ダンダンダン、とボールの音が体育館に反響する。
走る若者たち。
遠慮のない発声、笑い声。
それを四角い空間の底の端っこから眺めている。
どこから見るかで視点が入れ替わる。
「私」を見て笑う娘を見る、母親の視点。
チームメイトを見る娘の視点。
先輩たちのナイスシュートを仰ぎ見る子どもの視点。
生徒たちを指導するコーチの視点。
気がつけばそのコーチすら子どものように若い。
コーチの親の気持ちで息子の仕事を見る。
カメラアングルが変わると見える光景が変わる。
時間は昔思っていたように、linear線状なものではない。
時間はりったい。
時間は立体になっていく。
重層的に有機的に積み上がっていく。
体育館の空間をたぷたぷと豊かな水のように満たしていく。
りったいになっていくんじゃない。
元々立体だったんだ。
それを生きて、思い出していく。
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