クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

イオウマメクワガタ・6-幼虫期に見るオスとメス

2020-12-12 22:20:17 | イオウマメクワガタ

朽ち木の中を主な生活場所とするマメクワガタやチビクワガタなどの

フィグルス属  FIgulus のクワガタムシは成虫の雌雄判別がたやすくない種が多く

イオウマメクワガタ(以下イオウマメ)も例外ではありません。

飼育下ではそういった種の雌雄判別は蛹期と成虫の交尾時に行うのが

より確実で、簡単な方法とされています。

 

↓ イオウマメの新成虫

↓ イオウマメの蛹 メス

↓ ①イオウマメの蛹オス 交尾器露出

↓ ②イオウマメの蛹 オス

↓ ③イオウマメの蛹 オス

↓ ④イオウマメの蛹 オス

↓ ⑤イオウマメの蛹 オス

 

上画像①~⑤のように

オスはほとんどの角度でゼンマイ状の交尾器が見て取れるため判別は簡単です。

また、イオウマメの蛹の大きさは10mm程度と小さいので

見えにくい時はスマホのカメラなどで拡大するとよく見えます。

 

↓ メス ゼンマイ状の交尾器は見当たらない

 

幼虫期の雌雄判別

クワガタムシの場合、多くの種でメスの幼虫期には

腹部末端から3~4節目あたりの背中側体内に左右一対の卵巣が見て取れ

それをもって雌雄判別することができます。

当然、オスにはそれがありません。

 

↓ ヒョウタンクワガタの卵巣 終齢初期幼虫

 

幼虫の卵巣は

体が透けて見える終齢初期あたりが最も確認しやすく

成長するにつれ体の透明度は低くなるため見え難くなる傾向にあります。

また、マルバネクワガタのように卵巣そのものが見えにくく

幼虫期の雌雄判別が困難な種もいます。

 

↓ 参考画像:クワガタの幼虫は終齢後期になると体の透明度が低くなる

↓ チャイロマルバネの幼虫 終齢後期 雌雄不明

 

では、イオウマメの幼虫はどうでしょうか?

終齢初期の幼虫の側面~背中側を見ると

腹部末端から3~4節目あたりに左右一対の卵巣が見えるので

イオウマメは幼虫期でも雌雄判別が可能です。

ただし、先述の通り体内が透けて見え

ある程度にまで成長した終齢初期が雌雄判別の好機であることは言うまでもありません。

 

↓ イオウマメのメス 白っぽく見える班(卵巣)が左右一対ある

↓ 幼虫終齢初期のメス ピンぼけだが左右に卵巣が見える

 

卵巣は画像より実物のほうがわかりやすく、発見するのに苦労しませんでした。

 

↓ 終齢中~後期の幼虫 卵巣は見えにくい

↓ メス 終齢後期になると卵巣はわかりずらい

↓ 成虫での雌雄判別は難しい

↓ 羽化からある程度経過して黒くなった固体

 

羽化と共生酵母の取り込み

今回は、「イオウマメの幼虫期に見るオスとメス」と題しましたが

成虫時に雌雄判別が難しい種は

よりわかりやすく確実な蛹期に雌雄判別すればよいのですが

そのためにメスを蛹室から取り出して

人口蛹室やマット上など別の環境に移して羽化させる場合

気に留めておきたいことがあります。

メスの共生酵母の取り込みです。

 

記事「シェンクリングオオクワガタ・2-羽化」の『おまけ』の項↓ 

https://blog.goo.ne.jp/hiphop2121/c/963e731484331d1607af364bdf1f61e7

でも書きましたが

生物の科学 遺伝vol.72  2018  No.4 [特集Ⅰ]クワガタムシ研究最前線」

 棚橋薫彦,2018.クワガタムシの菌嚢と共生酵母. によると

幼虫の糞で固められた蛹室には

菌嚢由来の共生酵母が付着していると考えられており

クワガタムシのメスは(一部の種を除く)

羽化後に菌嚢を露出させて蛹室壁にこすりつけ

蛹室作成時に排出した共生酵母を再び菌嚢に取り込んでいるらしいのです。

そのため人工蛹室で羽化したメスは体内に共生微生物を取り込めず

それを次世代に伝えることができなくなるというのです。

 

↓ マット上で羽化したメスと、オスの蛹 

↓ マット上で羽化したメスは共生酵母を体内に取り込めない?

