寅さんがやって来たのは、木崎湖の南岸でした。
●ボート乗り場近く
木崎湖の南岸には、何軒か貸しボート屋さんがあります。そのうちの一軒が、映像の右端に映っている星湖亭です。
ロケ当時、星湖亭の軒下にUCCコーヒーの自販機がありましたが、現在はありません。左前方の赤い屋根の建物は旅館山水で、映画にも映り込んでいました。山水のところにあった大きな柳の木、その前にあった小屋はなくなっていました。スッキリ感がありました。
●缶コーヒーの自販機の近く
この場所は、星湖亭から湖畔を少し北に移動したところです。寅さんがやって来たのは、ここです。カバンを置き、椅子に座ります。
自販機、テーブル、椅子など、ロケ当時に置かれていたものは、全てなくなっていました。ベンチの向こうの湖岸にあった木も、なくなっていました。
●絵葉書を書く寅さん
自販機の前にあった椅子に座った寅さんは、絵葉書に切手を貼り、テーブルの上で故郷に手紙を書き始めます。
後ろの建物の外壁に、ロケ当時は旅館ロマンスと書いてありましたが、現在はひらがなでろまんすとなっていました。
●おじさんに声をかける寅さん
絵葉書に「懐かしい」という文字が書けなかった寅さんは、桟橋で絵を描いていたおじさんに書き方を聞きます。
この日、絵を描いている人はいませんでしたが、釣り人が数人、糸を垂れていました。
●おじさんに代筆させる寅さん
寅さんは、懐かしいという文字だけでなく、その先の文面もおじさんに書かせます。そのうち、聞かれてもいないのにとらやのことを話し始めます。
ロケ当時、向こうの桟橋に係留されていたボートがありませんでした。廃業したのでしょうか。
●故郷の説明をする寅さん
おじさんんが「ほぅ、どこなんだ、君のふるさとは?」と尋ねると、立ち上がった寅さんは「東京は葛飾柴又、江戸川のほとりよ」と目を細めて嬉しそうに答えながら、対岸の方を見やります。
左右にもう少し広く撮影すれば良かったようです。
●対岸を走り去る電車
寅さんが目をやった対岸を電車が走り去ります。ただこの場面、木崎湖の南岸を撮影したものではありません。南岸では線路が湖畔から離れており、撮影できないのです。場所を特定するヒントは、電車が湖畔を走っていることと、電車の左に変電所があることです。
結局、該当する場所は、海ノ口駅の南でした。そしてこの場面を撮影できそうなのは、木崎湖の北岸で寅さんがたたずんでいた、あの桟橋付近でした。
●川端館の看板
電車が走り去ったあと、柳の枝が風に揺れ動く向こうに、旅館川端館の看板と対岸の山が映し出されます。撮影場所は、旅館山水と寅さんが絵葉書を書いていたところの中間です。
行ってみると、看板はなく、工事が行われていました。工事をするために看板を撤去したのか、工事とは関係なく看板はすでに撤去されていたのか、よく分かりません。写真は、看板があったあたりから対岸の山を撮ったものです。
映画はこのあと、アルプスの風景が映し出され、歌とスタッフ紹介が終わり、本編に入ります。この場面については、あとで説明します。
つづく