クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

インビタビリスツヤクワガタ・5-繁殖サイクル

2023-09-03 23:59:50 | インビタビリスツヤ

次世代発生までの期間

昨年生まれたインビタビリスツヤクワガタ(以下インビタビリス)が羽化し

蛹室から自力脱出を始めました。

 

今回は飼育下でインビタビリスが羽化して産卵し、幼虫が育ち

やがて新成虫がマット上に現れるまでのあらまし記事です。

*使用したマットは 「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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↓ 2022年5月26日セット〜初秋に掘出し

↓ 初齢~終齢初期まで 

↓ 2齢幼虫5頭を手元に残して飼育開始(2022.11.23)

↓ プラケース中で5頭まとめ飼い

 

飼育下におけるインビタビリスの繁殖サイクルは以下のようになりました。

1サイクル観察期間:2022年3月25日〜2023年9月3日

管理温度:冬季15度前後・夏期25度前後

親虫の羽化日:オス2022年3月25日(蛹室小窓で確認)・メス2022年5月(自力脱出)

産卵セット:2022年5月26日、産卵はそれ以降

卵〜幼虫期間:約11〜12か月(*蛹室入場までの期間)

 *蛹室入場の補足:インビタビリスやブルークツヤクワガタ等の場合

 蛹室作成は外部坑道整備等と並行して行われるため、幼虫は蛹室と坑道を行き来します。

 やがて幼虫は蛹室に入り込み、出入口を塞ぎます。

 このタイミングを私は「蛹室入場」と呼んでおり

 実際の蛹室完成はどの時点にあるか知りません。

 また、蛹室入場直近の幼虫には以前のような体の張りは感じません)

前蛹〜羽化〜蛹室脱出までの期間:3ヶ月半〜4ヶ月程度

(蛹室入場は2023年5月12日あたりから始まり、脱出は9月1日〜3日に確認)

以上が大まかな成長ステージです。

これらの数値は環境によって変わるかもしれませんが

要約すると、卵から羽化までは14ヶ月ほど

テネラルを経て蛹室から出てくるまでなら16ヶ月ほどです。

それらが実際に産卵に至るにはもう少し時間がかかります。

↓ 2023.9.3 理想の自力脱出

↓ メスも自力脱出 2023.9.3

9月3日現在、5頭のうち2オス1メスが蛹室から出てきました。

低栄養マットでどれも小ぶりですが、自力脱出のため健全で成熟度も高いと思います。

蛹室に残る2頭も数日の間に出てくると思われます。

↓ pカップにて個別管理 右二つは未脱出

私の飼育下でのインビタビリスの繫殖サイクルはだいたい18ヶ月毎(1年半)です。

このまま繁殖を続けると再来年(2025年)の春頃に次世代の発生が予測されますが

いつまでたっても小型なので、そろそろ大きな個体も見たいですね。


インビタビリスツヤ・4-羽化

2021-08-04 23:03:52 | インビタビリスツヤ

インビタビリスツヤクワガタの飼育2代目が羽化しました(以下インビタ)。

今回は画像中心になります。 

*カテゴリーから入ると飼育過程等が繋がります

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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産卵=2020年の春〜

管理温度=冬期15度程度・夏期25度前後

卵から羽化までの期間=14ヶ月ほど

幼虫の餌=チャイロマルバネがよく産んだマットにシイ赤枯れ30%追加

 

↓ インビタの幼虫の糞はマルバネ類同様に黒っぽくなる

↑ この手の種はおそらく母虫から共生酵母菌類の伝搬がないと思う

↓ 空洞が目立つ

↓ 右側のマット塊に蛹室が含まれる

↓ 蛹室

↓ 蛹室の周囲に白い粒のようなものがあれば中で死亡していることもある

↓ メスの蛹

↓ これもメス

↓ そして、メス

↓ 新成虫もメス!

↓ やっぱりメス・・・

↓ 蛹室に窓を開けたときは、湿らせたティッシュで蓋をする

↓ オス!

↓ 唯一のオスを蛹室から出してみる

 

今日は800ccボトルで単独飼育していた7頭を掘り出しました。

そのうち1頭は幼虫の姿で死亡していましたが

結果はメスが5頭、オスが1頭で1ペアは確保できました。

このほかにもプラケースで6頭まとめ飼いをしているので

羽化しそうなタイミングで掘り出したいと思います。

 

↓ 小窓を開けた蛹室は、ティッシュで蓋をして羽化を待つ

↓ まとめ飼いのケース 蛹室らしき箇所がある

 

今日の掘り出しでは「全部メスか?」と焦りましたが

最後に新成虫のオスが締めくくってくれました。

 

 


