故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

魔法の紙

2014-08-07 05:08:19 | プロジェクトエンジニアー

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今朝も東風がやっと吹き始めました。
午前4時頃のことです。
 

30mmほど、前後の搬送ベルトの芯がずれていました。
天板(パンを載せてオーブン中で焼く入れ物)が、洗浄機を出て来て天板スタッカー(台車に天板を100枚程積載する機械)に入る位置で、互いの搬送コンベアの芯がずれていました。ガイドで矯正できるずれでした。ガイドが汚れてきて、摩擦が大きくなると天板は常に斜めにスタッカーに入って行くようになり、トラブルの原因になると思われました。
 

スタッカーは1トン以上あり。機械とびが移動し、スタッカーメーカーのスタッフに確認させアンカー(機械を固定)を打ちました。 

すぐに、機械メーカーに間違いの原因究明の連絡を入れました。
併せて機械とびの会社に移動をしてもらえないかと連絡を入れました。どちらからも、10分のうちに連絡がありました。
機械メーカーは、洗浄機の機械芯にスタッカーの機械芯を合わせていました。スタッカーの搬送ベルト芯は、スタッカーの機械芯から30mmずれた配置でした。機械とびは、連絡とともに30分後に職人を送ってくれました。
 

職人は、アンカーを飛ばし(切り)、機械を移動させる準備をしました。同時に、電気屋さんは制御盤に固定した電線管を外し、配管屋さんは配管の固定をはずしました。皆さん、何が起こったのかどうしたいのか飲み込むと、自分は何をやらなければならないか瞬時に判断され対処されます。
職人は、ジャッキでスタッカーを持ちあげ、床と機械の間の要所に、「紙」を数枚入れました。そして、重いスタッカーをレバー2本で少しずつ移動させました。ものの数分で完了です。見事な仕事ぶりです。試運転期間中に、ことなきを得ました。
 

小さな母親が大きなタンスを中味を出さずに、座布団の上に載せて一人で好きな場所へ移動させていたのを思い出しました。びっくりする私に、ニヤッと笑い返した母の顔と共に覚えておりました。 

私は、手配師です。専門家が到着したら何もすることはありません。照り付ける屋外の休憩用テントまわりに、散水を始めました。散水すると不思議なことに、上昇気流が起こり爽やかな風が吹き始めるのです。仕事師たちが、つかの間の涼を感じられるのです。 

東風を満喫しながら書いています。
当たり前のことを何事もなかったかのように、すらすらとやってのける職人集団が好きです。私は、「危険」を判断するだけです。誰にどのように伝えれば物事が始まるか心得ています。即座に連絡します。お互いの信頼感が行動につながります。こんな時、仕事をしていて良かったと思います。
 

朝焼けです。太陽が出てくると止まる東風はまだ吹いています。故郷の広島の朝夕の凪を思い出します。 

2014年8月7日

コメント
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