クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

クルビデンス・13-赤いクルビデンス羽化と産卵

2022-11-06 23:19:39 | クルビデンス(bhutan)

前記事「赤いクルビデンス」の続きです。

昨年の春から計画繁殖したクルビデンス1代目が羽化し、産卵するまでになりました。

計画とは、昔懐かしい「赤いクルビデンス」を作ること。

 

↓ 日差しを受け撮影すると無加工でもこうなる

 

上画像は日差しを受けて撮影したため、誇張したかのように赤く映りました。

実物も確かに赤味はあるのですが、室内で見るとそこまで赤くはありません。

誰が見ても「お~〜!」というレベルではないのです。

また、1代目のオス群は、期待していたほど赤に偏るわけでもなく

これまでと似たような割合で黒〜赤味のある個体となりました。

 

 ↓ 前記事「赤いクルビデンス」

 

クルビデンス・12-赤いクルビデンス - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

ブータンのチュカ産クルビデンスが10代目になりました。8代までは累代を続けその後、種オスの関係でインライン2代、合わすと10代です。累代は進みましたが、それによる弊害...

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1代目の羽化

オスは7頭が羽化し、その中から最も赤みのある個体を次の種親に選びました。

↓ オスは2022年初夏までにすべて羽化

↓ 7オスから最も赤い個体を選ぶ(右下)

↓ 最も黒い個体と赤い個体

⇩ ⇩ 腹面はさほど変わらない

↓ 「赤いクルビデンス」2代目の種オス決定!

↓ 色は黒いがこれでも今年の最大個体 カワラタケを食わせるべきだった(?)

 

メスは6頭羽化しましたが

日差しを受けても背面で色の違いはほとんどわからなかったため

腹面でほんの少し赤みがかって見えた2個体を選びました。

選定した2メスの体長は42㎜と46㎜程です。

 

↓ メスは、2021年11月〜2022年4月に羽化

↓ 腹面でわずかに色の違いが見受けられた2個体を選定

↓ 左は選別洩れ、右は母虫に決定

↓ 2メスを使い2代目の繁殖開始

 

産卵確認

2代目の産卵セットは2022年10月8日に組みました。

セットは、市販の産卵木を15分ほど加水し、マットで埋めただけのもので

特にこだわる部分はありません。

10月にセットを組んだのは、メスの成熟期間を羽化から半年以上と考えたからです。

これで生まれてくる子供は、累代8代+親子間で2代+累代1代です。

同血としては11代目となり、かなり血の濃いブータンのクルビデンスとなりますが

累代による弊害などといった大げさなものは感じていません。

クルビデンスのように潜洞性が強く、縄張りを持つような種は

もともと遺伝子交流もさほど盛んとは思えないので

このまま累代繁殖が継続できるのではないかと思っています。

 

↓ 市販の産卵木を使用

↓ クルビデンス用とグランディス用 

 

セットから1ヶ月ほど過ぎ、朽ち木を齧った痕がちらほら見えます。

掘り起こしてみると卵が見えました。

本格的に割り出すのは来月です。目標は2メスで15頭の幼虫です。

 

↓ 2022年11月5日 2メスともに産卵を確認 事実上の11代目

 

計画2代目の結果が出るのは来年晩夏以降になると思いますが

親より赤いのが出れば計画は順調とします。

そして、次はカワラ菌床を使い、もう少し大型を羽化させたいですね。

 

↓ 左:種オス 右:子供(今回の種オス)さほど大差ない 

 

おまけ

幼虫の体重測定時に腹部の節あたりが変色した個体がいました。

同様の現象は他種でも見たことがあり、その時は既に死亡している幼虫でした。

今回は変色4頭のうち2頭は幼虫時に死亡しましたが

あとの2頭は無事に羽化して元気に餌を食べていますので

発症の原因はわかりませんが

幼虫にこのような症状が出ても死亡するとは限らないことがわかりました。

 

↓ 節間が変色  2022年3月15日

↓ うまくいけば75㎜を超える重さだった・・・(2022年3月15日)


クルビデンス・12-「赤いクルビデンス」とは何か?

