クワガタ~スズメバチ等の覚書

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

ババクルビデンス・2-羽化

2022-05-07 10:22:27 | ババオオクワガタ(クルビ?Vietnam)

昨年2月27日に割り出したババクルビデンスの卵・幼虫が羽化を終えました。

 

↓ 親虫 71㎜

↓ 産卵材は2本

 

二つの材から出てきた卵と初齢幼虫計10頭のうち、6頭が無事に羽化しました。

羽化までに使用した菌床(Gポットスタウト)は、オス=3本・メス=1本です。

 

↓ 2021年9月14日 オス3本目投入時

⇩ ⇩ 2022年4月27日撮影

⇩ ⇩ 22g→ 52㎜台  暴れた結果

⇩ ⇩ 29g→75㎜ほど 2022年4月26日撮影

↓ 菌床3本目投入時の体重 29g(75㎜ほど)と22g(52㎜台) 

 

メスはほとんど居食いで

中には菌床外見がほぼ白いまま生死すらわからない状態の個体もいました。

年間15〜25度の範囲で管理すると

幼虫期間はオスが14ヶ月ほど、メスは7ヶ月前後でした。

 

↓  2齢で投入し、居食いしたメス42㎜台  2021年1月5日

↓ 42㎜台

↓ 比較 左:ババクルビ75㎜台  右:インドグランディス77㎜

↓ 左:ババクルビ75㎜台  右:インドグランディス77㎜

Dorcus curvidens babai とあるが、独立種のような気がする

↑ 左:ババクルビ75㎜台  右:インドグランディス77㎜

 

おまけ 羽化の様子

↓ 頭部が色づき始めてから5日ほどで羽化 2022.3.18

↓ 羽化の様子 中脚を使ってうつ伏せになる 2022.3.19  

↓ 中脚は羽化時に重要な役割を果たす

↓ 中脚は既に脱皮

↓ 背中の殻が割け始める

↓ 脱皮はほぼ終了 

↓ 交尾器露出

↓ 脱皮の始まりから10時間後

 


ババクルビデンスの始まり

2020-12-26 20:57:06 | ババオオクワガタ(クルビ?Vietnam)

ババクルビデンスの飼育を始めました。

 

ババクルビデンス

ベトナムの中~南部に分布するオオクワガタで

この種は、Dorcus不明種とか、南ベトナムクルビデンスとか、クルビデンスssp.など

様々な呼び名で市場に流通しました(現在でもたまに)。

そして、2010年「世界のクワガタムシ大図鑑」で

クルビデンスオオクワガタ Dorcus curvidens の亜種

Dorcus curvidens babai Fujita, 2010として記載されましたが

実際に「ババクルビデンス」と呼ばれることが多くなったのは

ここ数年のことです(以下ババクルビ)。

 

↓ ババクルビ オス (ベトナムダラッド近郊産飼育個体71mm)

↓ ババクルビ メス(ベトナムダラッド近郊産飼育個体43mm)

 

当初からババクルビには非常に興味があったのですが

買い渋りというか、なんというか

ようやく飼育を始めることができました。

 

初めてババクルビを手に取った感想は

クルビデンス Dorcus curvidens (以下クルビ)というよりも

グランディスオオクワガタ Dorcus grandis (以下グランディス)か

パリーオオクワガタ Dorcus ritsemae に近い種のように思え

また、メスも違って見えるのに

なぜこれをcurvidensとしたのだろう? でした。

 

ババクルビの産地ラベルは

Dalat(ダラット)近郊のほかに、 Kon-Tumc・Near・Bao Lacなどもあり

標準亜種とされる curvidens との混生が認められたら

今より、すっきりすると思います。

 

↓ ババクルビ

 

以下に比較用画像①②③を掲載しますが(飼育個体)

飼育個体は野外個体の地域差以上に差が出ることもあるので

本当は野外個体で比べるべきです。

しかしながら、サンプルを持っていないので

ここでは飼育個体を種として扱い

また、大きさも揃っていません、悪しからず。

 ①ババクルビ (ベトナムダラッド近郊産)オス71mm メス43mm

 ②クルビ   (ブータンチュカ産 )  オス71mm メス45mm

 ③グランディス(インドマニプール産)  オス69mm メス44mm

 

↓ 左から①ババクルビ・②クルビ・③グランディス

↓ 左:①ババクルビ 右:③グランディス サイズの影響もあってかよく似ている

 

↓ 左:①ババクルビ  右:③グランディス

↓ 左:①ババクルビ  右:③グランディス

↓ 左:①ババクルビ  右:③グランディス

↓ 左:①ババクルビ 右:②クルビ   両種の混棲はないのか?

↑ ババクルビは頭を下方に向けたがる

↓ 左から①ババクルビ ・②クルビ・③グランディス

↓ 上画像のモードを変更 ③グランディスの上翅条溝が最も浅い↕

↑ 注意)上翅の汚れや光のあたり具合は一定ではありません

↓ 左:①ババクルビ  右:②クルビ

 

産卵セット

セットの方法は、オオクワガタと同じです。

市販のコナラ産卵材を加水し

発酵マットで半分ほど埋めただけの簡単なものです。

 

↓ 管理温度は22~23度

 

このペアは、オスは羽化から11ヶ月、メスは9ヶ月経過しており

「即ブリード可能」と聞いていましたが

セット数日で、雌雄ともにマットに潜り込み、出てこなくなりました。

 

↓ 温度の低い床に置いて来春まで休眠させることに

 

「Wikipedia」でDalat(ダラット)を見た限りでは

Dalatは標高1500mほどの高原都市らしく

気温は、年間通して20度±5度ほどの範囲で推移し

5月~11月初めあたりまでが雨季で

12月~4月あたりまでが乾季となる温帯夏雨気候です。

この気候からすると

今回入手したペアはこのまま休眠することで

来春に繁殖適期を迎えるのではないかと思われます。

 

 

最後に

ババクルビは体長75mmを超える(野外最大個体)大型種です。

これほど特徴的で大きな種が近年に発見されたことは

自然界には

人知れず潜む未知種がいかに多いかを知らしめた一打のように思えました。

 

参考文献:

 藤田宏,2010,世界のクワガタムシ大図鑑6,むし社.