クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

ドウイロクワガタ・8-性成熟について

2022-04-03 13:38:41 | ドウイロクワガタ

昨年10月14日に羽化したドウイロクワガタの産卵が始まっています。

 *タイトルに番号がある記事はカテゴリーから入ると

  飼育過程等に繋がります

 

オスは羽化から1ヶ月もすれば配偶行動を行い

メスは摂食の有無関係なくそれを受け入れます。

昨日掘り出したメスの羽化日は昨年の10月14日で

種オスの羽化日は昨年の12月23日です。

 

 

産卵セットを今年の1月16日に組み、オスも同居させました。

オスは羽化から1ヶ月も経過していなかったせいか

マットに潜っていることが多く

時々出てきてはゼリーを舐め、交尾する状態でした。

メスはオスよりは活動的で、マット上に見かけることがよくありました。

 

 

産卵セットから2ヶ月半が経過

容器側面にはメスがマット内を移動した痕跡が目立ち始めました。

4月2日、セットを掘り出してみたところ卵が6個出てきました。

出てきた卵の中にはうっすらと幼虫の姿が見えるものもありました。

 

↓ 卵発見  「ヒラタ・ノコ一番」をまあまあ硬詰め

↓ 1回目の掘り出しは大小の卵6個

↓ うっすらと幼虫(気門部)がみえている

 

この時点でメスは羽化から5ヶ月半経過しています。

掘出した卵の成長度合いと管理温度等からすると

このメスは、3月上旬頃から産卵を始めたと思われ

ドウイロクワガタが性成熟(産卵)するまでの期間を

これまでの経験から総合判断すると

羽化からおおよそ4ヶ月前後ということになります。

ただし、管理温度23度前後、産卵は1月〜初夏までの範囲で。

 

 

野外に於いて、ドウイロクワガタは発生期があるようで

そういう種は気温と日長の変化を読み取り休眠〜覚醒を行います。

この体内時計を人工的に操作するのは難しいです。

現地の季節と日本の季節はほぼ逆になるため、それに逆らわず

ドウイロクワガタが本能に付き動かされるよう

この時期を繁殖期に見立てています。

 


ドウイロクワガタ・7-快適な温度範囲について

2022-01-30 00:04:07 | ドウイロクワガタ

*カテゴリーから入ると飼育過程等に繋がります。

*記事前半は、昨年の春までさかのぼります。

 

快適な温度範囲

ドウイロクワガタの繁殖に適した温度帯を探ると

人によっては20度以下で採卵されていたり

私のように25度付近でも採卵出来ていたりするため

ドウイロクワガタの繁殖に快適な温度範囲は広いことがわかります。

また、昨年1月に産卵セットを組んで産まれた子供のうち

手元に残した個体の殆どが産卵年度内に羽化を終え

早い個体では次世代を残すべく配偶行動をとるまでになりました。

 

↓ 昨年の産卵セット 温度は25度あたり

 

昨年の3月5日掘出しでは、卵6個・初齢幼虫14頭の計20でした。

40日後の2回目掘り出しでは卵2個(潰し)・初齢幼虫5頭の計7頭でした。

母虫は2か月ほどにわたり産卵を続けたようですが

次第にその数は減ってきました。

 

↓ 2021年4月16日 2回目の掘り出し

 

ドウイロクワガタは比較的長生きするので

条件が良ければ50卵ほど産むのではないかと思っているのですが

最終結果は33卵に終わりました。

 

↓ 雌雄同居させて多回交尾も促したが・・・

 

幼虫飼育は、500ccのpカップに「ヒラタ・ノコ1番」を詰め

途中で餌追加を1回行いました。

幼虫期の飼育温度も23〜25度付近です。

 

↓ 羽化近くなった健全な蛹 (2021.12.上)

 

私のところでは、ドウイロクワガタは前蛹〜羽化後の早い時期に死亡する個体や

羽化不全を起こす個体が珍しくありません。

これは20度以下で管理しても、25度程度で管理しても起こりました。

また、市販の異なるマット2種で試しても起こりました。

それでも原因が外部環境にあるなら

当該期のマット水分が多すぎて有害な雑菌が発生したり

或いは酸素不足になっていたのかもしれません。

そのあたりは今後の課題です。

 

↓ 大アゴ・脚部等の体液が黒くなった個体は死亡する (2022.1)