インビタビリスツヤクワガタ・3-幼虫の成長

2020-12-24 22:38:43 | インビタビリスツヤ

先週のこと

インビタビリスツヤクワガタ(以下インビタ)の掘り出しを行いました。

*タイトルにNo.がある記事は「カテゴリー」から入ると 飼育過程等が繋がります。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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前記事では団子状のマット塊を割り

中から出てくる幼虫を確認して掘り出しを途中で止めました。

あれから3か月、容器側壁に終齢幼虫らしき個体が複数見えてきたので

先週の土曜に掘り出してみました。

 

↓ 2020年12月14日 容器側壁に見え始めた幼虫 

 

産卵セットに使った容器はさほど通気のよいタイプではないのですが

それでも、エアコンで管理しているとマットが乾燥してくるため

表面が乾いたらたまに霧吹きをしていました。

噴霧した水はマットに染みながら母虫が作った坑道を流れていきます。

坑道は、通気とほどよい水分を確保するのに役立つのかもしれません。

 

↓ 水はマット塊の周囲を通過 2020年12月14日

↓ 掘り出し直前

↓ マットの上に転んでいた乾燥親虫

↓ 左の団子3ケからは何も出てこなかった

 

掘り出しではある程度成長した終齢幼虫は母虫由来とはいい難いような

マットの塊った部分から現れる傾向にあったので

幼虫は成長するにつれ、母虫が作った団子状のマット塊では狭くなり

緩やかな速度でそこから出ていくのではないかと想像しました。

 

↓ 部屋から現れた終齢初期の幼虫

↓ 終齢幼虫 ある程度成長しても脱皮直後のように気門の周囲が白い

↓ 体内に見える食物の色と糞の色は違う(黒っぽい)

↓ 幼虫部屋には糞が蓄積  糞の色はマルバネ同様に黒っぽい

↓ 透けて見えるが雌雄判別はできなかった

 

インビタの幼虫は成長ステージ問わず腹部末端にオレンジ系の微毛が密生しています。

幼虫はこの微毛を使って体の各部を掃除します。

 

↓ 腹部末端腹面にはオレンジに輝く微毛が密生する

↓ 光にあたると輝いて見える

 

掘り出した幼虫7頭はクリアボトルに投入して単独飼育し

残りはまとめ飼いすることにしました。

親虫を頂いたあらさんによると

「終齢幼虫はマルバネ餌で飼育できる」とのことなので

基のマットにマルバネに使ったマットを加え、インビタ用としました。

(あっ!そういえば 今期はマルバネの記事を書いていない!

羽化やら餌追加などいろいろしたんだが)

 

↓ 基のマットにふるい掛けした微粒マットを30%ほど混ぜたもの

↓ クリアボトルに終齢幼虫の1部を投入し、幼虫の大きさ順にNo.を記入

↓ 終齢幼虫11頭 2齢幼虫2頭 計13頭採れました

 

今回の掘り出しでは2セットのうち幼虫が出てきたのは1セットだけでした。

出てきた幼虫の数は13頭。

この数値は、掘り出し前の期待値よりはるかに低いですが

管理しやすい数ということで良しとします。

 

 Merry Xmas🎄

                

                           Merry Xmas🎄


インビタビリスツヤクワガタ・2ー産卵と幼虫の暮らし

2020-09-26 23:56:18 | インビタビリスツヤ

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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昨年11月にあらさんから終齢幼虫でいただいた

インビタビリスツヤクワガタ(以下インビタ)が次世代を残しました。

 

↓ 2020年1月19日 繭玉

↓ 幼虫5頭は、2020年4月までにすべて羽化

↓ オス

 

羽化から約1か月半が過ぎ

後食を始めた雌雄から順次同居させ3月末に産卵セットを組みました。

インビタの採卵に使用したマットは

チャイロマルバネがよく産んだマットにシイの赤枯れを追加したものです。

水分は、ギュッと握って団子がつぶれない程度にしました。

管理温度は他種との関係で22度前後です。

 

↓ 底部5cmほどはやや硬く詰め、2セット完了

↑ 2オス3メスで組み合わせた

↓ こちらは2メス体制

 

その後、メスがマットに潜ったり出てきたりを繰り返すので

「もしや?」と思い、4月末に掘り出してみましたが卵は見つかりませんでした。

あらさんから聞いていた通り、性成熟していなかったようです。

 

↓ 体表はマットだらけ オスもマットに潜る

 

5か月ぶりの掘り出し

2020年9月26日、最初の掘り出しから5か月が過ぎました。

ふたを開けるとマットの上には力尽きた成虫が見えています。

 

↓ 2020年9月26日掘り出し直前 親虫は6~8月にすべて死亡

 

容器側面や底面からは幼虫の姿やそれらしき痕跡が全く見えないため

「やっぱり産んでいないのか」と思いながら容器を逆さにしてマットをトレイに移しました。

とその瞬間、幼虫が現れました!

