日本と世界

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小型原子炉は、小型モジュール炉

2021-11-29 16:00:09 | 日記
小型原子炉は、小型モジュール炉(SMR=スモール・モジュラー・リアクター)とも呼ばれる。

既存の原発で主流の軽水炉は大型化が進み、1基当たりの出力が100万キロワット以上が主流なのに対し、数万~数十万キロワットと小さいが、原子炉の容積に対する表面積が大きく、原子炉を冷却しやすいのが特徴だ。

プレハブ住宅のように、主要機器を事前に工場で製造してから現地で据え付けるため、初期投資抑制や工期短縮が可能。

建設費が1兆円を超えることも珍しくない軽水炉に対し、数分の一で済む可能性がある。

安定的に発電できるため、天候に発電量が左右されがちな再生可能エネルギーを補うと期待されるほか、比較的狭い地域ごとに発電所が散在する形が想定されており、万一の事故の影響も少ないとされる。

実用化に向けて、日本を含む各国の企業が開発に取り組んでいる。

日立製作所は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)との合弁会社「日立GEニュークリア・エナジー」(茨城県日立市)で出力30万キロワットの小型原子炉を開発中。

北米で2030年ごろの実用化を目指している。

「異常時でも外部電源と運転操作を必要とせずに炉心を冷却できる」(日立)のが特徴で、
原子炉を地中に埋めるため、より冷やしやすく、テロからの防護にも優れているという。

東芝は、冷却材に液体ナトリウムを使う高速炉など2種類を開発。

三菱重工業が開発中の小型原子炉は、蒸気発生器や加圧器といった主要機器を原子炉容器内に統合することで小型化を可能にする。

小型原子炉の開発は海外でも進んでいる。

英ロールス・ロイスが加圧水型軽水炉(PWR)の技術を転用しつつ、IT活用で運転などの効率化を図った小型原子炉を開発している。

米国ではビル・ゲイツ氏が会長を務めるテラパワーなど10社程度のベンチャーが開発中だ。

中でも07年創業のニュースケール・パワーは、20年代末の商業運転を目指し米国各地で建設計画を進めており、20年8月には初めて設計承認を取得している。

ニュースケールの計画にはプラント大手の日揮ホールディングス(HD)が参画している。

ニュースケールに4000万ドル(約44億円)を出資した上で、まず米アイダホ州での発電所建設に参加し、同業の米フルアとともに建設管理を担う。

ニュースケールの計画には韓国の斗山重工業も参画し、主要機器を供給する予定だ。

原発の問題解決か
 
小型原子炉には、国内電力会社も関心を寄せている。

関西電力は2月に発表した「ゼロカーボンビジョン2050」で小型原子炉の導入の検討を盛り込むなど、脱炭素に向けた有力技術ととらえている。

脱炭素化は喫緊の課題となっているが、その実現は容易ではない。

再生可能エネルギーの導入が順調に進んだとしても、50年時点の電源構成に占める割合は日本を含む多くの国で50~60%にしかならないとみられているからだ。

運転時にCO2を排出しない原発を組み合わせれば実現に近づくが、11年の東京電力福島第1原発事故もあり、原発への不信感は薄れていない。

同事故を機に、より厳格な安全対策が求められるようになった結果、軽水炉の建設コストも以前よりはるかに高くなっている。

小型原子炉に注目が集まるのは、軽水炉より安全性が高く、建設コストも安いため、既存原発が抱える問題を解決する可能性を秘めているからだ。

原発への不信感の払拭や、使用済み核燃料の処分方法確立といった課題はあるが、日本政府は小型原子炉の海外プロジェクトに加わる日本企業を積極的に支援していく方針だ。

(井田通人)

小型原子炉開発、世界で加速高い安全性 脱炭素化の切り札に

2021-11-29 15:53:37 | 日記
小型原子炉開発、世界で加速高い安全性 脱炭素化の切り札に

2021.4.16 06:00

小型原子炉の開発競争が熱を帯びている。

小型原子炉は既存の原子力発電と同様に温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を排出しない上、安全性や経済性の面でも優れているとされる。

太陽光発電などの再生可能エネルギーだけでは温室効果ガスの排出削減に限界があるとされる中、「脱炭素化」の切り札になると期待されており、16日に予定される日米首脳会談でも開発協力がテーマとなる見通しだ。

欧州加圧水型炉

2021-11-29 15:34:03 | 日記
欧州加圧水型炉 ( 英語: European Pressure Reactor 、EPR)は 原子炉 の設計の一種。 

第3世代 の 加圧水型原子炉 。 

主に フラマトム (現 アレヴァNP )、 フランス電力 、 シーメンス などが開発した。 

この原子炉設計は欧州では欧州加圧水型炉( 英語: European Pressurized Reactor )と呼ばれ、国際的には進展型原子炉( 英語: Evolutionary Power Reactor )とされているが、現在は アレバ は単純にEPRと呼んでいる。

送電業者RTE、脱炭素に向け原発新設を提示

2021-11-29 15:23:57 | 日記
送電業者RTE、脱炭素に向け原発新設を提示

(フランス)

パリ発

2021年11月02日


フランスの送電系統管理会社RTEは10月25日、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた6つの電源構成シナリオを比較した調査報告書「エネルギー未来2050」を公表した。

カーボンニュートラルの実現には再生可能エネルギーの大幅な導入が欠かせないとする一方、電力の安定供給を確保しつつ、より安いコストで確実に目標を達成するためには、欧州加圧水型炉(EPR)の新設が必要になるとの見解を示した。

