子どもの頃も、今もよそ行きの服がないのです。
普段着が通勤服で、仕事着は作業着です。
背広を着る機会が減りました。
背広を着た人と、作業服の人が並んでいます。
なんとなく背広の方が偉い人じゃないかなと錯覚します。
銀行にも作業着で行く先輩は、
お前らの背広は制服であり、俺らの作業着と一緒なんだ。
と威張っています。
先輩一行は、余市の由緒あるゴルフ場にトラックで乗り付けました。
玄関に出てこられた支配人風の方が、
「今日は、工事はなかったはずですが」といぶかしげに対応しました。
先輩がキャンバスシートをめくって、立派なバッグを取り出しました。
支配人は、いつものお客さんに見せる満面の笑顔に変わりました。
どちらも、ちょっと違うんだけどの話です。
作業着も洗い古した少しよれっとした方が着やすいのです。
作業服のポケットには、ピッチと会社のスマホと個人の携帯電話が入っています。
万歩計も加わります。
マスター鍵、玄関の鍵とボールペンも入っています。
首には、ピッチ用とボールペンを吊るすひもが2本回っています。
ヘルメットのひもが顎にかかり万全です。
腰に安全帯を巻けば完璧です。
やれやれ。結構重いのです。汗が加わると作業服は鎧のようです。
よそ行きの服を着て、飲みに行きたいのです。
ある現場で、作業員全員(総勢30人位)、クラブを貸切にして、
慰労会を開きました。施主も一緒でした。
皆さん、風呂に入ってきたようでした。
中にはコロンを振っている人もいました。
カラフルなおしゃれ着で来られました。
店の女の方たちも、大喜びでした。
大いに盛り上がりました。
翌日の朝礼には普段通りの人数でした。
どの顔も心なしか赤いようでした。
現場を回ると、作業員が見当たりませんでした。
日陰で休んでいました。その日は早仕舞で帰っていただきました。
皆さん、その時のためのよそ行きの服を持っておられました。
洗濯やから持ち帰ったまま吊るされていたのか、突っ張っているようでした。
よそ行きの言葉なんか使っちゃって、
がらもいくぶん変わっていたように感じました。
撫子の 戦い終わり ONとOFF
2015年6月30日