 

自然蛹室外で羽化したメスの場合

その個体及びその子供たちにどのような影響が出るのかは定かではありませんが

雌雄判別等のため蛹室からメスの蛹を取り出し本来でない環境で羽化させるときは

必要最小数にとどめるのが好ましいのかもしれません。

 

 

参考文献:

 棚橋薫彦,2018.クワガタムシの菌嚢と共生酵母.

生物の科学 遺伝vol.72  2018  No.4 [特集Ⅰ]クワガタムシ研究最前線」

  .株式会社エヌ・ティー・エス.


イオウマメクワガタ・5-産卵セット

2020-10-21 22:20:36 | イオウマメクワガタ

日曜日にイオウマメの新成虫を産卵セットに入れました。

セットに入れたのは羽化から1か月半~2か月ほど経過した個体群です。

 

産卵セットは二つ作りました。

セット①は、加水したコナラ材を他種幼虫の食べかすで埋めて

3か月ほど経過した材、所謂「バクテリア材」と呼ばれるものを使いました。

 

⇩ 黒ずんで柔らかくなったバクテリア材

⇩ 白枯れの域を超える腐食度合い

↓ 容器底部は硬く詰める

↓ 家族が分かれることを想定して間隔をあける

↓ バクテリア材をマットで埋める

↑ ↓ 新成虫8頭を産卵セットへ投入

 

セット②は、バクテリア材1本を中央に置き

その左右には吸水させた白枯れコナラ材を配置し

①同様、幼虫期に食べていたマットで埋めて

白枯れコナラ材への産卵の有無を確かめることにしました。

 

↓ 加水しただけの白枯れコナラ材

↓ 中央のみバクテリア材 両サイドは白枯れコナラ材

 

成虫の餌

マメクワガタやヒョウタンクワガタ等成虫の肉食が認められる種は

煮干しを与えると食べますが同時にマット上で腐敗が進み分解されていくので

クワガタが実際にどの程度煮干しを食べたのかはよくわかりません。

また、普通クワガタムシの摂食は

オレンジ色の口器に樹液等を浸透させ体内に取り込む吸汁スタイルなので

煮干しのような乾物をどのようにして体内に取り込んでいるのかも

よく判りません。

もしかしたら大アゴでかみ砕いた破片や

腐敗により軟化分解された煮干しの一部を口器に付着させ

固形或いは半固形状態で体内に取り込んでいるのかもしれません。

また、飼育容器内でコバエなどが発生した時は

その幼虫や、蛹なども捕食の対象になっているのではないかと私は考えています。

 

↓ マメクワガタ・ヒョウタンクワガタ等の餌

↓ ヒョウタンクワガタは煮干しの減る速度が速い

↓ 犬のおやつも置いてみる

 

産卵木作り

イオウマメは白枯れの腐食が更に進み

黒ずんだような柔らかめの朽ち木に好んで産卵するようです。

今回の産卵セットで用意していた材を使い切ったので

市販のコナラ材を水に漬けて吸水させ

それを他種幼虫の食べかすで埋めて産卵木の仕込みを終えました。

 

↓ 加水して樹皮を剥いだコナラ材

⇩ コナラ材を幼虫の食べかすマットで埋める

⇩ 腐食が進むまで寝かせる

 

仕込みから3か月ほど飼育小屋で保管すれば材は黒ずんで柔らかくなり

イオウマメの産卵用として使えるようになると思います。

また、こうしてできた材はコルリクワガタの産卵木としても使えます。

 


イオウマメクワガタ・4-羽化

2020-10-04 21:30:12 | イオウマメクワガタ

イオウマメクワガタが羽化を終えました(以下イオウマメ)。

*「カテゴリー」から入ると、飼育過程等に繋ります。

 

イオウマメの産卵セットを組んでから8か月近くになります。

無事に採れた幼虫は終齢期に親虫と隔離して

二つの容器に分けて管理してきました。

 

 

幼虫は、8月中~9月上旬にかけて羽化し、9月の下旬には姿こそ見えませんが

新成虫のものと思われる坑道も見えるようになりました。

いよいよ掘り出しです。

果たして新成虫はどのくらい出てくるのか?

肉食する種であるが故の不安を抱きながら掘り出しは始まりました。

 

↓ マットの硬い部分は穴だらけ

↓ 新成虫 

↓ 坑道の先には新成虫

↓ 2~3頭が接近していることも(既にペアか?)

