自分とは関係ないものを関係ないままに、欲しいとも思わずにずっといいなあと思っていた。
関係ないと思っていたからそこには混じり気が微塵もなく、意識の下できれいに流れる小川のように好きな気持ちだった。
通りかかるたび、なんてかわいらしいんだろうと思っていた。
緑の動物が眠っているような可愛い山々。
穏やかにきらきら光るだけの波が寄せる浜。
ゆるくカーブするメインストリート。
昔ながらの個人商店、新しくセンスのいい店、馴染みのローカルチェーンがうまく按配された商店街。
なつかしい夏休みみたいな町。
まさかそこで暮らせるようになるなんて。