↓ 健全な蛹 

↓ 2021年12月中旬

↓ 「ヒラタ・ノコ1番」でドウイロ最大級 (2022.1.16)

 

今回セットしたメスは羽化から3か月ほど経過

オスは4週間ほど経過した個体です。

この時点で摂食も多回交尾も確認でき

昨年早春に産まれてから1年たたないうちに配偶行動にまで至りました。

 

↓ オス羽化後約4週間、メス羽化後約3か月経過 

↓ 腹部背面は各節ごとに発色し、全節全体で虹色になる

↓ 産卵セットの準備 マットの水分は強く握って団子が潰れない程度

↓ 不織布2枚重ねてコバエ侵入防止 ホームセンターで安価購入(500円台)

↓ 産卵セット 2022年1月16日

 

現在、小屋の管理温度は他種との関係もあり18度くらいです。

これは、私の思うドウイロクワガタの繁殖に快適な温度範囲の下限付近であり

せっかく産卵セットを組んだのに

このままではマットに潜ったまま動かなくなる可能性があります。

来週(2月)あたりから温度を上げて棚上段付近を20度以上にし

3月には更に温度を上げて繁殖シーズンを到来させます。

 

 


ドウイロクワガタ・6-多回交尾と管理温度について

2021-03-06 18:37:09 | ドウイロクワガタ

多回交尾について

クワガタムシのなかにはコルリクワガタのように

連続的に複数のオスと多回交尾したのち産卵を始める種や

マグソクワガタのように一回の交尾で産卵する種がいます。

 

↓ コルリクワガタは多回交尾ののち産卵

↓ マグソクワガタは一回の交尾で産卵を開始する

 

ドウイロクワガタの場合

連続的に交尾を行い、また一回に要する時間も長い時で30分以上になります。

しかしながら、多回交尾することでメスは体に傷を負うかもしれないし

交尾中は自由に動けなくなるため野外では捕食されるリスクも高まります。

そもそも一回の交尾で受精に必要な精子の量は足りそうですが

それでも多回交尾を受け付けるのは

メスにとって何らかのメリットがあるものと思います。

 

 

昆虫の中には交尾時にオスがメスに栄養の寄与をする種がいるようで

もしかしたら多回交尾する種(クワガタムシ)や

交尾時間の長い種(クワガタムシ)の中には

交尾時にオスによる栄養の寄与があるのではないかと

うすうす感じているのですが

検索等してもクワガタムシではヒットしないし

検証することもできません。

今のところ頼るソースのない独り言ですが

こういう種に関しては

多回交尾が産卵に良い結果をもたらすものと私は考えています。

 

 

ドウイロクワガタ雌雄をプリンカップに入れ観察したところ

連続的に5回の交尾を確認し

一回の交尾時間は、最長32分、最短19分でした。

その後も二日間同居させると

確認毎に交尾或いはメイトガードを行っていました。

 

 

管理温度について

23〜24度くらいで管理しています。

よく言われるような20度前後ではありません。

自然下で発生期がある以上、あまり低い温度では活動は鈍るだろうし

下手すると休眠しそうな気がします。

もし、日長も感じての体内時計による休眠なら

人為的な休眠覚醒は難しいです。

 

↓ 左の容器がドウイロ産卵セット(2021年3月6日現在)

 

また、肝心の温度計についても

複数の温度計を並べると示す数値にばらつきがあり

どれが正しいのかわかりません。

簡単な温度計比較テストでは(n=6:開始から90分後に計測)

6機のうち最低値が20度、最高値は22度で

その差は2度もありました。

皮肉なことに高価な品より

「シンワ」製の比較的安価なアナログ温度計2機が

平均値に近いことがわかり、今はそれらを基準として

その他は目安程度になっています。

 

↓ エアコン20度設定で実験 

↓ 赤棒タイプと針タイプが「シンワ」製で平均値に近い値を示した

 

おまけ 

2021年3月5日 容器底部に幼虫が見えてきたので

母虫が誤って幼虫に傷をつけないうちに掘り出しました。

卵や幼虫は底部とその周辺の硬く詰まった場所から発見でき

結果は、卵6ケ・初齢初期幼虫14頭の計20頭産んでいました。

幼虫の中には当日孵化したと思われる個体もいました。

 