報告書は、化石燃料への依存度を低減させる過程で、2050年の電力消費量は645テラワット時(TWh)と今後30年で35%増加するとの予測を基に、経済性や技術面などから、以下6つの電源構成シナリオの実現可能性を検証した。
  1. 再生可能エネルギー100%
  2. 再生可能エネルギー87%(太陽光発電36%)、原子力13%(既存原発)
  3. 再生可能エネルギー87%(地上風力発電32%)、原子力13%(既存原発)
  4. 再生可能エネルギー74%、原子力26%(8基のEPR新設)
  5. 再生可能エネルギー64%、原子力36%(14基のEPR新設)
  6. 再生可能エネルギー50%、原子力50%(14基のEPR、小型モジュール炉の建設)
各電源構成シナリオの経済性についてRTEは、発電コストに系統安定化費用を加えた総合コストを試算した。

これによると、2060年時点での年間総合コストは(1)770億ユーロ、
(2)800億ユーロ、
(3)710億ユーロ、
(4)660億ユーロ、
(5)610億ユーロ、
(6)590億ユーロだった。

再生可能エネルギーに依存する電源構成で、特に小型の太陽光発電施設を大量に導入するシナリオ(2)のコストが最も高く、原発依存度が高くなるほど統合コストは低下する結果となった。

技術面では、原発依存度を50%とする電源構成シナリオ(6)について、14基のEPR建設に加え、小型モジュール炉の開発・建設と、既存原発の60年を超える運転期間の延長が必要になることから、実現に向けた技術的ハードルが高いと指摘した。

その上で、RTEは、原発依存度を36%に抑え、再生可能エネルギーの割合を64%まで引き上げる電源構成(5)がより確実にカーボンニュートラルを実現できるシナリオだと説明した。

「エネルギー未来2050」は政府の要請を受けて策定されたもの。エマニュエル・マクロン大統領は同報告書の調査結果を踏まえ、2021年末までにEPR建設について決定を下すものとみられる。
(山崎あき)

(フランス)







中国の深刻な電力危機

2021-11-29 15:12:47 | 日記
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2021.10.04 (月)

中国の深刻な電力危機 奈良林直(東京工業大学特任教授)

CNNや米誌ニューズウイーク、NHKなどのほか、中国紙までが、中国各地の深刻な電力危機と工場への操業に影響が出ていることを報じている。

猛暑とエネルギー価格の高騰が原因で、石炭火力発電でもこの危機が長期化する見通しだ。

このような電力危機や停電は、我が国でも1月に発生した他、米国のカリフォルニア、テキサス両州のほか、オーストラリア、フランスでも多発している。

再エネ優先策も一因か

報道によると、9月27日には黒龍江省、吉林省、遼寧省の北東部3省が「予想外かつ前例のない」電力制限に見舞われた。

翌28日には3省で電力供給が割当制となり、市民生活や企業の操業に深刻な混乱が生じている。

当然、日系企業にも影響が出て、広東省のある精密機器メーカーの工場では週に6日間、夜間以外の電力使用量が通常の半分に制限され、一部の操業は夜間に振り替えられた。

また、別の電子機器メーカーでは、週に5日間、電力使用量が通常の10%に制限され、自家発電で対応している状況だという。

iPhone向けの半導体を供給している台湾企業の中国工場も操業に支障が出ている。

電力不足の原因には複数の要因がある。

まず、習近平政権が石炭火力発電所に上限を設けて発電を抑制している。

各都市は、忠誠を示す必要から発電を自ら抑制している。
これに無風と猛暑、水不足が加わり、風力発電所と水力発電所の出力が落ちた。

広東省では、省内の電力供給に大きな割合を占める水力発電が水不足にたたられた。

遼寧省(省都・瀋陽)では当局が9月26日、今年初めから8月までに電力需要が記録的に増加したと発表。

これに風力発電などの発電量の低下が追い打ちをかけ、電力不足を招いたという。

隣接する吉林省でも石炭不足が原因で停電が頻発しており、省のトップが石炭の緊急調達のため内モンゴル自治区の炭鉱に交渉に行った。

石炭などの価格が国際的に高騰しているため電力会社が発電所の稼働率を落としている。

新政権は原発政策転換を

先の自民党総裁選で惨敗した河野太郎前行革担当大臣(現党広報本部長)は、2030年までの地球温暖化ガスの排出削減目標を「38%以上に」と強く求めていたが、風力・太陽光・水力などは気象の影響を強く受ける。

世界的には変動する再エネ比率が20%を超えると、猛暑、長雨、大雪、寒波、などを起因とした電力危機や大停電などが多発している。

この10年余り、我が国も含めて脱原発・再エネ最優先の政策が取られてきたが、太陽光や風力発電を増やして、効果的な二酸化炭素(CO2)削減に成功した先進国はない。

ドイツ連邦議会(下院)選挙(9月26日投開票)を前にスウェーデンの環境活動家グレタさんらによる環境運動「未来のための金曜日」などが24日、ドイツ各地で気候変動対策を訴えるデモを開いた。

グレタさんもベルリンでデモに参加し、「ドイツは気候変動の最大の悪者の一人だ。気候変動阻止のために十分な提案をしている政党は皆無だ」と批判した。

1751年以降の累積のCO2排出量で、ドイツは米中ロシアに次ぐ4番目とされる。

我が国も、反原発の河野太郎、小泉進次郎両氏が閣外に去ったことから、

エネルギー基本計画に
「原子力の新増設・リプレース」
「原子力を最大限活用してカーボンニュートラルを目指す」と明記すべきだ。

岸田新首相には、「再エネ原理主義では二酸化炭素を効果的に減らすことはできず、我が国経済発展にとって有効な投資にならない」ことを認識してほしい。

我が国はグレタさんのスウェーデンやフランスの原子力優先政策を範とすべきなのだ。