クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

マグソクワガタ・11-発生の早まり

2024-04-27 20:44:30 | マグソクワガタ

山間部にあるマグソクワガタの生息地のこと

この10年ほどの間に発生が早まってきたと感じています。

日数にすると1週間程度。

発生は、その年の天候にもよることはよくわかっているつもりですが

それでも通い続けた20年を振り返ると、発生が早まったことを実感するようになりました。

日時:2024年4月27日 12:00〜14:30

天候:曇りのち晴れ 気温:23度前後・半袖で汗をかくくらい

今日は昆虫写真家のFさんが同行です。

Fさんは「動画と写真を撮り終えたらリリースする」というスタンスです。

↓ 昨年の洪水で砂場はほぼ消えていた!

↓ Fさんが石に付くオスを発見

↓ 日差しとともに地面から舞い上がったオス ピンぼけ

↓ ここにも潜むオス

探し始めはオスばかりで、メスを求めてうろついていると

飛んできましたメスが。

その後も飛翔するメスを数頭発見しました。

また、メスは着地が下手などと噂をしたら

それらしき物体が落ちるように着地したりして

今日は2時間半ほどで雌雄比率半々を見る完璧な調整日となりました。

↓ 追跡しながら捕えた最初のメス

↓ その後もいくつか捕獲

↓ リリース前のペア写真

川原では目的の雌雄を見ることができたので次は標高を上げ

コルリクワガタを探しに行きました。

 

おまけのニシコルリ

日時:2024年4月27日 15:45〜17:10

天候:晴れ 気温20度程度

場所:県下B山南斜面(このエリアはニシコルリ)

標高:約900m

↓ 例年に比べ雪は少ない

↓ ブナの芽吹きは良い感じ

↓ いました!オスが ピント合わず

↓ おそらく発生初期

↓ メス腹面は蕚(褐色のがく)にカムフラージュ

↓ ロードキル 緑のオオセンチ

今日はマグソクワガタ雌雄を見ることができ

おまけにコルリにも会えるという、我ながら抜群の調整日となりました。

Fさん、お疲れ様でした。


マグソクワガタ2018-幼虫

2018-08-05 23:04:42 | マグソクワガタ

2018年8月5日

春に採取したマグソクワガタの割り出しを行いました。


↓ 6月8日撮影



産卵のセットはプラケース小を用い

底部5cmほどは発酵マットを硬く詰め

その上に白枯れ朽木を置いて砂で埋めました。

そして、メス3・オス3を投入しました。

尚、成虫の餌はなしです(食べない)




↓ 緑線下部発酵マット・上は朽ち木と砂


↓ 5月19日 卵(マット内)


↓ 6月8日 画像中央 初齢幼虫 体長2~5mm


↓ 6月8日 卵と初齢幼虫



5月19日にケース底部側壁で発見した卵は

自然温で(15~27度 室内窓辺日当たり)

6月1日に孵化しましたので

産卵から孵化まで13日かかったことになります。

また、他の観察でも孵化までは2週間前後でした。


↓ 6月8日 雌雄ともに生存する個体あり



セットしてから3か月近く経過した7月中ごろには

ケース側壁や底部に沢山の幼虫が見られ

ざっと数えただけでも40頭。

かなり過密な状態になっていました。


↓ 割り出し開始


↓ マット内










↓ 親メス(死亡)



割り出しでは卵こそ発見できなかったものの

初齢初期から~終齢初期まで

各ステージが見つかりました。

そして、マットと砂の中から回収できた

幼虫の数は231頭で

この時点で親メス1頭当たりの産卵指数は77でした。


マットからの幼虫回収を終え

次は、握りこぶし大の朽ち木二つの割り出しとなったのですが

朽ち木内にいる幼虫は

朽ち木外周やマットに産み付けられた卵が孵化して

自力で穿孔した幼虫であるため

今回は朽ち木は崩さず

そのまま次の容器に埋めることにしました。

恐らく朽ち木の中にもそれなりの数の

幼虫がいるものと思われ

総数は250頭を超えるものと考えます。


↓ マットから朽ち木に穿孔途中の個体もあり


↓ 初~終齢まで各ステージあり





あるHPで

「マグソクワガタは朽ち木を齧って産卵する」

といった内容を見たことがありますが

私のこれまでの観察では

その外部周辺や、マット内の産卵は確認するも

朽ち木を齧った痕跡は発見できず

そういったことは確認できていません。


↓ 砂の中の終齢幼虫


↓ 砂から朽ち木に穿孔途中の終齢幼虫(8月5日)



