副鼻腔炎とは、副鼻腔の炎症により、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈する疾患で、頭痛、頬部痛や嗅覚障害を伴う疾患である。鼻内所見では、膿性、粘膿性の鼻汁や鼻粘膜腫脹、また鼻茸を認める例も多い。画像検査により副鼻腔に異常陰影を認める。
上は副鼻腔炎診療の手引き(日本鼻科学会:2007)の第一章:定義の冒頭です。この章は、慈恵医大の森山教授が担当され、私と、今は独協医大の教授になっている春名先生と、甲府の小澤先生の3人がそのお手伝いをしました。まず私が初稿を書き、それをたたき台に3人で検討して、森山教授に推敲していただき、さらに鼻科学会の検討委員会で討議して、できあがったものです。
ここで私たちが強調したかったのは、副鼻腔は下気道にいたる呼吸器の一部であり、副鼻腔炎は呼吸器症状を呈する疾患だということです。咳は副鼻腔炎の主要な症状のひとつなのですが、それまでの教科書などでは、主症状に咳を入れたものはありませんでした。この一節は、ほぼ私の原文をそのまま採用していただいています。
ここでは、画像検査についても、ほぼ私の原文どおりに記載されました。しかし昨年出された急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインでは、画像診断はあまり必要ないとされました。これには、私は疑問があります。副鼻腔炎では、やはり画像診断は必要なことも多いのです。しかしレントゲン検査には被曝の問題がありますので、私はできるだけ超音波検査を行うようにしています。
来週の火曜日、製薬会社で副鼻腔炎の話をさせていただくので、この1週間はその準備をしつつ、内容の一部をブログにも書いておこうと思います。