当院で行っている耳の検査は、以下のようなものがあります。
耳の病気の診断には、鼓膜所見が大事ですが、私は必ず内視鏡(鼓膜鏡)で観察して撮影し、コンピュータに記録します。必要なときは、顕微鏡も用います。より拡大し、立体視できるのが、顕微鏡の長所です。
そして聴力検査。ヘッドフォンから純音を聴く気導聴力検査、耳の後ろの骨から振動を与えて内耳の聞こえを検査する骨導聴力検査、録音した語音の聞き取りをみる語音聴力検査があります。
ティンパノメトリー。滲出性中耳炎や耳管狭窄症の診断に必要な検査です。鼓膜の外側と内側の圧が等しいときに、最も効率よく音が伝わっていくことを利用した検査です。
通常の聴力検査ができない幼児では、耳音響放射という方法で聞こえているかどうか調べます。4種類の周波数(高さ)の音を聞かせ、内耳が反応して出す音の放射を測定して、内耳が音に反応しているかどうかを見る検査です。反応があればPassという判定が出ます。反応がなければReferという判定です。Referというのは、異常があるかどうか、専門病院で詳しい検査を行う必要があるという意味です。
耳管機能検査。耳管が狭いのはティンパノメトリーで分かるのですが、耳管が広すぎる耳管開放症には、この検査を行います。耳管が広すぎても、耳が詰まったような症状が起きてしまうのです。もっとも、耳管咽頭孔(耳管の入り口)を綿棒で塞いで、改善するかどうか試すとだいたい見当がつくので、最近はあまり行っていません。
耳小骨筋反射。鼓膜から内耳まで音を伝える三つの小さな骨を耳小骨といいますが、これには筋肉が付いており、音に対して反応して収縮します。耳小骨離断(耳小骨のつながりがはずれた状態)では、音を聞いても反応が出ないので、その診断に有用です。これもめったにないので、検査することも少ないです。
耳のレントゲン。1.中耳炎の合併症として起こる、乳様突起炎が疑われるとき。2.中耳真珠腫の骨破壊を確認したいとき。3.滲出性中耳炎に伴う、乳突洞の発育抑制を確認したいとき。4.外傷で骨折が疑われるとき。などに行います。5.内耳の状態を見るとき、にも行いますが、レントゲンで内耳の病気が分かるのは、よほど重症のときなので、最近は内耳の病気を疑ったときは、近くの脳外科の先生にお願いして、MRIを撮っていただくことが多いです。