クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

オレゴンルリクワガタ・5-出現期間について

2024-12-22 21:39:22 | オレゴンルリクワガタ(CA)

出現サイクル

オレゴンルリクワガタは、活動を開始してから1ケ月程度で力尽き

クワガタムシの中では比較的短命な部類に入りますが

西山保典著,2000「世界のクワガタG」によると

出現期は「5月から11月におよぶ」とあり、約半年にわたり出現するそうです。

また、地球上のあらゆる地域の年間の気候 - Weather Sparkによると

分布地の平均的な最低気温が10度を下回るのは12〜2月ころで

その前後含む半年ほどがオレゴンルリクワガタの出現しない期間になります。

そこで「幼虫の発育零点(成長可能な最低温度)が10度あたりにある」と経験則して

年間通して成長が十分可能と思われる温度、15〜24度くらいの範囲で飼育をすると

2月・5月・10月・11月・12月に新成虫の出現があり、期間としては野外より長くなりました。

↓ 木屑を運ぶオス 2023

今年は、5月に活動を開始した個体の「子供」が10月に新成虫となって材から出てきました。

つまり、発生初期と後期の個体は親子関係にあったということです。

オレゴンルリクワガタの成虫は活動開始から1ケ月前後で死亡するのに

出現期間が長い秘密はこの辺りにもあったようです。

↓ 飼育では春と秋、1年に2度発生した

↓ 幼虫の食痕

↓ 羽化当日のメス 2024.10.19

↓ 羽化翌日 2024.10.20 肉眼では上翅は緑がかって見える

↓ 材から出てくる瞬間のメス 2024.10.19

↓ 新成虫の脱出口 

また、オレゴンルリクワガタは今のところ後食が確認できていません。

ゼリーやリンゴを与えても食する場面や、食した形跡が見当たらないので

体内には後食由来の内容物がないと思われ

仮に気温が活動零点(10度あたりと思っている)にまで落ち込んでも

体内内容物による弊害(消化不良等)が起こらないという強みがあり

意外と寒さに耐えるのではないかと勝手に想像しています。

割り出しのない飼育

今年から本格的な割り出しはしなくなりました。

産卵セットは既存の材をそのままに新しい柔らか材を追加置きしています。

理由は、割り出しのタイミングが定め難く

割り出しで出てきた各ステージの生体管理がうまくできなかった経験からです。

割り出さず放置すると、材から出てきた新成虫の発見が遅れたり

既存の材(先代の幼虫がいるかもしれない)に産卵したり

延いては個体数(卵・幼虫・蛹・新成虫)の把握ができないなどといったデメリットはありますが

割り出すことによる生体へのダメージは防ぐことができ、安心材料は増えます。

↓ 低水分の産卵材、マット「産卵一番」も無加水 

10月あたりから出現した新成虫は材を齧り、産卵を終えたと思われます。

中にはマットに潜って数日出てこなかった個体もおり

休眠に入ったかと思ったのですが、それらも次第に活動を始めました。

12月22日現在の管理温度は20度ほどです、活動する個体もいます。

↓ 2024年12月20日の様子 下のメスは産卵直後

↓ 複数のメスによる産座と産卵痕 2024.11.4 

↓ 産卵中 2024.12.7

↓ 日本の同属類より警戒心が強く、材を動かすと産卵行動をやめ、移動してしまう

オレゴンルリクワガタは産卵した材に穿孔するので材端面付近には

削った木屑がよく目立ちます。

オスが大アゴに木屑を乗せて歩いている様子は度々見かけましたが

大アゴを使った喧嘩はまだ見たことありません。

オスの大アゴは木屑の移動に役立つようです。

↓ 木屑に大アゴを突っ込むと画像のようになる 2024.12.19

↓ 刺した「つまようじ」は材を少し浮かせるため(底部に好んで産卵するため)

12月上旬現在、容器の中では活きのよいメスが現れ、材を齧っています。

オレゴンルリクワガタは、頑固な体内時計を持っているとは思えないので

幼虫の発育を止めない温度管理を継続すれば

出現期間は更に長くなるのではないかと思います。

 

ちょっと比較

↓ ルリクワガタ(兵庫県産)とオレゴンルリクワガタ(CA産)

参考文献:西山保典著,2000「世界のクワガタG」.有限会社 木曜社.

参考URL:地球上のあらゆる地域の年間の気候 - Weather Spark

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