①💕ゴースト化する血管💕①
「血管」とは、いうまでもなく体にとって、とても大切なものです。
その血管の中に、加齢とともに消えていくものがあることをご存知でしょうか。
消えてゆく血管とは「毛細血管」です。
毛細血管は、名前の通り毛のように細い血管で、
太さは、5〜8マイクロメートル(1000分の5〜8ミリ)。
動脈や静脈などに比べると、毛細血管は話題になりにくく、血管として意識されにくいかもしれません。
しかし、じつは血管の中で圧倒的に多くを占めているのが毛細血管なのです。
長さにすると、血管のうち99%は毛細血管が占めています。
仮に、体にあるすべての毛細血管をつなぐと、その長さは、
地球2周半にも呼びます。
長いだけでなく、毛細血管は、体にとって大変重要な役割をしています。
私たちの体内では、心臓に連結した動脈が、次第に細くなって細動脈になり、毛細血管につながります。
そして、皮膚や臓器、筋肉といった様々な組織に、
網の目のように入り込んだ毛細血管から、
酸素や栄養素が届けられるのです。
酸素や栄養素は、毛細血管からしか組織に届けられません。
毛細血管がじゅうぶん1に張り巡らされていなければ、
組織はたちまち酸素不足、栄養不足に陥ってしまうわけです。
毛細血管は、酸素や栄養素を届ける一方、
二酸化炭素や不要な老廃物、余分な水分などをリンパ管と協力して回収します。
毛細血管の働きが低下すると、こうした不要物の回収率も落ち、組織に「ゴミ」がたまりやすくなるのです。
酸素や栄養素をしっかり届けるためにも、
体で生じた「ゴミ」をためないためにも、重要な毛細血管。
その毛細血管が消えてしまうとはどういうことでしょうか。
ある程度以上の太さがある動脈や静脈は、簡単に消えたりしません。
しかし、毛細血管は、老化現象の1つとして消えてゆく血管なのです。
平均的に、毛細血管は40代半ばから減り始め、80代になるまでに4割も減ってしまいます。
突然に消えるわけではなく、血管の血管壁がしだいに弱くなり、血液成分がもれ出し、血流が乏しくなってきます。
この状態の毛細血管を特殊な装置で観察すると、
本来はしっかり画像に写っている毛細血管が、いまにも消えそうに薄くなり、ところどころで切れているのがわかります。
その様子が、まるで幽霊のようなので、
私は一般の人にわかりやすいよう、
「ゴースト(幽霊)血管」
と名づけました。
健全だった毛細血管がこのように変化することを
「毛細血管のゴースト化」と呼んでいます。
ゴースト血管が多くなるほど、組織に必要な酸素や栄養素が届かなくなり、
老廃物が溜まりやすくなります。
そのことが、様々な老化現象や病気を進める一因となります。
特に、新陳代謝の速い皮膚は、毛細血管のゴースト化が起こりやすく、
影響しやすいのです。
ゴースト血管が増えるほど、肌のくすみやシミ、たるみ、シワが増加してきます。
皮膚に限らず、末端の毛細血管がゴースト化することで、
冷えやむくみも悪化します。
白髪や抜け毛が増えたり、爪がかけやすくなったりと、髪と爪の老化も助長されます。
皮膚と同じく新陳代謝が速い肝臓も、毛細血管のゴースト化が起こりやすい臓器です。
加齢とともにお酒が弱くなることにも、ゴースト血管が関係していると考えられます。
ほかの臓器や器官も、加齢につれて毛細血管がゴースト化します。
その結果、腎臓や呼吸器の機能低下、アレルギー症状、認知症などが進みやすくなります。
もともと私の専門は、がんと毛細血管の研究ですが、
ゴースト血管が増えるほど、長期的にはがんのリスクも高まります。
ゴースト血管の割合は、同じ年齢でも大きな個人差があります。
同じ50代でも、違います。
しかし、毛細血管のゴースト化は、
食事や運動など日常生活のちょっとした心がけで防げます。
さらに、ゴースト化した毛細血管を再生させることも可能です。
具体的な方法の解説の前に、
次のページでは毛細血管のゴースト化の進み具合がわかるチェックリストをご紹介しましょう。