↓ 一つの容器から出てきた新成虫

↓ ↓ 2頭のみテネラル

↓ ほとんどの個体は蛹室から脱出していた

 

イオウマメの掘り出しは固まったマットを手でほぐしていきます。

出てくる新成虫は10mm前後でとても小さく

掘り出し後のマットからは数頭の見落としが出てきました。

 

一つ一つ数えて66頭。

掘り出し前の不安をよそに多くの新成虫が得られました。

 

↓ 幼虫からの羽化率88% (75頭→66頭羽化)

↓ 数頭ずつカップにて一時管理

 

雌雄判別

マメクワガタ類のように性差の少ないクワガタムシの雌雄判別は

蛹期の形態で行うのがより確実です。

成虫になってからの判別は難しいです。

 

↓ ⇩部 オスの交尾器

↓ こちらはメス

↓ メス

↓ オス

↓ オス

 

羽化までのまとめ

以下は、私が飼育下で見たイオウマメの実際を簡単にまとめたものです。

(環境が変われば別の結果も考えられます)

 

管理温度  :おおよそ22度前後

産卵セット :2020年2月16日

 (親虫:2019年12中旬羽化確認6個体:累代品使用)

 朽ち木は、腐食の進んだ水分多めの広葉樹

 埋め込み用マットは「産卵一番」を使用

幼虫確認  :2020年4月上旬には卵や2齢幼虫を確認

テネラル期間:25日前後(羽化から蛹室脱出までの期間)

卵から羽化までの期間

      :おおよそ5~6か月程度と思われた

 

↓ まだ若い蛹

↓ 蛹室内でテネラル期を過ごす

 

親虫の現状

前記事で書いたコロニーを出た親虫(?)3頭は9月中旬に死亡を確認しており

それらの寿命は約9か月でした。

また、コロニーに残っていた2頭の成虫は

新たにセットした朽ち木に入り込んでいるようで

今日現在、その生存は確認できていません。

 

↓ コロニーに残っていた成虫の穿孔痕 2020年9月19日撮影

 

最後に

イオウ島のマメクワガタは私の「飼育島」でたくさんの子孫を残しました。

今後もうまく繁殖すれば累代は一つ一つ進んでいくわけですが

本来、このマメクワガタは海流によってイオウ島に辿り着き

隔離された環境下で生存してきた種と思えるため

所謂、近親繁殖などもろともしないのかもしれません。

 


イオウマメクワガタ・3-コロニーを出る

2020-06-18 00:07:47 | イオウマメクワガタ

はじめに

*タイトルにNo.がある記事は
カテゴリから入ると飼育過程等が繋がります。

イオウマメクワガタの産卵セットを組んでもうすぐ4か月になります。

容器側面には終齢幼虫が見えるようになりました。

 

チビクワガタやマメクワガタなどのFIgulus 属のクワガタは

生涯の多くを朽ち木の中で暮し

また、幼虫の保護や養育を行う家族性(亜社会性)を持つことが知られています。

 

↓ イオウマメクワガタ(おそらくペア)

 

前記事「イオウマメクワガタ・2-産卵」でも書きましたが

本土の一部の地域や、一部の島に分布するマメクワガタ FIgulus punctaus は

親虫は幼虫が終齢になると次の繁殖を行うために幼虫の保護・養育を終了して

コロニーから出ていくそうです。

同属のイオウマメクワガタにもそういったことが見られるのではないかと思い

先月から”飼育容器を二重”にして親虫の様子を見ていました。

 

↓ 終齢幼虫

 

飼育容器二重セットの方法

①元の容器にあふれるほどマットを足す(以下、コロニー)

②大きな容器にマットを少し入れる(外容器)

③コロニーを②の外容器に入れ、二重にする

 (コロニー内の親虫(成虫)は5頭) 

*便宜上、使用した成虫を親虫としています。

実施期間は、2020年5月2日~6月14日で、この方法で親虫を外容器で発見したなら

コロニーを出たと判断することにしました。

 

↓ ①元の産卵セット(コロニー)、この上にマットを追加

↓ ③コロニーのふたをとり外容器に入れる

↑ 親虫がマットから外容器に落ちることを想定

↓ コロニーと外容器の隙間は10円玉以下

↓ ↑ 親虫は外容器に移動するとコロニーに戻るのは困難

↓ 右が二重セット  管理温度は22度前後で厳密ではない

 

結果

二重セットをしてから二日後には親虫2頭を外容器で発見し

4日後には外容器に3頭いることを確認しました。

一方、6月14日のコロニー掘出しでは親虫2頭が出てきたので

結果は、親虫5頭のうち3頭はコロニーを離れ、2頭はコロニーに残っていました。

そして、コロニーには初齢~終齢幼虫がいました。

 