マットの塊が割れ、そこから幼虫が見えたのです。

 

↓ 気門のまだ白い幼虫

↓ 他の塊からも幼虫は出てきた

↓ 食べたマットが透けて見える

 

インビタは団子状になったマットの中から幼虫が出てきます。

団子が先か?産卵が先か?

このからくりは不明です。

カズヒサツヤクワガタも同じ産卵形態でした。

 

↓ 団子の中に幼虫 2齢と思える

 

幼虫の暮らし

インビタは野生でも木の根元付近の土中から発見されると聞きます。

今回の掘り出しで団子の中から出てくる幼虫を見て

「なるほどこんな感じか」と思う傍ら

過去に何度も失敗したカズヒサツヤクワガタのことを思い出しました。

なんかインビタも似たような感です。

「こういう種はあまりいじらないほうが良い」

少しおじけづいた部分もあり途中で掘り出しを止めました。

もう一つの容器は手を付けずしばらく放置することにしました。

 

↓ もう一つの容器に暮らしの痕跡?

↑ 期待できそうな部分と ⇑母虫の作った坑道

 

インビタの産卵セットを組んで5か月。

容器側面・底面からは幼虫の気配が伝わらないまま今日の掘り出しに至りました。

結果、団子状の塊内から順調に成長していると思える幼虫が出てきました。

そして、同様の塊はいくつかあったのでそこにも幼虫が入っているものと信じます。

 

インビタの幼虫は硬く分厚い砦の中で適度な空間を作り

その内壁を食べながら成長しているようです。

そのため容器の側壁や底面からは暮らしの痕跡を窺い知ることができませんでした。

 

↑ ↓ 母虫による坑道と団子

↓ 団子を割ってみる

↓ ↓

↓ 蛹室のような部屋から出てくる

↓ もうしばらく放置することに

 

最後に既知の知見と重なりますが飼育下で私がみたインビタの生態を

簡単にまとめてみました(n=5)

*成虫の寿命:羽化日から4~6か月( 2か月ほどのばらつきあり)

↓ 2020年9月26日 掘り出し前のマット表面にて

 

*性成熟期間:メスは羽化日から2か月半以上(実際の産卵開始時期は不明)

*幼虫の生態:蛹室のような部屋で成長(マ ルバネクワガタと類似)

(この手の種は栄養吸収に有益な菌類を母虫から受け継がないと思う)

 

今日の掘り出しでは半分諦めていた幼虫が確認でき

また、作成したマットを食べ加齢していることもわかったので

今後の掘り出しと、成長に期待を持ちました。

 

おまけのブルークツヤ

一昨年、ブルークツヤクワガタ野外個体のブリードを試みましたが

産まないまま死亡しました。

機会があれば今回のインビタに使ったマットでもう一度トライしたい種です。


↓ オス42㎜  メス25㎜

オスは、脚を使って体を機敏に上下させ何かをアピールします。

↓ 小〜中型のツヤクワガタのブリードは相対的に難しい


↓ 腹面がきれい






オスの大あご出現型は必ずしも大きさに比例しないため

パプアヒラタみたいに遺伝によるところがありそう。

 


インビタビリスツヤクワガタ・1-羽化

2020-02-15 00:13:04 | インビタビリスツヤ

昨年11月初めにあらさんから頂いたインビタビリスツヤが羽化していました。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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今日、仕事から帰って小屋に入ったところインビタビリスの容器内で動くものを発見。

・・・なにこれ?

 

オスが羽化して蛹脱していました。

↓ ティッシュの下にはメスの蛹室が・・・

↓ 30mmほどのやや大型

 

頂いた幼虫たちは昨年の12月ころから順次蛹室を作り始めていたので

今年になって一つの繭玉上部を開けてみたところメスの若い蛹が見えました。

それをこの個体群が羽化する時期の目安にしようと思っていたのですが

まさかこんなに早くしかもオスが先に出てくるとは思ってもいませんでした。

 

↓ メスの蛹

↓ 蛹脱した個体

 

もしかして・・・

残りの繭玉も上部開口し、成長ステージを見ることにしました。

↓ 削っていくと色が変わり、より硬くなる

↓ オス 

↓ メス

↓ 上にある繭玉はオスの蛹脱痕

↓ メス 羽化近し

↓ プリンカップに移し羽化を待つ

↓ 2♂3♀ 理想の性比

 

まともに見たインビタビリスは

記憶の中のカズヒサツヤクワガタより遥かに大きく、がっちりして見えました。

 

↓ カズヒサツヤクワガタ

↕ カズヒサツヤクワガタ

↓ 蛹脱したインビタビリスツヤクワガタ

 

こんな感じで、思いもしない出来事にちょっとびっくりうれしい夜でした。

*追記:2020.2.16 

メスの羽化画像(2020.2.16羽化)

↓ 1時間ほどかけて1♀無事に羽化