その後、カボチャくんはしばらく何も考えられずにうずくまっていました。
伸ばしたつるが傷ついた以上に、嘲りを受けた心が痛かったからです。
カボチャくんにはわけがわかりませんでした。
なぜお日さまに向かううれしい心のままに伸ばしたつるを咎められなくてはいけないのでしょう。
昼が過ぎて日が暮れて夜が訪れまた夜が明けました。それがなんど繰り返したでしょう。
なんでですか?
カボチャくんは誰にともわからず聞きました。
なんで伸ばしてはいけないのですか?
すると静かな深い藍色の夜の底で、星からのささやきのように誰かが答える声が聞こえました。
伸ばしてごらん
伸ばしたら時には踏まれたりちぎれたりするだろう
だけど
伸ばしてごらん
それきり声は聞こえませんでしたが、カボチャくんの心は慰められしずかになりました。
それから何日かぼんやりと休んだ後、ひとつ大きく息をつきました。
さあ
伸ばしてみよう
何かあるかもしれない
痛い目にあったりするかもしれない
だけど伸ばしてみよう
どこまでもどこまでも
気持ちが済むまで伸ばしてみよう
もうどんなことがあっても、何を言われてもかまわないという心地になりました。
そしてどこまでもどこまでも
そのつるを伸ばしていきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/70/61547fa33a33a6f2b47a49d5f7b8506c.jpg?1658049340)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます