、高速鉄道を建設し経営する主体の中国国家鉄路集団は、いまや借金まみれに陥っている。2020年になると、その負債総額は5兆5700億元(約93兆円)にも達している。さらに高速鉄道は運営が開始当初から全体的にずっと赤字なので、巨額な負債を永遠に返済できない見通しである。

「デフォルト倒産大量発生」の時代に突入

これは何も高速鉄道に限ったことではない。投資部門における経済成長の「秘法」はどこでも同じだ。国有銀行からお金を湯水のように引っ張り出してそれを採算度外視の建設プロジェクトに注ぎ込めば、経済は自ずと成長できる。だがその結果、高速鉄道が抱えるような負債問題は、いまや全国的な大問題となっている。2019年末の時点では、政府・国有企業・民間企業・個人の負債を合わせた中国国内の負債総額はすでに500兆元に上っているが、それは同じ年の中国のGDPの5倍以上、日本円にして8450兆円以上に相当するという、気が遠くなるほどの天文学的な巨額な数字である。  


インフラ投資頼りの中国経済の成長と繁栄は結局、巨額な借金のうえに成り立っていることがこれでよく分かる。しかし、巨額負債のツケは必ずや回ってくる。負債に押しつぶされデフォルト(債務不履行)し、倒産する企業もたくさん出てくる。  


実際、2020年の一年間に全国で発生した有名上場企業の倒産再建案件は15件にも達している。さらに、企業が社債を発行して債務不履行となった案件は150件、その金額は1697億元(約2兆7171億円)に上り、19年の1495億元を上回り過去最高額となった。  

中国企業は今後、長期間にわたる「デフォルト倒産大量発生」の時代を迎えるであろう。



中国経済「死に至る病」(上)|石平

2021-11-28 17:26:33 | 日記
中国経済「死に至る病」(上)|石平

中国経済は本当にV字回復しているのか?経済成長の内実を示すいくつかの数字を詳細に分析することで判明した中国経済の実像と不治の病。


目次
● 「実態はせいぜい1%程度の成長」
● 消費の低迷という異常事態
● 国民全体にお金が行き渡っていない
● 他力本願の対外依存型経済


「実態はせいぜい1%程度の成長」


本欄は今回から3回連続、中国経済の話をする。

「中国経済」のこととなると、多くの日本人はまず、その凄まじい成長ぶりに圧倒されてしまうが、それはもちろん、根拠のないことでもない。

たとえばコロナ禍が猛威を振るった2020年、世界の主要国が軒並みマイナス成長に陥ったなかで、当局の発表では、中国経済はプラス成長を保つことができ、2・3%の成長率を達成したという。  

中国政府の発表する数字を疑う声は昔から国内外にある。

たとえばいまの中国首相の李克強氏は地方勤務の時代、「中央政府の発表した成長率を自分はあまり当てにしない」と外国人の訪問客に語ったことがある。  

あるいは2018年、政府公表の成長率が6・6%であったのに対し、中国人民大学の向松祚教授は「実態はせいぜい1%程度の成長」と公言したこともある。

中国政府が発表した成長率が水増しされていることは、すでに世界の常識の一つとなっている。  

そうなると、中国政府公表の「2020年成長率2・3%」も差し引いて見たほうがよいと思うが、

この年の経済成長の内実を示すいくつかの数字をさらに見ていくと、中国経済の実像と問題点が直ちに浮かび上がってくる。

消費の低迷という異常事態

注目すべき数字の一つは、2020年の全国社会消費品小売総額(小売売上高)が前年比3・9%減であることだ。

これは要するに2020年には中国全土の消費がかなり落ち込み、19年と比べて3・9%も減った、ということである。  

では、経済のどこが伸びているのか。その実態を示すもう一つの数字がある。

同年、中国全土の不動産開発投資は前年比で7・0%増、経済全体の成長率の約3倍の伸び率となっている。

これで中国経済の成長の実態がよく分かる。

要するに、国民の消費が落ち込むなかで不動産投資を大幅に伸ばして成長を何とか維持できた、という構図である。

中国における消費の低迷は、何も2020年だけのことではなく、数十年間、中国経済を悩ませてきた大問題の一つである。  

経済学に「個人消費」というのがあり、一国の経済のなかで占める国民一人ひとりの消費する割合を示す数字である。

日本は常に60%前後で、アメリカは70%にも上っている。

しかし中国の場合、この20年間の個人消費は常に37%前後、2019年は36・5%であった。

中国経済に占める14億の国民の消費する分が実は全体の4割未満という、まさに異常事態が起きているのである。

国民全体にお金が行き渡っていない

これほどの消費不足をもたらしている原因は何か。

その一つはやはり、社会保障システムの不備である。

都市部の貧困層や農村地域では、年金と医療保険に加入していない人々が大勢おり、そうした人たちは当然、お金が多少あってもあまり消費をしない。

いざという時に備えて貯蓄に励む。

だから中国では、消費率の低さとは逆に貯蓄率が高いのである。  

さらに消費の足を引っ張る一番大きな原因は、深刻な貧富の格差である。

都市部と農村部の格差、沿岸地域と内陸部の格差、同じ地域における階層的格差など、「社会主義国家」中国の経済格差の深刻さは、資本主義国家の日本やアメリカの比ではない。  

中国国内でもたびたび引用される数字の一つに、総人口のわずか5%の富裕層で民間の富の70%が占められているということがある。

もちろん、5%といっても人口数で言えば7000万人に上る。

だからこそ、コロナ禍の前に大勢の中国人が日本にきて「爆買い」をしたのだが、問題は、5%が大金持ちになっている引き換えに、95%の国民には民間の富の30%しか残されていないという現実だ

国民全体にお金が行き渡っていないことを意味する。だからこそ、中国の個人消費は常に四割未満の低い水準にある。

他力本願の対外依存型経済

では、消費以外の6割以上の中国経済はどうなっているのか。そのうち一つは輸出である。

中国国民が消費しない(できない)なら、外国市場向けに安価な中国製品を売り付けて外国人の財布を狙う。

だから日本やアメリカのスーパーマーケットには中国産の野菜や中国製の衣料品があふれているわけだが、中国経済の多くの部分が実は、アメリカ人や日本人の消費で成り立っているのである。  

つまり、中国経済はまさに他力本願の対外依存型経済だと言える。

日本やアメリカが中国経済に依存している以上に、彼らは我々に依存しているのである(だから中国は本来、我々に対して偉そうなことを言えない立場である)。  

輸出と並んで中国経済を支えるもう一つの大きな分野は、投資部門すなわちインフラ投資と前述の不動産投資である

そして、まさにこのような「投資依存」の体質から中国経済の「死に至る病」が生じてきているが、それについての論考は次回に譲ろう。(初出:月刊『Hanada』2021年6月号)