2022-03-05 19:31:19 | クルビデンス(bhutan)

ブータンのチュカ産クルビデンスが10代目になりました。

8代までは累代を続け

その後、種オスの関係でインライン2代、合わすと10代です。

累代は進みましたが、それによる弊害と感じる事象はありません。

また、ブータンから野外個体の入荷は事実上ないので

今後も国内養殖物を飼育継続するしかありません。

 

↓ ブータンクルビデンス 80㎜ 77㎜up  75㎜up

↓ チュカ産飼育個体73㎜

 

「赤いクルビデンス」とは何か?

クワガタ生き虫界には「赤いクルビデンス」という言葉があります。

時は1999年11月、外国産クワガタムシの一部輸入解禁と

後に訪れるクワガタブームの少し前のことです。

当時、昆虫販売の最大手であった(株)奈良オオクワセンター発行の

「奈良オオクワセンターNEWS.1999.11」の中に

「ブータンの巻」というのがあり

そこにはブータンで見たクルビデンス7♂は

「直射日光にかざしてみた場合赤かった。」とありました。

それより先、1994年発行の「世界のクワガタムシ大図鑑1」には

bhutan産(1899)の赤いクルビデンスが図示されていたことなどから

「ブータンには赤いクルビデンスがいる」という話が

一部のマニアの間で語られていたため

ブータンのクルビデンスを巡り「NEWS」を前後して騒めいたわけです。

それが所謂「赤いクルビデンス」の所以(ゆえん)です。

 

 ↓ 奈良オオクワセンターNEWS.1999.11.より

↓ 奈良オオクワセンターNEWS.1998.7.より  最初のころは白黒

 

因みに1999年下期のクワガタムシ野外生体の相場はこんな感じでした。

 クルビデンス(タイ)75㎜ 2♀付=30000円

 クルビデンス(ネパールチャポリ山)74㎜ペア=150000円

 ネパールコクワ(ネパール)69㎜ペア=30000円

 グランディス(シャムヌア)83㎜ペア=60000円

 中国ホペイ(武夷山脈東部)60㎜後半ペア=35000円

 シェンクリング70㎜後半ペア=90000円

 台湾オオ(藤枝)70㎜(Gタイプ)ペア=100000円

 フェモラリスツヤ80㎜後半ペア=9000円

 フェイスタメルシワバネ(オクサパンパ)70㎜台ペア=30000円

 M.レギウス(カメルーン)69㎜後半ペア=190000円

 オオクワガタ(養殖物)76㎜オス単品=100000円

・・などなど 23年前のパラダイス!

 

↓ 「奈良オオクワセンター」の偉業が詰まる当時のNEWS

 

話は戻り、確かにヒマラヤ系と呼ばれるクルビデンスは

東に行くほど赤みがかる傾向はあるかもしれませんし

飼育でもうっすら赤い個体が出ることは珍しくありません。

そんなブータンのクルビデンスを懐かしむべく

昨年は、赤みのあるオスを種にブリードしてみました。

 

↓ 種オス=うっすら赤いクルビデンス(室内LEDシーリングライト下)

↓ メスは黒いのばっかり!(室内LEDシーリングライト下)

 

種オスは羽化不全の所謂「羽パカ」で、70㎜前半と小ぶりですが

5兄弟の中で最も赤みのある個体を選びました。

母虫はどれも黒く、似たようなものなので

とりあえず大きめの2メス(A・B)を使用しました。

どの親虫も2020年に羽化した個体で、餌をたくさん食べた休眠明けの完熟成虫です。

 

割り出し

この2年ほどはもっぱらマットに産卵させていましたが

今回は少し多めに幼虫を採りたいので材を使いました。

 

↓ 2021年4月23日セット〜6月5日割り出し

 

セットAからは卵5個・初齢幼虫5頭が採れました。

Bからは卵4個・初齢幼虫3頭が採れ、計17頭の飼育を開始しました。

 