↓ 産卵セット 縦約25cmx横約40cmx奥行約30cm

↕ 初齢初期幼虫

↓ 掘り出し結果:初齢初期幼虫14頭

↓ 掘り出し結果:卵6ケ

↓ 卵はプリンカップで、幼虫は一時まとめ飼い

↓ 母虫はまだ力強い

↓ 追い掛けをしてから産卵セットへ投入

 

前回のブリードでは新成虫が活動することなくすべて☆になりました。

同じマットで育ったニジイロも次々と☆になりました。

今回はマット銘柄にも気を付けています。

 


ドウイロクワガタ・5-実はニジイロ

2021-01-30 19:21:36 | ドウイロクワガタ

*この記事には標本を分解した画像が含まれますので

 閲覧にはご注意ください。

 

ドウイロクワガタ(以下ドウイロ)は

その名の通り、銅色に紫~青系の金属光沢を放つクワガタで

その美しさと渋さに希少性も加わって人気を集めています。

 

↕ 光や角度により色は多少変化して見える

 

前記事「ドウイロクワガタ・4-再スタート」では

羽化後の膨らんだ腹部背面は黒い縞模様であることを

画像を含め書きました。

 

↓ 腹部背面の縞模様

↑ 前記事「ドウイロクワガタ・4-再スタート」から転載(メス)

 

似たような模様は一部の他種(ザウテルシカ・ムナコブ等)にも

認められることがあるため

熱吸収等、共通した理由があるのだろと考えていたところ

ドウイロの羽化時の黒い縞模様(腹部背面)は

時間の経過とともに色彩が現れ

とてもきれいな色になることがわかりました。

 

↓ 飛翔直前(メス)

↓ 光と角度の加減で黒っぽく見える

↓ ドウイロの飛翔(メス) 実は虹色

 

ん・・・?

スマホの画面越しに見えた一瞬の色に目を疑いました。

なにこれ?

撮った画像を見直してみると

確かにカラフルで・・・虹色。

ドウイロの背中はこんな色になっていたのか!

その後も飛翔するのを待ち続け

この日は3回虹色を見ることができました。

そして、このことを詳しく知ろうと検索しましたが

ヒットはしませんでした。

 

この色彩はオスにも存在するのか気になり

半年以上前に死亡した個体を分解して確かめることにしました。

 

その結果は、下画像の通りです。

↓ 死後半年以上経過したオスの腹部背面

 

なぜ虹色なのか?

画像の通り、オスにも同様の色彩が認められたため

種としてこの特徴を備えていることがわかりました。

ドウイロは飛翔時にこの色彩をもって

同種他種への情報発信を行っているのではないかと思え

特に捕食者(鳥)が嫌う色彩を放つことで

身を守っているのではないかと想像します。

また、脚部や大アゴの色彩もその延長ではないかと考えます。

 

↓ 鳥はこういう光が苦手らしい

 

このような色彩から野外でのドウイロは

日差し(晴れ間・紫外線)のある中を飛翔していることが想像でき

思いのほか飛翔性が高いような気もしています。

仮に、飛翔(活動)するにはある程度の気温も必要かと思え

実はクワガタ飼育者の好む低温帯は

ドウイロ成虫にとって快適な温度範囲の端っこあたりなのかもしれません。

これは、最近よく耳にするようになった「低温種」という言葉に

やや否定的な私の考えです・・・悪しからず。

 

 

最後に

ドウイロの腹部背面には

死後半年以上経過した個体でも虹色の色彩が認められたため

当該部位は構造色と思われます。

もし、ドウイロをお持ちでしたら

その発色を体感してください。

 


ドウイロクワガタ・4-再スタート

2021-01-06 22:01:58 | ドウイロクワガタ

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 

ドウイロクワガタが届きました(以下ドウイロ)。

 

昨年記事にしたドウイロは幼虫期や新成虫テネラルの段階で

すべて死亡しました(管理温度約21~24度)

死亡の原因は確定していませんが

気をとりなおして新年のスタートです。

 

↓ 到着したドウイロペア 2020年8月羽化

↓ 35mmほどのオス

 

産卵セット

このペアは羽化から4か月ほど経過しており

後食もするし、排泄もします。

前回の経験からすると性成熟している可能性があります。

また、現地での活動期もこの時期と思われるため

採卵を試みました。

 

 

産卵用マットの水分は

強めに握って手に水が滲み付くくらいです。

水分調整したマットを

少し大きめの容器に10cmほど硬めに詰め

その上5cmほどはやや硬く詰めました。

 

