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東日本震災復興の現状5

2016-05-13 11:35:01 | 日記
🌊東日本震災復興🌸の現状5


震災のおかげと言えば、「みちびき地蔵堂」もそうです。

ああ、俳優で仏像彫刻家の滝田栄さんが制作された地蔵菩薩像ですね。

滝田さんとは、あるお寺の座禅修行で偶然知り合いましてね。

震災後、

「気仙沼の被災された方々のために」

ってことで、
一本の大きな楠から地蔵菩薩像を彫ってくれたんです。

1,000人もの方から寄付金を頂戴して、
父の家の裏手にお地蔵様を安置するお堂を建てていただきました。

また、おじぞうさまの背後には大きな屏風絵が飾られていまして、

これも日本画の大家・富永成風先生に寄贈していただいたんです。

震災がなければこういうご縁はなかったわけですから、本当にありがたいことだなと思ってます。

いま震災のおかげと言う話がありましたが、
私も社員にこういう言い方をしたんですよ。

「変われなかった会社が変わるチャンスをもらったと考えよう」

って。

以前から変わりたいって思いながらも、伝統産業ゆえにいろんなしがらみがあって、
それを言い訳にして変われなかった。

震災がきっかけで変わるチャンスをもらったんだから、
新しい会社を作っていこうと思いました。

でもそれは「ピンチをチャンスに」いっていう、
そんな軽い言葉ではありません。

もうゼロになってしまったんだから、
そこからいろんなことを変えていくんだっていう思い、覚悟です。

その一方で、大変にお気の毒な事なんですが、
あまりにも多くのものをなくして、いまだに3月11日から歩出せない方もいらっしゃるんですね。

ただ、気仙沼地域の復旧・復興を考えたり、
あるいは自分の家族や社員、お得意様を考えた時に、

やはり前に足を踏み出さなければならないと思うんですよ。

自分の会社をどんなことがあっても再建させる。

気仙沼を震災前より、もっと素晴らしい町にしていく。

その気持ちがあると、波動が合うというか、引き寄せられるとゆうか、

いろんな仲間や支援者を通じて、必要な時に必要なものが送られてきたり、
必要なことが起こってくるんです。

あれは不思議ですね。

私、思うんですけど、やはり亡くなった人たちは、

私たちの心の中に「種」を蒔いていったたと思うんですよ。

ああ、心の中に「種」を。

いたずらに嘆き悲しみでばかりいると、その種が腐ってしまう。

悔やんでも、悩んでも、怒っても、何をしても

失ったものは帰ってこないわけですから、
種をきちんと受け止めて育てていく。

そのためには、常に明るい気持ちが必要だと思います。

確かに辛い思いもありますけど、今回の震災は天災でしょう。

天の為せる業なわけですよ。

人智の及ばないところで、こういう震災が起きたって受け止めるしかないと思うんですよね。

そう受け止めることによって、

亡くなった方の蒔いた「種」が私たちの心の中で発芽して、花を咲かせ、実を結んでいく。

だから、私たちは亡くなった人たちとともに歩みながら、生きているわけです。


私は震災の時、自分が無力だということをものすごく痛感させられました。

一人では何もできないんだなと。

その時に何をしたかというと、いろんな人たちの力を借りたわけです。

そうやって、皆で力合わせてやっていると、どんどん楽しくなるんですよ。

だとすれば、何事にも真摯に向き合っていきたいなって思うんですね。

自分に対しても、仲間に対しても、地域に対しても。

そのベースにあるのは、自分の力なんか高が知れているということ。

それを踏み外したらダメで、

常に足元から一歩一歩進んでいくしかないのかなと思います。

私はよく社員に

「一日ちょっとずつでも進化しよう」

って言うんですね。

いちどに1メートル2メートルのハイジャンプをする必要はない。

1センチ、いや1ミリでもいいから、日々進化していく気持ちだけは持ち続けてほしいと。

だから、私としては関を越えてきたというよりも、まだ関の途中。

無事に越えられるかどうかも分かりません。

ただ、きっとどこまでいっても、人生に関はあり続けるだろうなと感じています。

私も自分が関を越えてきたとは思っていませんし、

そもそもあの大震災を目のあたりにすると、関を越えようという気すら起きませんよ。

ただ目の前に起きたことを素直に受け止め、

物事に対する執着心をなくすことによって、前を向いて歩いていける。

そういうことなのかなと思っています。

この五年間を振り返ってみると、

やっぱり

「逆境に勝る教育なし」。

この言葉が身に沁みますね。

逆境から学んだことを一つひとつ実践していくことが大事なのかなって思うんです。

その中で、私自身が経営者として心がけているのは、

「品性を磨き高めること」。

もう一つは、

「常に天から見たらどうなのかという視点を持つこと」

です。

トップをやっていると、右に行くか左に行くか、どっちか選択しなきゃいけない時があるじゃないですか。

その時に自分の私利私欲を捨てて、天から見たらどっちがいいのかっていう判断基準を持つようにしているんです。

それが結果として、品性を磨き高めることにもつながるような気がしています。

私は、今回の震災で有形の財産を全てなくしたわけですが、

なくしたって考えると大変なんですよ。

でも、そうじゃないと。

「天の大きな賽銭箱に、全部寄付した」

と思えば、

K電気は、未来永劫、栄える(笑)。

こう考えると気持ちが明るくなるじゃないですか。

そういう心の持ち方が、生きていく上でとても大事ですよね。

今回の震災では実に多くの方が亡くなりました。

今生きている人も、いつかは必ず死にます。

死というものは身近にあるもので、朝、目が覚めて、体を動かすことができる。

そういうこと自体が奇跡の連続なんですよ。

だから、神様にお借りしている肉体を返す時が来るまで、

命があることに感謝して、

今日一日できることを一所懸命、精一杯やるのみだと思います。


おしまい。

(「致知6月号」より)