↓ Aー卵5個・初齢幼虫5頭

 

卵はマットで保管、孵化するのを待って菌床に投入しました。

メスは孵化から7か月前後で羽化しますが

50㎜を超えるような大きな個体は出てきたことがありません。

最大で49㎜程度です。

 

↓ 逆さ向ける菌床を使用

↓ メス 羽化2日前 2022.2.21 

↓ 自然蛹室で羽化の始まり 2022.2.23

↓ メスは共生酵母の取り込みをするので「自然蛹室」で羽化させる

↓ 共生酵母の取り込みに関する記事

 

シェンクリングオオクワガタ・2-羽化 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめにこの記事には最後に『おまけ』があります。クワガタの蛹室について書いていますのでその部分だけでも読んでみてください。シェンクリングの羽化昨年7月13日に卵・初...

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↓ 昨年11〜12月羽化したメス、赤くはない

 

オスは現在終齢中〜後期で、今年の5月あたりから羽化が始まるものと思われます。

私の場合、クワガタムシの体色とか、形とかにこだわった計画繁殖の経験がなく

いつもとは違った感覚で羽化を楽しみにしています。

果たして「赤いクルビデンス」は出てくるのでしょうか?

 

↓ 親虫:室内LEDシーリングライト下

 

参考・引用文献:

 水沼哲郎・永井信二,1994,世界のクワガタムシ大図鑑1.むし社. 

 奈良オオクワセンターNEWS.1998.7 .(株)奈良オオクワセンター.

 奈良オオクワセンターNEWS.1999.11.(株)奈良オオクワセンター.

 奈良オオクワセンターNEWS.1999.12.(株)奈良オオクワセンター.     


クルビデンス・マット産み・11

2017-09-17 21:38:58 | クルビデンス(bhutan)

台風が近づいています。

嵐の前の静かなうちに

クルビデンスオオクワガタの掘り出しを行いました。

*タイトル後尾に番号のある記事は
カテゴリから入ると飼育過程等が繋がります



ブータン チュカ産


最近は朽ち木を使わず

マットだけでセットしているので

割り出しではなく、掘り出しです。

朽ち木に比べ、産卵数は少ないかもしれませんが

使い回しができ、取出しが楽、潰しなし、簡単。

私にはちょうどいいです。






↓ 7月の様子


↓ 今日の様子





今日の掘り出しでは卵3個と初齢1頭が出てきました。

セット期間は約1か月です。

マット産みの場合

底部・或いはケースに接触する部分に

産卵が認められる傾向にあります。


↓ 底部に産み付けられた卵



もともとセットは

1オス3メスのハーレムですが

8月に1メス死亡、今日も1メスが死亡しており

残り1メスになっていました。


↓ ハーレム最後のメス、符節取れ・スレ摩耗あり



そろそろ交代かな?

ということで

メスを入れ替えることにしました。

新しいメスは、今年の5月に羽化した個体の中から

大きなものを2頭選び、1オス2メスでの再スタートです。


羽化から4カ月強しか経過していないので

産卵には早いかもしれませんが

餌と隠れ家が確保できれば

喧嘩による致命的な損傷はないと思われます。


↓ 5月羽化






↓ 今年一番大きなメス




↓ オスに目立った損傷はない













クルビデンスは

昨年からほぼ常時 卵~終齢が存在するようになりましたが

多産することはないので

管理のしやすい種です。


おまけ

以前の記事「クルビデンス大物」で掲載した

34gの幼虫は羽化しましたが

蛹化前に暴れてしまい、70mm後半くらいに。

おまけに暴いた蛹室がボロボロと崩れていました。


↓ 羽化時に起き上がれなかった34g


↓ もう一つも大型で同じことに



せっかく大きく育っていたのにやらかしました。

こういう時のために

「人口蛹室」とやらを買っておくべきなのか?


