テヌイヒルストゥスサビクワガタは、2010年に韓国で記載されたサビクワガタで
韓国ではチョウセンサビクワガタ Dorcus koreanus に次ぐ2種目のサビクワガタになります。
テヌイヒルストゥスサビクワガタ Dorcus tenuihirsutus Kim et Kim,2010.
体長:オスメスともに17㎜前後
分布:韓国(朝鮮半島)〜隣接する中国大陸の一部周辺
韓国で公表されているテヌイヒルストゥスサビクワガタ(以下、テヌイサビ)の分布地としては
全羅南道白羊寺、江原道嚢陽群などありますが
実際の採集は困難で、そう簡単に発見できる種ではないそうです。
また、灯火での発見も難しく、採集地の詳細は明かさない傾向にあると聞きます。
仮にそこそこの数がいたとしても
サビクワガタは隠蔽(周囲に溶け込む)が得意な上に、小さい、動かないなど
防衛術の優れた種なので、捕食者(採集者)には見えていても
捕食(採集)され難いということなのかもしれません。
2013年発行のStag Beetles of ChinaⅡで
図示された中国産テヌイサビに記された産地をそのままGoogleマップに貼り付けると
Henan=河南省(?)・Beijing=北京・Kangxian Gansu=甘粛省となりました。
テヌイサビの日本での流通は極めて少なく、調べてもあまりヒットしないので
ここではできるだけ多くの画像を掲載しました。
*画像はすべて飼育個体(江原道産)
↓ オス・メス
↓ オス・メス
↓ 雌雄ともに20㎜に満たない(物差し25㎜x25㎜)
↓ オス・メス・メス
↓ オス・メス
↓ メス・オス
↓ オスの頭胸部腹面
↓ テヌイサビ16㎜・ヤマトサビ22㎜ どちらもオス
↓ セスジサビD.carinulatus(台湾高雄)・タイワンサビD.taiwanicus(台湾奥萬大)
飼育個体の産地である江原道あたりは、新潟県とだいたい同じ緯度に位置し
夏季は27度くらい、冬季は氷点下になる日もあるようです。
現地の気候から推察すると、野外であれば今頃は休眠中で
実際に産卵するのは来年の春以降になると思われます。
飼育小屋の設定温度は現在19度前後ですが、やはりマットに潜って動かなくなってきたので
更に温度の低い床に置き、春まで休眠させます。
↓ 1オス2メス同居 2022年12月5日
↓ 産卵セットを組んだものの休眠
↓ 2Lブロー容器でセット完了! 底部5cmほどは硬詰め
ほとんど生態情報のないテヌイサビですが、来春には何としてでも採卵したい珍品です。
野外ではおそらくヤマトサビと似たような暮らしをしているのではないかと想像しますが
上翅の毛が目立たない種なので、下画像のような派手なカムフラージュはないかもしれません。
↓ 体に異物を付けカムフラージュしたヤマトサビ(オス)
参考文献:
Huang Hao &Chen Chang Chin, 2013.09.20.
Stag Beetles of China Ⅱ.Formosa Ecological Company.