↓ 横40cmx奥行30cmx高さ25cmほどの大きめの容器を使用

↓ 転倒防止と隠れ家をばらまく(落ち葉に深い意味はない)

↓ 雑虫進入防止のシート

↓ セット完了、管理温度は22±1度ほど(厳密でない)

 

去年の記録

去年羽化したドウイロは活動前に死亡して既にいませんが

変態等行った時の画像を残しています。

ここからは残した画像を記録として掲載します。

 

母虫の寿命:羽化から約10か月  

産卵数:23

卵から羽化までの期間:おおよそ10か月(管理温度18〜24度ほど)

 

↓ ドウイロ終齢幼虫 大きさからしてオス?

↓ 終齢後期、腹部末端まで白い

 

ドウイロの幼虫はニジイロクワガタ(以下ニジイロ)の幼虫とよく似ており

初見の場合は間違えそうになりますが

比較するとその区別は可能です。

ニジイロの頭部はドウイロに比べ明らかに薄いオレンジで

ドウイロは大あご付け根のあたりも含め

全体的に濃く見えます。

ドウイロは高価な種につき

幼虫の特徴として覚えていて損はないと思います。

 

 ↓ ドウイロ終齢後期            ↓ ニジイロ終齢初期

↓ ドウイロの頭部はこんな感じ

↑ 大アゴ上の山形部は更に濃いオレンジ

 ↓ ドウイロ頭部は濃いオレンジ         ↓ ニジイロは薄いオレンジ

↓ 最初は800ccくらいのプリンカップで飼育

↓ マットが緩んできたので蛹化用に500ccのプリンカップに詰めなおし

 

2020年2月上旬頃から幼虫のマット内移動が目立ち始めました。

蛹化へのスイッチが入ってきたようです。

早い個体は3月中旬に蛹室を作成しました。

卵から10か月ほど経過していました。

 

羽化が近づいた蛹は

気門や腹部末端あたりが黒く見え

オオクワガタなどのドルクス系の蛹なら

そのまま死亡してしまいそうな色合いでした。

*以下の画像はすべて2020年4月~5月撮影したものです。

 

↓ 気門と腹部末端付近は黒ずむ(テネラル期に死亡したためこれが正常かは不明)

↓ 前胸は色付

↓ 羽化近し メス

 

↓ 2020.4.14羽化 メス 背板色付き

↑ ⇑ 蛹時に黒く見えていた場所

↓ 羽化終了 上翅に少し色彩が見られる

↓ 上翅は少しずつ色づいていく(羽化から14時間ほど経過メス)

 

ドウイロの腹部背面は節に沿って黒の縞模様になっています。

こういった特徴は、ムナコブクワガタやザウテルシカでも認められるため

熱吸収とか特別な理由があるに違いありません。

 

↓ 腹部背面には黒い縞がある(画像はメス)

↓ 羽化から20時間ほど経過    色はほぼ出来上がり!

↓ オスの蛹

↓ 羽化

 

画像のように羽化はしたのですが

体が固まるまでの期間(テネラル)にすべての個体が死亡しました。

また、幼虫の段階でも一部死亡がありました。

原因は確定していませんが

ニジイロでも同じような現象が起きたため

思い当たる節はあります。

今回はそれを使っていません。

仮に、採卵がうまくいけば

前回の死因も判明するのではないかと考えています。

 


ドウイロクワガタ・3-餌交換

2019-09-22 00:32:45 | ドウイロクワガタ

ドウイロクワガタ幼虫の餌交換をしました。

*カテゴリから入ると飼育過程等がつながります。

 

 

割り出し時は卵21個、初齢幼虫2頭でしたが

孵化しなかった卵や、初齢で落ちた個体もあり

生存していたのは11頭でした。

ドウイロクワガタは23度前後で管理すると

卵から3~4ケ月ほどで終齢になります。

 

↓ 終齢初期

↓ 雌雄判別しにくい

↓ 似たような幼虫形態はオーストラリア区にもいる

 

 

交換前のマットにはたくさんのコバエが湧き

劣化の進んだ部分も多く見られたので

ややリスクは伴いますが

全く新しいマットを用い、全交換をしました。

マットにコバエ類が発生した時

クワガタの幼虫に与える影響は定かではありませんが

少なくともマットは劣化していますので

今回は全交換を選びました。

 

 

 

