先住民族的マッシュルームカットの南の島の男の子はアキハバラに着くなり日本円を全額両替した。この後は成田から帰国するんだから異国での買い物は最後のチャンスそしてその年頃なのに物欲が全くないらしい。
女の子たちも少し店を見て回ったら満足したらしく、お昼もコンビニのサンドイッチを買ったからそれでいいとのことだった。
足元は見たことのないサンダル。強いて言えばスポーツサンダルの可愛い版。多分向こうは暑いから靴ははかないんだと思う。
きれいな水のように汚れがなく落ち着いていておっとりとしている。
その彼らがですね、唯一声をあげて喜んだものは、なんでしょう。
駅前の雑踏の道端で、のたのた歩く鳩。
これは国にはいない、と女の子が教えてくれた。
触っていいかと聞かれたけど、なんて答えればよかったのか。触れれば?
飛び立つ鳩に驚いたような惜しむような声があがった。そうなのよ、あれは飛ぶの。