↓ コロニーから出た親虫 5月4日

↓  ↓  ↓

↓ 6月14日 コロニーで見つけた2個体 

 

考察

今年の2月20日に産卵セットを組んで、4月14日には2齢幼虫も容器側面で確認できました。

また、ゴールデンウイークに容器底部とその周辺で卵も確認しました。

 

親虫5頭の性比は、4♂1♀〜1♂4♀の範囲になります。

今回の観察では親虫5頭のうち3頭は確かにコロニーを出ましたが

そもそも親虫の雌雄判別ができていないため

それらが本当に幼虫の親虫であるかどうかは不明です。

また、コロニーに残る2頭もペアかどうかは判らないので

こういった観察をするには確かなつがい(雌雄)が必要でした、反省。

(当初は親虫6頭、途中で1頭死亡確認)

 

幼虫の数

6月14日の掘出しの結果は幼虫が75頭出てきました。

そのほとんどが終齢幼虫で初齢と思える個体は3頭でした。

また、卵らしきものはわかりませんでした。

 

↓ 6月14日 コロニーの完全掘出し

↓ 穴だらけ

↓ コロニーには初齢(3頭)~終齢後期までいた 

↓ 終齢になりたて

↓ ほとんどが終齢幼虫

 

最後に

今回の観察ではそれらしき結果は出ましたが結論することはできませんでした。

次は、確かな一つがい(雌雄)を用いたいと思います。

まあ、観察結果はどうであれ「飼育島」で沢山産んでいたのでこれは◎でしょ?

 

↓ 蛹期に雌雄判別すべく終齢7頭を別飼い(次回観察用)

↓ 幼虫用のマット作成  食べかす+産卵一番

↓ 掘出した幼虫のまとめ飼育

 

参考文献:

 岡島秀二・荒谷邦雄 監修,2012.

  日本産コガネムシ上科標準図鑑.
             株式会社学研教育出版. 


イオウマメクワガタ・2-産卵

2020-04-27 22:55:47 | イオウマメクワガタ

タイトルにNO.がある記事は、カテゴリーから入ると飼育過程などが繋がります。

 

 

はじめに

私のブログには広告が出ません。

クワカブ飼育に直接関連する特定の商品名も基本出さないようにしています。

しかしながら、前イオウマメの記事では

「木の朽ち方」をよりわかりやすく伝えたかったため

初めて特定の商品名を書きました。

「産卵一番」です。

今回も、イオウマメの生態調査や飼育の一助になればと考え商品名を表立てました。

 

産卵のこと

イオウマメの産卵セットを組んで約3か月が経過し

容器底部には小さな幼虫が見えるようになりました。

 

少し前には卵ではないかと思える粒を見つけてはいたのですが

何せ小さいもんで卵かどうかの確証はありませんでした。

 

↕ 容器底部

 

ちなみに親虫の羽化は2019年12月ころに確認されたもので

実際の羽化日は不明です。

 

産卵セットのおさらい

イオウマメの産卵セットは前記事で書きましたが

簡単にあらましを・・・

 

朽ち木は山で拾った腐食の進んだものをマットは「産卵一番」を使いました。

 

もともとマットは、朽ち木の半分程度を埋めるために使用したのですが

感覚的に「これはいけるだろう」と思った朽ち木の腐食度合いと

産卵一番の質がよく似ており、少し期待もしながらやや水分多めで

ほんの少し硬く詰めていました。

 

↓ セットの様子(2020.2)

 

このセットでイオウマメはマットに産んでいます。

やはり「産卵一番」の質がイオウマメには合っていたのでしょう。

 

↓ 2齢幼虫と卵(容器底部)

 

幼虫が見られたのはマット内で

マットから露出した朽ち木部を少し崩してみましたが

幼虫・卵らしきものは出てきませんでした。

 

↓ 露出した朽ち木部からは何も出てこなかった

 

2020.4.14 容器底部に2齢らしき幼虫も確認

 ↕ おそらく2齢幼虫(容器底部側面)

 

いよいよ「飼育島」でイオウマメクワガタの繁殖が始まりました。

 

岡島秀二・荒谷邦雄 監修

「日本産コガネムシ上科標準図鑑」によると             

マメクワガタ FIgulus punctaus の場合

親虫は幼虫が終齢になるとコロニーから出ていくらしいので

もしかしたらイオウマメも似たような生態かもしれません。

この連休間に親虫の脱出の有無を確認できる飼育環境に切り替えてみます。

 

最後に

今回紹介したマットで ”必ず産む” という保証はありませんので

誤解のないようお願いいたします。

 

参考文献:

 岡島秀二・荒谷邦雄 監修,2012.

