その時はまじかと思ったけれど、後から考えれば悪くもないことだった。
私が苦手な事前登録と支払いまでして訪ねた半ば屋外のミュージアムに、彼は足すら踏み入れなかった。
先に入って入り口の方を振り返ると、私が選んで私が気に入ってるネイビーのフリースを着て、18才はその年齢に似つかわしく怒っていた。
何に、はちょっと説明はできない、いろいろだけれど。
そういえばその場所は名前から形状から産み出すものの空間だった。
あのネイビーの不機嫌が取り込まれることを拒否してぷいっとどこかに行ってしまったのはいっそ愉快で、表層の嘆きとうらはらに、芯ではいいぞ、と言ったかもしれない。
水滴と風と空間と。
ひとりでたっぷりひたって満足したのち、狭い開口部を通り現世に戻った。
居心地悪げに芝生に寝転んでみたりした彼に声をかけてから、ひとりミュージアムカフェへ。
お茶をして買い物もして出てきたら、自転車にまたがり遠ざかる姿が見えた。
見送る気持ちは、あーあと思う底に一筋の安堵。
こんなに特別ないいところで卒業できるとは。
逃げよ、若者。
私から。
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