(「ゆほびか」3月号より)
「血管」とは、いうまでもなく体にとって、とても大切なものです。
その血管の中に、加齢とともに消えていくものがあることをご存知でしょうか。
消えてゆく血管とは「毛細血管」です。
毛細血管は、名前の通り毛のように細い血管で、
太さは、5〜8マイクロメートル(1000分の5〜8ミリ)。
動脈や静脈などに比べると、毛細血管は話題になりにくく、血管として意識されにくいかもしれません。
しかし、じつは血管の中で圧倒的に多くを占めているのが毛細血管なのです。
長さにすると、血管のうち99%は毛細血管が占めています。
仮に、体にあるすべての毛細血管をつなぐと、その長さは、
地球2周半にも呼びます。
長いだけでなく、毛細血管は、体にとって大変重要な役割をしています。
私たちの体内では、心臓に連結した動脈が、次第に細くなって細動脈になり、毛細血管につながります。
そして、皮膚や臓器、筋肉といった様々な組織に、
網の目のように入り込んだ毛細血管から、
酸素や栄養素が届けられるのです。
酸素や栄養素は、毛細血管からしか組織に届けられません。
毛細血管がじゅうぶん1に張り巡らされていなければ、
組織はたちまち酸素不足、栄養不足に陥ってしまうわけです。
毛細血管は、酸素や栄養素を届ける一方、
二酸化炭素や不要な老廃物、余分な水分などをリンパ管と協力して回収します。
毛細血管の働きが低下すると、こうした不要物の回収率も落ち、組織に「ゴミ」がたまりやすくなるのです。
酸素や栄養素をしっかり届けるためにも、
体で生じた「ゴミ」をためないためにも、重要な毛細血管。
その毛細血管が消えてしまうとはどういうことでしょうか。
ある程度以上の太さがある動脈や静脈は、簡単に消えたりしません。
しかし、毛細血管は、老化現象の1つとして消えてゆく血管なのです。
平均的に、毛細血管は40代半ばから減り始め、80代になるまでに4割も減ってしまいます。
突然に消えるわけではなく、血管の血管壁がしだいに弱くなり、血液成分がもれ出し、血流が乏しくなってきます。
この状態の毛細血管を特殊な装置で観察すると、
本来はしっかり画像に写っている毛細血管が、いまにも消えそうに薄くなり、ところどころで切れているのがわかります。
その様子が、まるで幽霊のようなので、
私は一般の人にわかりやすいよう、
「ゴースト(幽霊)血管」
と名づけました。
健全だった毛細血管がこのように変化することを
「毛細血管のゴースト化」と呼んでいます。
ゴースト血管が多くなるほど、組織に必要な酸素や栄養素が届かなくなり、
老廃物が溜まりやすくなります。
そのことが、様々な老化現象や病気を進める一因となります。
特に、新陳代謝の速い皮膚は、毛細血管のゴースト化が起こりやすく、
影響しやすいのです。
ゴースト血管が増えるほど、肌のくすみやシミ、たるみ、シワが増加してきます。
皮膚に限らず、末端の毛細血管がゴースト化することで、
冷えやむくみも悪化します。
白髪や抜け毛が増えたり、爪がかけやすくなったりと、髪と爪の老化も助長されます。
皮膚と同じく新陳代謝が速い肝臓も、毛細血管のゴースト化が起こりやすい臓器です。
加齢とともにお酒が弱くなることにも、ゴースト血管が関係していると考えられます。
ほかの臓器や器官も、加齢につれて毛細血管がゴースト化します。
その結果、腎臓や呼吸器の機能低下、アレルギー症状、認知症などが進みやすくなります。
もともと私の専門は、がんと毛細血管の研究ですが、
ゴースト血管が増えるほど、長期的にはがんのリスクも高まります。
ゴースト血管の割合は、同じ年齢でも大きな個人差があります。
同じ50代でも、違います。
しかし、毛細血管のゴースト化は、
食事や運動など日常生活のちょっとした心がけで防げます。
さらに、ゴースト化した毛細血管を再生させることも可能です。
具体的な方法の解説の前に、
次のページでは毛細血管のゴースト化の進み具合がわかるチェックリストをご紹介しましょう。
(「ゆほびか」3月号より)