狭いケースで窮屈に暮らしていた幼虫は

発酵マットを詰めた二つの容器に分け

少しは過密状態が緩和出来たと思います。

割り出し前には100はいると思ってましたが

実際は遥かに多く

ちょっとびっくりの割り出しになりました。

↓ 次の容器に投入


マグソクワガタ2018ーメスの大飛翔

2018-05-01 00:28:50 | マグソクワガタ

4月29日、先週に引き続きTさんと河原に行ってきました。


↑ 大きなメス

日時:2018年4月29日 13:30~17:10
         
天候:晴天 時折り微風 気温26度前後




メスの大飛翔

マグソクワガタは、総じてメスの発見が少なく

長野県で初めて発見されたときもオス3桁ほどに対してメスは0と聞きました。

同様に私の行く河原でもなかなかメスには出会えません。

↓ メス


河原で昼食をとりながら周囲を見ていると、ふわふわとオスが低空を飛翔しています。

↓ オス


雲一つない青空の下では小石や砂に手を当てるとかなり熱をもっており

生体が長らく静止できる状況ではありません。

↓ オス




食事が済んで間もなく上流から飛んでくるメスを捕獲しました。

先週の状況からオスが増えていることは想像していましたが

しょっぱなからメスが飛んで来るとは夢にも思いませんでした。

↓ メス

↓ 飛翔直前


その後も次から次へとメスが飛んでくるのでオスは無視してネットを構えます。

そんななか、その飛行ルート、行先等にも新知見がありました。
(「マグソクワガタの秘密」に追記予定)

↓ メス

↓ メスの飛行ルート中間地で調査中のTさん

↓ 中間地点のメス


マグソクワガタを始めてから13年になりますがこんな数のメスを見たのは初めてです。

約3時間半で捕獲しただけでもメス14頭(オス11頭)

このほかにも多くのメス・オスを確認しました。

↓ メス

↓ メス

↓ オス

↓ オス



↓ メス


正に性比は1:1、これを確認できた一日になりました。

そして、恐らくメスはこの日が今季最多の飛翔になり

日々姿を見るのが困難になっていくと推察します。

↓ メス

↓ メス

↓ メス

↓ オス

↓ すべてメス

↓ 日が陰りようやく終了

↓ リリース前の記念写真








採集した個体は出来るだけリリースするよう努めていますが

今回は、2ペアを持ち帰り飼育することにしました。

4月29日、次から次へと飛んでくるメスに圧倒された半日でした。

↓ 飼育の様子 



マグソクワガタ2018-休眠覚醒

2018-04-23 00:47:11 | マグソクワガタ

今年は春の訪れが早く

GWを前に週末は急激に気温が上がりました。

春の生物も平年より1週間ほど早いとも聞きます。

もしかしたら河原でも・・・


今日はTさんとマグソクワガタの発生状況を見てきました。






早い発生

日時:2018年4月22日 
   13:10~15:00/16:20~17:20

天候:晴れ 半袖で汗ばむ程度  時折り微風


現地に到着してすぐ目に入ってきたのは

ずいぶんと様変わりした河原の様子です。

毎年地形の変化はあるのですが

今年の河原は砂場が非常に少ないです。


↓ 過去にはここに沢山集まってきた



こんな状態で大丈夫かな?

不安を胸に歩き出すと

多くはありませんが

甲虫や蜂などが飛び交っています。




↓ 今年も紛らわしやつが・・・



おっ!

私がマグソクワガタ発生の指標としている

ハンミョウがいるではありませんか。







到着して10分を過ぎたころ

怪しげな飛翔物体を発見、すぐさまスイーピング。

いました、オスです。


↓ オス 13:25



春の河原に通い初めて13年になりますが

この時期にマグソクワガタを確認したのは初めてです。





今年は早いな~ などと思いながらしゃがみこんでいると

1メートルほど先にメスが着地。

「あわてない、あわてない」

オスを誘うコーリングを行っているかもしれません。

まずは様子をうかがいます。

が、オスの気配はいっこうにありません。

周辺にはいないのでしょう。

画像を残し、容器に移しました。


↓ メス 13:28





その後も石や砂場や飛翔個体を

一所懸命に探しましたが

本日発見できたのはオス5頭、メス1頭でした。







マグソクワガタのメスは

オスより5日ほど遅れて羽化しますが(飼育下)