クルビデンス大物・10

2017-05-27 17:21:34 | クルビデンス(bhutan)

ブータンクルビデンス(チュカ8代目)3メスのうち

1頭が先週羽化しました。

8代目最初の個体です。

↓ いつもの大きさ 5月18日羽化


↓ 残り2頭は来週羽化しそうな気配



8代目は今もなお、だらだらと生まれており

秋口にも羽化しそうなメスがいます。

一方、オスの年内羽化は3頭だけです。

今日はそのうちの2頭の餌交換をしました。


↓ 若い方、普通の大きさ



もう1頭は、前回4月7日の交換時に31gだったやつで

菌床の白いところが半分ほどになっていたため

仕方なく餌交換しました。


↓ 4月7日の餌交換時


↓ 5月27日現在



ご覧のとおり

懸念していた異なるメーカー菌床へのバトンタッチによる

拒絶もなく、更に大きくなったのがわかります。


この幼虫は、あと1か月は餌を食べると思いますので

もう少し大きくなるかもしれません。


私が焦がれて飼育するこの系統は

7代目くらいから総体的に大きいのが出るようになりました。

カワラ菌床がよくあっているのでしょうか?

このまま順調に育ってくれることを願い

菌床の蓋を閉じました。


クルビデンス・マット産み・9

2017-05-07 07:44:43 | クルビデンス(bhutan)

2017年5月6日

ブータンのクルビデンス割り出しを行いました。

正しくは、掘り出し。





前回の割り出しで残った硬い部分を2本埋めていたものです。

結果は0です。

齧った痕跡すらありませんでした。


↓ ハーレムで累代セット



容器下部の埋め込みマットは

一度も掘っていなかったのでカチカチに固まっており

幼虫の1頭くらい出てきてもよいのに・・・

などと思いながら

トレイに移してみました。

すると小さな幼虫が転び出てきました。


↓ まだ頭が白い



朽ち木が硬いため

マットに移動したものかと思いましたが

固まったマットを少しづつ崩していくと

卵と初齢幼虫が出てきます。

「クルビはマットにも産卵する」

という話は聞いたことがありますが

実際に経験するのはこれが初めてでした。

まるでマルバネ掘り出しみたいな感覚です。











この掘り出しで

マットから出てきた卵は9個、初齢幼虫は5頭です。

硬くしまった発酵マットも

産卵可能な範囲にあるということが

よくわかりました。




次のセットは

移したマットをふるいにかけ

容器底部に硬く強く詰めた後

荒いマットと木片を投入しておきました。

もちろん 朽ち木は入れてません。


↓ ふるいがけ


↓ カチカチに詰める


さて、どうなることやら・・・


今年のクルビデンス・8

2017-04-07 22:50:20 | クルビデンス(bhutan)

8代目クルビデンス(ブータンチュカ)のメスが

蛹室を作り始めました。

昨年秋に割り出した幼虫のうち

メス4頭が800cc菌床1本での

蛹化スタートになります。


↓菌床の白い部分は幼虫により破壊



一方、オス2頭は

800cc菌床の6割ほどを食したので

本日餌交換をしました。


↓ 餌交換前



交換に用いたカワラ菌床は今回初めて使用する商品で

オガの種類・配合も異なります。


↓ 強靭な膜を剥がす



この菌床に

投入したオス2頭がどのくらい順応してくれるか不明ですが

どちらもまだ成長過程にありますので

何とかなると楽観しています。



↑↓今年1月9日時点で2齢


交換完了



これら8代目は夏に産卵木を与え、秋にも冬にも与え

計画性のないことをしてしまったため

だらだらと割り出すことになりました。

今でも卵~終齢初期に至るまで各ステージがおります。

新しく謙価なカワラ菌床を見つけたけのに

計画しない繁殖のせいで

餌購入のタイミングが取りづらくなってしまいました。


↓親 7代目


クルビデンスとキマワリ・7

2017-03-05 23:13:24 | クルビデンス(bhutan)

