
久しぶりにタラップで乗り込んだ

ちっちゃい飛行機の窓
外に地図と同じ形が見えた
「ほんとに四国ってあるんだ」
(行ったこともあるのに)
(四国に失礼)

台風の風雨に行き手を阻まれつつ電車を乗り換え、運転再開を待ってようやく奥山に近づいてきた。
私以外に乗客はいないけれど、本当にこのバスとケーブルカーののちにはあの友だちたちが笑いながらあったかくいるんだろうか。
眞美さんがしばらく前に「いい場所を探してるのよ」「下見に一緒に行こうか」と話していた宿にみんなはもう集ってるはず。
私はだいぶ遅れてしまったけれど、このまだ奥の山の中に今頃その場は出現している。
そう考えると、やる、ってすごい。
誰かの頭の中にしかなかったものが出現する。
毎年の夏の合宿(もう10何年目)
来月の自主上映会(これは発起人は藤原さん)
準備は大変だけど、なかったものが現れるとは。
まだ出ないバスの中でしみじみと感心している。

夜が明けるころ起きてジュラシックパークみたいに縮尺がおかしく大きくかっこいい杉並木を通り奥社に行って帰ってきて、今回の楽しくも真剣かつ賑やかに進む旅が終わった。
最後の(つまり最初の)鳥居をくぐるころについに私たちに追いついた雲からぽつり、と雨粒が落ちてきた。
福々しい笑顔のお爺さんが妖精のように軽い身のこなしで隣を歩いている。
前からの友だちも新しい友だちもみんなさっぱりと晴々しくにこにこしている。
そこらへんから私の身体が軽く満ち足りて喜んでるのが伝わってきた。
なんだかわからないけどすごくいい感じ。
何かがどこかでつつがなく素晴らしく完了した、ような。

地質学と言い伝えのオリエンテーリング、スタンプ台毎に本格的に祈るという合宿式バンドワゴンに乗っている。
ハンドルを握るのは忍者だし助手席には山伏。
(もののけ姫はあとから麒麟と駆けてくる)
歩いて笑って美味しいものを食べて。
明明と命を立ててるって感じがする。