親オスは羽化から半年ほどで死亡しましたが

母虫は今も生存しています。

ただ、採餌はするものの

6月29日の最初の割り出し以降

全く産卵していません。

こちらとしてはもう少し産んでほしいため

産卵を誘発できるかもしれない幼虫の食べていたマットで

再びセットを組んでみました。

↓ 母虫健在(羽化から7か月ほど経過)

↓ 幼虫の食べかすマットで再セット

↓ 産卵手掛かり用の朽ち木

 

市販マットへの信頼

今回全交換したマットは

市販のミヤマ用マット&低添加産卵マットを

約1:1でMIXしたものです。

よく使う安心マットです。

 

↓ 2種をMIX

 

実は、私にはマルバネクワガタを飼育する過程で生じた

市販マットへの不信感があるため

最近のマット選びは慎重になっています。

 

 

 

同じ日に同じ比率で作成したマットでも

あるメーカーの商品は特に問題なく幼虫が育つ。

あるメーカーの商品は奇妙なキノコが生えたり

マットに変色部が出来るなどして

幼虫の死亡率がうんと上がる。

などといったことを経験してしまうと

後述のマットは怖くて使う気になりませんし

系列商品(マット)や

製造元が同じOEMマットも避けるようになりました。

  

↓ 作成後数日で変色部が ~ マルバネ幼虫死亡

↑ ↓ キノコ?が生えてきた ~ マルバネ幼虫死亡

 


ドウイロクワガタ・2ー産卵

2019-07-07 23:37:57 | ドウイロクワガタ
ドウイロクワガタ前記事の続きです。
 
 
飼育の開始
 
入手した生体は
 
オスが2月中旬羽化、メスは2月下旬に羽化したものです。
 
ドウイロクワガタは
 
羽化してから産卵するまでに
 
時間のかかる時があると聞きましたが
 
それらを22度前後で管理すると
 
オスは羽化から約1か月で後食を開始し
 
メスは、後食はしていないもののオスを受けつけました。
 
 
 
 
 
このドウイロクワガタの産地は
 
チリのチランとありました。
 
 
チランが産地か集荷場かは不明ですが
 
調べてみると
 
チランは過去に大きな地震が起こった地域で
 
サンディエゴから400kmほどのところに位置します。
 
チリは、縦に細長く
 
端から端までは4000kほどあるようです。
 
気候としては
 
日本が夏の時、チリは大方冬
 
日本が冬の時、チリは大方夏といった気候らしく
 
ドウイロクワガタは日本の冬に
 
すなわち12月~初春のころに
 
現地で繁殖していることが推察できます。
 
 
 
 
本来昆虫は、緩やかに変わりゆく
 
気温と日長を感じ取り
 
休眠~覚醒を行います。
 
ドウイロクワガタが
 
しっかりした体内時計を備えていれば
 
人為的な環境の操作はまず通用しませんが
 
今ならギリギリ間に合うかもしれないと思い
 
活動を促すために
 
プリンカップに潜れない量のマットと
 
オスとゼリーと入れ、様子を見ました。
 
 
↓ 後食中のオス 羽化後約1か月(3月28日)
 
↓ マットを少なくして活動を促す(3月28日)
*効果は未知
 
 
↓ メスも後食をし、徘徊も始めた
 
 
 
配偶行動
 
ドウイロクワガタの交尾欲は強く
 
メスにオスを近づけると
 
すぐに交尾を開始し
 
終了後再び交尾を始めました。
 
また、交尾時間は長いものの
 
二回目以降でマルバネクワガタのような
 
精嚢かき出しは確認できませんでした。
 
 
↓ 1回目交尾時間34分
 
 
 
↓ 2回目交尾時間26分
 
 
↓ 終了
 
 
プリンカップでペアで飼育を続けると
 
メスは、やがて止まり木を齧るようになりました。
 
この行動はもしかしたら・・・
 
 
↓ 止まり木を齧るようになる
 
 
産卵セット
 
使用したマットは市販の発酵マットで
 
アンタエウスなんかが産みそうな質です。
 
一応朽ち木も埋め込んでおきました。
 
 
↓ 産卵セット マットは硬詰め
 
↓ 念のため朽ち木も(天然クヌギ)
 
↓ 上からマットをかぶせる
 
↓ メスを投入
 
 
 