今日、クルビデンスオオクワガタ(ブータン・チュカ8代目)の

割り出しを行ないました。

19度前後の温室に産卵セットを組んで

この季節に幼虫や卵が採れたのは初めてです。










捕食者の存在 

容器のフタをとり、マットを軽くどけてみると

何やら嫌な姿が見えました。

恐らくキマワリの幼虫です(以下キマワリ)。






↓ 画像左下にある穴はキマワリの坑道



一説にはキマワリ(幼虫)は

クワガタの幼虫を食さないともいわれているようですが

2齢幼虫程度の規模の食痕に

5mm程のきれいな穴が開いたものが幾つかあり

それを辿るとキマワリの幼虫は出てきますが

クワガタの幼虫は出てきません。

状況からしてキマワリに食されたと考えるのが自然です。

恐らくキマワリの幼虫は菌茎(朽ち木)だけでなく

肉食性もあるのでしょう。


↓ どちらの産卵木にもキマワリが・・・



ただ、キマワリが出てくるのは比較的大きな食痕からで

初齢幼虫の食痕からは1頭も出てきませんでした。

このことから

ある程度育った幼虫が主に狙われたように思います。


↓ 2本の朽ち木から計7頭出てきた



今回は、残念ながら幾つかの幼虫は捕食されましたが

卵・初齢・2齢合わせて15頭も採れたのと

メスがお尻から管を出して卵を排出する瞬間が見れたので

それで良しとしました。


↓産卵直後(産卵する瞬間の画像は間に合わなかった)



↑↓ 卵と初齢初期が多かった


クルビデンス8代目・6

2016-11-17 22:36:59 | クルビデンス(bhutan)

2016年11月6日に

ブータン チュカのクルビデンス割り出しを

行ないました。

*カテゴリーから入ると飼育過程等が繋がります。


↓種オス(7代目)


↓ 母虫











↑↓ 産卵は、硬いところから柔らかいところまで


↓死卵もあり、赤茶色


↓ 孵化直後、飼育第8代目に突入






↓カワラ菌床に投入




↓空気穴から出た実子は取り除きます



今回の割り出しでは卵・初齢合わせて10頭以上得られ

これで他種も含め、私が管理できる範囲の上限近くに迫りました。

「観葉植物用温室」満杯の手前です。


本来の大きさ

クルビデンスオオクワガタ Dorcus curvidens Hope,1840 の
(クルビデンスは1種と考えている)

野外最大級は80mmあたりにあり

飼育では80mmを軽く超える日本のオオクワガタ(野外個体)より

本来は遥かに大きいのです。



↓日本のオオクワガタ(飼育個体)



しかしながら、クルビデンスのメスは飼育でも

さほど大きくなりません。

私の飼育では47mm台が最大級となります。

7代目飼育オスの大きさからすると

もしかしたら

そのあたりがメス本来の大きさに近いのかもしれません。



↓7代目最後のオスは大型


最後のクルビデンス・5

2016-07-03 13:24:15 | クルビデンス(bhutan)

今年最後のクルビデンスが羽化しました(ブータン)

そして、これが飼育7代目最後の群でもあり

その内訳は、メス4頭・オス3頭の計7頭です。

*カテゴリーのクルビデンスから入ると飼育過程等が繋がります。


大きいやつは、最初から大きい

終齢幼虫と羽化時の大きさとの関係は

おおむね幼虫時の頭幅で推察できるため

頭幅の大きな幼虫には期待が高まります。






メスは、850ccのカワラタケ菌床1本孵しで

いつものような大きさです(46mm±)↓



オスの菌床リレーは

前回の記事「少しだけクルビデンス」で書いたとおり

2頭(①②)を3本の菌床で孵し(かえし)

あとの1頭(③)は2本孵しです。

 
①27g=蛹化5月9日~羽化6月11日
 



②32g= 蛹化5月30日~羽化6月30日




③? g= 蛹化5月31日~羽化7月1日



↓②③



③は終始菌床からなかなか姿が見えず

体重未測定のあまり気に留めていなかった個体です。


管理方法 

温度:15度前後~27度の範囲

菌床:安価系カワラ菌床800~1500のリレー




↓カワラタケ、膜が強靭で派手なキノコは生えてこない


餌交換
 :オス=菌床の白いところが3分の1くらいになったら交換
 :メス=800mm1本


暴れ対策その1(幼虫期)

