横浜市都筑区耳鼻咽喉科

南山田(センター北と北山田の間)の耳鼻咽喉科院長のブログ。

鼻副鼻腔炎の病態と治療6 内視鏡下鼻内手術

2011-07-11 20:46:09 | 院長ブログ

鼻処置やネブライザー、薬などで、どうしても治らない鼻副鼻腔炎には、手術が考慮されます。

以前は歯ぐきの上を大きく切開して、上顎洞の前壁の骨をすべて開放し、上顎洞の粘膜をすべて取ってしまう手術が主流でした。この手術は痛みや腫れなど、術後が辛いだけでなく、歯ぐきの部に違和感を残したり、結局軽い副鼻腔炎を起こしやすい状態が残ったり、20年も経ってから、術後性頬部嚢胞という別の病気を生じて、また手術が必要になったり、欠点の多い手術でした。

鼻内から副鼻腔の手術を行う方法も、慈恵医大などでは行われていました。患者さんの負担が少なく、その上粘膜を残して、換気や排泄の機能を改善保存するので、手術成績も良いものでした。しかし、眼窩や頭蓋底、視神経などに接する副鼻腔の手術を、視野の得にくい鼻内から行うのは、技術的にとても難しく、普及しませんでした。しかし、1980年代になって、内視鏡を用いた鼻内手術が発表され、注目を集めるようになりました。慈恵医大も、世界に先駆けて内視鏡手術を発表した施設のひとつです。

 

左上は1995年、日本最初の内視鏡下鼻内副鼻腔手術の本です。私も大先輩たちに混じって、6人の共同著者の中に加えていただきました。慈恵医大では昔から鼻内手術は行われており、それに内視鏡を導入したのは、現教授である森山先生をはじめとした先輩たちのお仕事で、私などはあまり貢献していないのですが。

右上もほぼ同時に出版された本です。この本でも、大したお手伝いはしていないのですが、執筆協力者として名前を載せていただきました。森山教授のほか、内田教授と足川教授が共著者になられています。お二人とも亡くなられましたが、私の副鼻腔炎に関する仕事は、すべてお二人に教えていただいたことから始まっています。

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