産卵
 
2019年6月29日 
 
容器側面に卵を発見し
 
本日、七夕の日に掘り出しを行いました。
 
 
↓ 6月29日、卵発見
 
 
掘出し前の容器から見えていたのは
 
上画像の1卵だけで
 
しかもコバエが沢山沸いており
 
さほど期待していなかったのですが
 
いざ掘り出してみると
 
結構な数が出てきました。
 
また、卵は底部周辺のマットから発見でき
 
朽ち木は齧っていませんでした。
 
 
中には産卵間もないと思われるものや
 
孵化中の個体も見つかりました。
 
 
↓ 産卵間もないものは細長い(1.5mm程度)
 
 
↓ 孵化中
 
 
↓ すでに孵化していた個体
 
 
掘出し結果は
 
卵21個、初齢2頭の計23でした。
 
ただ、容器底部では1卵しか発見できず
 
それが少し気になることとして残りました。
 
 
性成熟までの時間
 
掘出しでは孵化間もない初齢が出てきました。
 
管理温度も加味して逆算すると
 
母虫が卵を産み始めたのは
 
3~4週間前と推察できます。
 
日付にして6月上旬です。
 
つまり母虫は
 
羽化から4か月以内に性成熟したことになります。
 
 
 
↓ 意外と早い性成熟
 
↓ 卵・初齢はブロー容器で管理
 
 
 
一般に、ドウイロクワガタの採卵は
 
さほど難しくないといわれています。
 
そういう種に限って
 
私のところでは産まないことがあるため
 
胸をなでおろす掘出しになりました。
 
 
 
 
ドウイロクワガタは
 
短命種ではないと聞きます。
 
可能な限り採卵してみく
 
2回目のセットを組み
 
ゼリーとオスを投入して棚に戻しました。
 
↓ ♂♀ともに元気
 

ドウイロクワガタ

2019-03-24 01:04:30 | ドウイロクワガタ

ドウイロクワガタ

Streptocerus speciosus Fairmaire,1850

体長:♂23.3~32.6mm
   ♀24.1~27.5mm

分布:チリ・アルゼンチン

↓ チリ産飼育個体






ドウイロクワガタは、一属一種のクワガタで

渋い黒銅色の光沢を纏い(まとい)

大あごや脚部、お腹などの金属光沢が更に綺麗な

わびさびクワガタです。










↓ メスはキンイロクワガタ属にも似る


↓ オスの触覚第1節は長い


↓ 背板縁取り



↓ オス腹面


↓ メス腹面


↓ 腹節に微毛



ドウイロクワガタは

以前から飼育してみたかった種ですが

なかなかそのタイミングが得られず

一時期に比べ流通量も少なくなってきました。

気が付けば市場価格は恐ろしく高騰しています。









一般に、ドウイロクワガタの飼育繁殖は

さほど難しくないといわれています。


入手した生体は

今年2月羽化したものです。

ドウイロクワガタは

羽化してから性成熟するまで

時間のかかる個体がいると聞きました。

私のことろでは

こういうタイプに限って産まなかったり

難しかったりすることがあります。





そうならないことを願い

今は20度ほどで管理して

成熟するのを待っています。





 
 
 おまけ
 
1994年、むし社から「世界のクワガタムシ大図鑑」が発刊されたとき

「どれどれ見てやろう」と

興味津々で1枚1枚めくっていくと

深く焼き付く種がいくつか出てきました。




カバー裏側のスイカ柄、ストリアータツヤクワガタ

オレゴンルリクワガタ・ムナコブクワガタ

アンタエウスオオクワガタ・アルキデス

そして、ドウイロクワガタ。





どれもこれも馴染みのシルエットからは外れ

ストリーアータに至っては

「柄まで付いたとんでもないクワガタだ!」。



*アナログ写真


あれから24年

現在ではオレゴンルリを除くすべての種が

生体で市販されるようになりました。


↓ *ムナコブ(アナログ写真)


↓ *ストリーアータ終齢幼虫(アナログ写)
 



当時、大人がクワガタを飼育するというのは

珍しがられ、理解されることは多くありませんでしたが

現在ではホームセンターでも普通に売られ

「クワガタを飼育というする」ということが

広く一般に理解されつつある趣味になったのは

うれしい限りです。




参考文献:

 水沼哲郎・永井信二,1994,世界のクワガタムシ大図鑑.
  むし社. 

 藤田宏,2010,世界のクワガタムシ大図鑑6,むし社.