菌床交換後に幼虫が容器内徘徊をしたときは

フタをキッチンペパーに替えると

少し落ち着くようになりました。


↓蓋をとり、キッチンペーパーに変える



↓終齢後期


そして、10日くらいでもとのフタに戻しました。


暴れ対策その2(蛹化)

卵から8~9ヶ月ほど経過したとき、幼虫は再び暴れ始めます。

それを蛹化へのスタート信号と判断して

目減りした菌床に発酵マットを適宜MIXし、硬詰めしました。

硬詰め後、②の幼虫は翌日に蛹室作成場所が決まったようです。






③の幼虫は、二日後に見た場所が蛹室となりましたので

その信号を見逃さなければ

効率よく蛹室場所を決定させられるように感じました。

①は、暴れずにすんなり蛹室作成。

今回実践したキッチンペーパーやマットMIXは

暴れ対策として広く知られている方法です。

私のところでも確かに効果がありました。


羽化までの期間

昨年の割り出し時には卵~2齢までのものが出てきました。

「私の管理方法」ということを前置きした上えで

初齢の場合は、産卵から最低でも1か月前後経過しているものと思われます。

2齢の場合は、産卵から最低でも1.5か月以上経過していると思われます。

蛹室作成から蛹化までの期間は

21日前後と意外に単日で

いずれも上部蓋近くに蛹室を作りました。

今回の場合、蛹化への信号把握が遅れてしまい

タイミングよくマットMIX菌床に替えていれば

減量も少なかったように思います。


蛹から羽化までにかかる期間は約1か月(オス)

メスが卵から羽化までに要する期間は7~8か月。



大型オスが卵から羽化までにかかる期間は

おおよそ10~11か月ほどです。











7代目最後のクルビデンスは

現在、テネラル(脱皮して本来の色・硬度等になっていない状態)につき

まだ少し縮むと思いますが

最大で70mm後半はあると思われ

親を超えるのではないかと思います。


↓最後の7代目①②③



そして、この夏が終わるころ

昨年羽化した同腹メスと

飼育8代目に向けて繁殖開始です。




↓昨年羽化のメス


少しだけクルビデンス・4

2016-03-19 23:18:31 | クルビデンス(bhutan)

種親死亡

2013年から飼育をしてきた

ブータンのクルビデンスが☆になりました。




メスは昨年の12月に、オスは今年2月に。

その間、毎年10頭ほどの子孫を残してくれました。





このクルビデンスはチュカ産の飼育代6代目になり

我家にやってきた年から4年近く経ちましたが

その子供たちは繁殖させていません。

したがって進んだ累代は1代で

今いる幼虫や成虫はすべて飼育代7代目になります。


欲のある幼虫餌交換

これまでの記事でも書いているように

私の飼育センスでは菌床交換しても

それに見合うだけの大きさに羽化しないことがよくあるため

今回も最後の菌床に朽ち木を埋めて

そのまま羽化させようと思っていたのですが

頭が際立って大きく見える幼虫が1頭いるため

ついつい欲が出てしまい

新たなカワラ菌床1.5Lに投入しました。


↓交換前 2か月半経過 カワラ1.5L


↓こちらはいつもの大きさでした

↑このサイズで75mm前後に羽化すると思います。

↓大きな頭をしていた幼虫



これまで見てきた頭とは明らかに違う大きさ

5カ月物のため、もう少し大きくなるような感じがします。

もしかして親より大きくなるのでは・・・





そんなわけで、欲のある餌交換をしました。

↓親78mm台




今年の繁殖

今年の繁殖は、昨年羽化したメスと

この夏に羽化するであろうオスとの組み合わせで

飼育代8代目に突入します。


↓摂食・休眠充分、昨年羽化のメス3頭



↑この姉妹は、上翅右側の会合線から数えて1~2列目の点刻列間の

胸部から腹部中央にかけての点刻がやや少ないように見えます。

やはり血統とか系統とか 

そういうものでしょうか?