その後の休眠~覚醒により

活動開始の足並みはだいたい揃うはずです。

今がその時です。

また、雌雄比率はだいたい5分5分です。

それからすると

メスはあと数匹はいると思うのですが・・・


↓ 捕獲後に撮影





2時間ほどの探索で

河原の状況がだいたい把握できたので

今度は少し標高のある山に向かいました。

そう

ブナの芽吹き状態と残雪を見に行ってきました。


↓ 標高を上げると谷筋には残雪が




↓ 倒木からコクワガタのメス



この山でコルリを探すのは初めてで

期待をしたのですが

残念ながらひこばえにその姿はありませんでした。



「マグソクワガタの秘密」記事に追記

2017-06-11 00:59:38 | マグソクワガタ

過去の記事「マグソクワガタの秘密」に追記しました。




「マグソクワガタの秘密」は

検索により閲覧されることが多いため

今年の飼育で得られたことをそちらに追記しました。




マグソクワガタの秘密
http://blog.goo.ne.jp/hiphop2121/e/241de3c578478328d6e8d334453a4d6b


マグソクワガタ2017,No.2

2017-05-15 22:22:58 | マグソクワガタ

5月14日、今年3回目の河原です。




天候:晴れ時々曇り

気温:23度前後

時間:12:40~14:45


河原観察のため自宅を出た直後、♪♪♪

Kさんから電話がありました。

「もしもし、今から河原と山」・・・

ということで急きょ二人で出発することになりました。


12時30分ごろ河原に到着し

ころあいの石に座って弁当の蓋を開けます。


目の前の小石に止まる個体や

飛翔する個体を目で追いながらの食事は落ち着きません。








あれから一週間、個体数は増えており

良い感じです。

今日は行けるかもしれない!

早々に食事を済ませ、メスの飛来を待ちました。



↑↓ オスにも探してもらう


↓ まぎらわしいコガネムシ


↓ これは間違わない


↓ 残念! オス



14時を過ぎたころ

Kさんの前を少し大粒が通過。

あわてて網を振り捕獲成功。

ネット深く入った大粒を覗きこみます。

お~メスや! メス!


↓ 普通サイズのメス



毎年焦がれて通い、何度かメスにも出会っていますが

捕獲は数年ぶりで

まるで初めて見たかのような感覚に落ち入ります。





捕獲したメスは

地上1メートルくらいの高さで上流から直線的に飛翔してきました。

やはり、メスの発見は大方このパターンになります。




その後もメスの飛行ルートで待ち伏せしましたが

追加の個体はありませんでした。


↓ 河原には流木が増え、環境は良くなりつつある



↑↓ メスの飛来を待つ



マグソクワガタに関しては

過去に飼育観察をしているのですが

改めて行ってみたく

今回は5オスと捕獲したメスを持ち帰りました。


↓ 自宅にて撮影(黒く大きいのがメス)









あとがき

今年の河原には何者かよくわからない獣糞が複数あり

それを見つけるたび、何やら心細くなります。

時々上流を見ては鈴を鳴らし、笛を吹いて

存在をアピールせずにはいれませんでした。


↓ 怪しげな足跡と右側の糞


↓ 獣糞に来た糞虫


マグソクワガタ2017,No1

2017-05-08 22:30:49 | マグソクワガタ

5月7日、今年2回目の河原です。




1回目は5月5日の17:20~18:10

短い時間でしたが経験者3人で探すも見当たらず。




5月7日・16:25~16:45

再び河原にやってきました。

天候:晴れ 風ほとんどなし

気温:20度程度


発生

河原に着くなり、目標目指して進みます。

ここ数年

最もマグソクワガタの集まるスポットを目指します。

16時30分

20cmほどある石の上に止まる個体を発見。


↓ 赤丸の中、地面を這うようにして探すべし



すぐ近くでも小さな流木に止まる個体を発見。

↓ 触覚を広げ、上流方向を向く



やはり発生していました。

この河原は、16時を過ぎると直射日光は殆ど当たりません。

この時間になると

たまに上流から私たちの頭上を通過する昆虫がいる程度ですが

それでもオスたちは

上流から飛んでくるメスを待っているのです。


↓ 特別高いところで待機するわけでもない



河原の雪解け水は冷たく

湿った砂はひんやりしていましたが

ついさっきまでの日差しで

乾燥した砂地や小石はほんのり温たかく

居心地がよさそうでした。


↓ ゴミムシダマシは精力的に活動中



恐らくもっと早い時間に到着していれば

活動中のマグソクワガタが観察できたものと思われます。

5月7日、河原の滞在時間は20分程度

次回は、マグソが先か



コルリが先か?




