そうそう江戸時代はエキノコックスの感染症を勞瘵と呼ぶこともあったでしょうが、肺吸虫によってひき起こされる肺ジストマ症もそう呼んでいたかもしれませんね。この感染症も咳や血痰がでます。やはりこの虫も成長すると1cmくらいになるので肉眼で観察できます。
さて今回ご紹介するのは第五代の蟲です。
これらの蟲は壬癸の日に行動し、肝兪穴というツボにひそみこみます。それ故治療はそのツボと周囲に灸をすえて、蟲を出したら肝を補う治療を加えました。
ねずみような蟲、足のないまた頭のない蟲、血のようなアメーバのような蟲が描かれていますね。
昔の人は考えました。結核になって便や吐瀉物を見て何か普段あるものと別のものが入っていたらそれが結核の原因なんだろうと。または病気は虫が原因であると信じていたので、何でもないものを虫として捉えてしまったかもしれません。
あるいはエビやカニ、蛙などを食べた後に、病気になったらそれらに似た虫が原因であると推測したのかもしれません。
でも顕微鏡の普及とそれによる研究が進み、1882年にドイツのコッホにより結核菌が結核の病原体であることが証明されると、今まで虫と呼んでいたものの形を知る事ができました。
そして今度は結核菌によって起こる病気に結核という病名がつけられるようになりました。病気の名前の付け方が変わったのです。
つづく
(ムガク)