また、この系統は800ml菌床1本で

46mm前後と粒がそろいます(♀)



↓この時点で蔵卵しているのだろうか?



実際の繁殖は秋になりそうですが

今年も10頭ほど子孫を残してくれたらよいと思います。

補足:
*タイトルに番号が打ってある記事は

 カテゴリーから入るとその飼育過程等が繋がります。


細々とクルビデンス・3 

2015-08-02 20:09:53 | クルビデンス(bhutan)

「菌床交換をしてもそれに見合うだけの大きさに羽化しない」

こういうことが私にはよくあります。





去年羽化したブータンクルビデンス2♂の体長は75mmUPでした。

それら2♂は800mlのカワラ菌床から

同1400mlに交換して羽化に至ったのですが

交換直後から大暴れし、目視で小さくなったのが判りました。


↓ 昨年羽化した2♂ 





そして、今年も2頭のオスが羽化しました。

それは「細々とクルビデンス・2」の幼虫編で書いた2頭で

800ml菌床の白いところがほとんどなくってから

そこに朽ち木を投入して羽化させた個体です。


↓ 朽ち木投入時に残っていた白い部分はこれだけ!


↓ 朽ち木をもう一段乗せて、食べかすで埋めます


朽ち木投入時の2頭の体重は共に27gで

それは、去年羽化した2頭より明らかに小さな幼虫でした。



↓ 蛹室作成中


↓ そして、羽化した今年の2♂ 共に72mm位





仮に朽ち木投入をせずに菌床交換していたらもう少し大きくなっていたのか?

それとも、さほど変わりはなかったのか?

その判断は難しいところですが

言えることは、朽ち木投入した2♂は殆ど暴れることなく

餌を食べ始め、羽化に至った。ということです。


2012年から継続して同じ親から採卵を試みていますので

今年も運よく幼虫が採れたら前回より大きい1400mlの同菌床でスタートし

白いところがなくなりそうになったら再び朽ち木投入してみます。


↓ 親のブータンクルビデンス





あわよくば親と同じくらいのサイズを出してみたいのですが

菌床交換しても、朽ち木投入でも残念ながら私の飼育センスでは

74mm前後の世界をうろうろと悲しい現実です。

はたして菌床餌交換のメリットはどこに?

それなら最初は大き目菌床、

最後は、安価で手ごろな朽ち木で十分なのかも・・・ 


細々とクルビデンス・2

2015-05-04 19:11:36 | クルビデンス(bhutan)

今日は,クルビデンスの幼虫と成虫をごそごそ・・・




成虫編

昨年夏に蛹の状態を確認していた

ブータンクルビデンスの掘り出しをしました。

最後の2♂♂です。

この2頭は昨年春にそこそこ大きくなっていたので

内心80mmUPを期待していたのですが

800mmエノキカワラ菌床から

同1400mmに交換したとき大暴れしたため

さほど大きくならないと思っていました。

そして、1とつ目の蓋を開けると 出てきました!

結構大きいのが!



↓ もう一つの蓋からも大型が姿をみせました。




向かって右の方が少し大きい




2頭とも思いのほか大きな成虫になっていたので

その時は、嬉しい気分になりました。

↓ こちらは昨年初夏に羽化した♀



ただ、気になる点が一つ

羽化して長く放置しすぎたため

「これらが健全な個体かどうか」ということ・・・




♀と1♂の一部脚部に麻痺らしきものが認められます。



それが長期放置によるものなのかどうか?