  日本産コガネムシ上科標準図鑑.
             株式会社学研教育出版. 


イオウマメクワガタ

2020-02-20 23:27:10 | イオウマメクワガタ

イオウマメクワガタは、限られた関係者しか入ることのできない島

東京都の硫黄島に分布するマメクワガタです。

 

↓ イオウマメ(2019.12 羽化確認  雌雄不明)

 

このマメクワガタは、 Figulus yujii Fujita,1994 として記載されましたが

2010年12月発刊の「世界のクワガタムシ大図鑑」で

台湾〜トンガ諸島〜フィリピン等に広く分布するフィッシコリスマメクワガタ 

Figulus fissicollis Fairmaire,1849 と同じ種として整理されました(シノニム)

しかしながら、正解はわからないのでここでは通り名をそのままに

イオウマメクワガタとしました(以下イオウマメ)。

 

 

イオウマメが最初に市場に出たときは驚きとともに

「タカネルリ」以来の高額取引をただただ傍観するばかりでした。

そして、今年に入ってようやく予想していた底値に近づいてきたので

先週、それを入手しました。

 

 

マメクワガタとの比較

*イオウマメ=硫黄島産飼育個体6頭

*マメクワガタ=兵庫県産野外幼虫羽化個体4頭(以下マメ)

 

↓ 左:マメ   右:イオウマメ

↑ マメのほうが大きい

↓ 左:マメ   右:イオウマメ

↓ 左からチビクワガタ・マメ・イオウマメ

↓ 上:チビクワガタ 左:マメ 右:イオウマメ

↓ 中央の大きいのはマメ  その他はイオウマメ

複眼縁取り

 ↓ 左:マメ     右:イオウマメ 

↕ 左:マメ   右:イオウマメ ゆるやかな曲線

 

頭循の形は、マメは中央にかけてへこみ傾向でイオウマメは膨らみ傾向に見えました。

これが系統的なものなのか種としての特徴なのかはわかりません。

 

↓ 左:マメ  右:イオウマメ

 

体色やツヤに関しては羽化時期や活動期間の影響もありそうなので

見たままそのままとしておきます。

 

習性か?

マメとイオウマメを並べて撮影した時、イオウマメが動き

思うように写真が撮れませんでした。

それはどの個体も同じでした。

 

イオウマメは触る・振動を与えるなどすると

足・触覚を縮め固まりますが長くは続かず、しばらくすると動き出します。

一方、マメはすぐには動き出さずじっとしています。

記事中の画像でもイオウマメの足や触覚には動きが見て取れます。

このような違いは受け継がれた習性なのかもしれません。

 

↓ 左:マメ   右:イオウマメ

↓ イオウマメ

 

産卵セット

 管理温度:おおよそ20〜23度

 投入数 :6頭(雌雄不明)

 産卵木 :広葉樹天然朽ち木

 

県内で採集したマメの飼育では思いのほか採卵にてこずり

産卵木の好みが結構激しいことがわかったので

イオウマメには最初から良く腐食した天然木を使いました。

 

↓ セットの様子(小ケース)

 

使用した朽ち木はもともとは白枯れで

それが更に進み発酵マットみたいな色になりかけた状態のものです。

例えるなら「産卵一番」というマットの色に近く

水分は多め、手で崩せそうな柔らかさです。

 

↓ マットと朽ち木の色比較  ↓部がマット「産卵一番」

↓ コルリクワガタが産みそうな腐食度合い

↓ 早々に潜っていった

↓ ふやけて腐敗気味の煮干しを食らう

↓ 撮影時の刺激で、肉を挟んだまま後ずさりする

 

最後に

一昨年あたりから出回り始めたイオウマメですが

未だに飼育個体の流通網は狭く

繁殖がスムーズにいかないことを推察させる状況です。

今回の産卵セットで本当に産むかどうかはわかりませんが

飼育島で、この希少な種の存続を計ります。

 

参考文献:

 藤田宏,2010,世界のクワガタムシ大図鑑6,むし社.

 岡島秀二・荒谷邦雄 監修,2012.

  日本産コガネムシ上科標準図鑑.
             株式会社学研教育出版.