飼育する者として、複雑な気持ちでゼリーを与えました。


幼虫編

菌床ボトルに朽ち木を埋め込みました。

菌床の白いところは殆どなくなってしまい

通常なら新しい菌床に交換するのだと思いますが

今回は、代わりに朽ち木を埋め込みました。





使用している菌床は先述のエノキカワラ800mm

埋め込んだ朽ち木はコナラ・クヌギの産卵木

幼虫は2♂♂、半年物






埋め込みマットはそれまで幼虫が食べていた菌床のみで

白い部分は有りませんが、幼虫自身が作り上げた

マットです ↓


これが良いことかどうかは判りませんが

前から試したかったことです。




朽ち木を二段に埋め込んでいるので

幼虫は簡単には暴れることが出来ません。

2頭の♂は、羽化までここで暮します。


細々とクルビデンス・1 

2015-02-08 18:26:45 | クルビデンス(bhutan)

昨日、久しぶりの連休を利用してクルビデンスオオクワガ幼虫の餌替えをしました。

クヌギ・オオヒラタケ菌床200ccプリンカップから

エノキ・カワラタケ菌床800ccプラボトルへの交換です。


↓ オスの終齢幼虫 プリンカップの中は少し窮屈になったようです。



昨年11月はじめに割り出したときは卵と初齢幼虫合わせて10頭(個)でしたが

そのうちの一つは卵のまま菌に巻かれ☆になっていました。

残り9頭のうち終齢オスが4頭、終齢メスが3頭、後の2頭はまだ2齢で 

雌雄判別しないまま新しい菌床に移しました。


↓ 交換のタイミングはいまだによくわかりません。



↓ 交換終了



メスは7月くらいに羽化しそうです。

オスはもう一度餌交換して9月くらいに羽化しそうです。

そして、2齢が羽化するのは10月くらいになりそうです。

昨日の作業は特にこれといった変わったこともなく極々平凡に終了。

あまりにもあっけなく早く終わってしまったので

久しぶりに休眠中の親オスの様子をみることに・・・

こちらは唯一室内自然保管です。

生きてました ↓ 健在です



↑ 2013年5月に羽化、元親の出身地はブータンのチェカ


体長は78mmup、このくらいのサイズになるとそれなりの迫力があります。


↓ 体の厚みは薄く、樹皮下に隠れたりするのに有効です





ブータンのクルビデンスは「赤いクルビデンス」

として騒がれた過去があります。

インド~ブータンにかけて確かに上翅に赤みがかった個体も中にはいるようです。


↓羽化して数日経過したインドの個体(70mm前半)

ここまで赤い訳ではありません(アナログ写真)

Dorcus curvidens クルビデンスオオクワガタは

北東インド、ネパール、ブータン、ミャンマー

タイ、ラオス、ベトナム、中国南西部等に分布しています。

また、中国に分布するhopeiオオクワガタと本種との関係については

hopeiオオクワガタをクルビデンスの亜種とする考えがありましたが

中国の大揺山で本種とhopeiオオクワガタが

同じ木で同時に採集されたことでクルビデンスは独立種とする考えが

今の主流になりました(水沼 2000)

クルビデンスオオクワガタの大きさは野外では80mmあたりが最大級となりますが

飼育では85mmを超える個体も出ています(金井 2002)

この記録は今も抜かれていません

お化けです。


↓ ネパール産(70mm前半:アナログ写真)

↓ ラオス産(60mm後半:アナログ写真)

ここまで東南下すると大あごの形はずいぶん変わります。


クルビデンス野外生体は2000年前半にはアンタエウスのお供的(?)な感じで

比較的多くの地域から日本にもたらされていましたが

最近ではあまり入ってこなくなりました。



↑クルビデンスオオクワガタ(ブータン産)

去年はこの親から3頭の新成虫を得ました。

昨日餌交換した幼虫も同じ親からです。

種親(雌雄)はそれしかいません。

upしたブータンのクルビデンス画像は全て同じ個体です。

今年もこの親から一桁内採卵を試みます。

幅800mmx奥行400mmx高さ1500mmほどの植物用簡易温室に

余裕があるくらいの細々飼育、これが私の管理能力です。


参考文献

 水沼 哲郎, 2000.Stag Beetles Ⅱ.ESI. 
    
 金井 貴雅, 2002.LUCANUS WORLD 
       No.31.株式会社環境調査研究所.

 藤田  宏, 2010.6世界のクワガタムシ大図鑑.
       有限会社むし社.