時間割に悩みながら河原を後にしました。


当日はオス2頭を持ち帰りました。

ほどよい環境で飼育すると

未交尾個体であれば、それなりに長生きします。

それによって採集当時の河原でのメス発生を推察します。


↓ 2オス 白いのは綿棒(自宅にて撮影) 


マグソクワガタ散見

2016-06-05 17:05:56 | マグソクワガタ

今年は、4月24日~5月15日までの間に

マグソクワガタの観察を5回行いました。

この季節はコルリクワガタとマグソクワガタが微妙にかぶります。





どちらかに絞ればいいのですが

それがなかなか難しく ”おあずけ” が出来ません。

観察・採集場所:分布最西方面 


4月24日の様子

時間帯: 14:00~15:35

天候:曇り 時々晴れ たまに微風

気温:麓21度±・現地17度±





今年最初の河原はまだ肌寒く

長袖一枚では少し厳しい日でした。

この分布地は川幅が狭く

大雨や台風などにより毎年毎年地形が変わります。

今年の河原には新たな流木があったり

狭いながらも幾つかの新しい砂地もできており

マグソクワガタを観察するには

ここ数年で一番良い状態となっていました。





しかしながら まだ気温が低いのと曇りということもあってか

河原を飛翔する昆虫は殆ど見当たらず

また、発生の目安となるハンミョウの姿もなく

マグソクワガタはまだ発生していないと思える状況でした。


5月1日 発生している!

時間帯:14:30~16:40

天候:晴れ 時々風
  
気温:麓24度・現地23




時々風は吹きましたが、基本良い天気で

直射日光のあたる石の上や砂地部はやや熱く感じました。

河原では大小様々な昆虫や、爬虫類等を見ることが出来ます。




 

↓獲物を探すキイロスズメバチの女王


↓ マグソクワガタ発生の指標としているハンミョウ



ようやく発見!

15時を過ぎたころに地面付近を飛翔するオスを発見。



その後も 地面付近を飛翔するオスを見ました。

更に15:58分、石の上に止まるオス1頭を発見。

確認できたのはこれで3頭目になりますが

いずれも河原に到着して探したはずの場所で発見しています。


3頭目の石に止まる個体を本日の観察の対象とし

少し離れてその行動を見守ります。





石の上では上流を向いて触覚を広げているときが多く

たまに方向を変え、地面を向いたりもしていました。







この個体は同じ石の上で約90分以上留まり

16:27分に石の上に積もった枯葉の中に隠れました。




↓このあと落ち葉の中に隠れます



そして、

16時を過ぎるころには飛翔する他の昆虫も極端に減ってきました。

当日発見できたマグソクワガタはオス3頭で

メスを見ることは出来ませんでした。

それにしても動きの殆どない観察は疲れます・・・
  

5月2日 増加 

時間帯:15:50~17:20 

天候:晴れ時々微風 

気温:麓25度・現地23度以上

この日はコルリクワガタを観察した後、この河原にきました。

少し遅めの到着でしたが 前回より個体数は増しており

飛翔する個体や、小石・草本に止まる個体を

複数見ることが出来ました。











河原には大小さまざまな石が転がっていますが

マグソクワガタ(オス)は

それらのより高いところに止まっているわけではなく

大して大きくもなく、何の変哲もない石の上や

砂地にいることが多いのです。

また、オスは地面付近を低空飛行しながらメスを探しますが

ある程度探して感触?がなければ

急に速度アップして場所を変え

やがて地面などに着地します。





この日は、17:15分でも

石の上に止まるオスを見ることが出来ました。

当日発見した数は20頭くらいだと思いますが

残念ながらこの日もオスばかりでした。


5月4日 

時間帯:11:25~13:20

天候:晴れ時々曇り 時折り風強い

この日の気温は未確認ですが、さほど上がってはいません。





河原の昆虫たちの多くは

風がなく、日差しのあるときによく飛翔し

影ると減少します。

その傾向は顕著で、紫外線の影響を受けていることが推察されます。


↓獣の糞に来ていた糞虫



この日はお昼をまたいで約2時間滞在しましたが

マグソクワガタを見ることはできませんでした。


5月15日今年最後の観察

時間帯:11:40~13:15

天候:晴天・時々強めの風

気温麓:29度 現地25以上





かなり良い天気で河原の石や砂地は高温になっていました。

飛翔する昆虫はそこそこいますが

地面で見つかる昆虫は少なめでした。


↓マグソクワガタのメスとよく見間違う


↓ 一瞬、新種のクワガタかと思いました!

↑オオヒラタエンマムシ

当日は、河原の上~下流をTさんと広範囲に調査しましたが

マグソクワガタは全く発見できませんでした。


最後に

今年は観察回数を増やせたにもかかわらず

残念ながらメスの姿を見ることはできませんでした。

マグソクワガタは、

飼育下ではオスより5日ほど遅れでメスが羽化します。
 
そして、13日くらいの間に全ての個体が羽化を終えます。

雌雄比率は当然五分五分です。


↓ 10年以上ここにある大きな埋木 恐らく発生木の一つ


↓参考画像 オスの羽化(アナログ写真)


↓メス 参考画像(アナログ写真)



今年観察した期間内に

メスも発生していたと思うのですが

出現のタイミングをつかむのは

本当に難しいと改めて実感しました。

また、日差しが強くあたる石や砂地に手を当ててみると

思いのほか高温になっており

マグソクワガタがそこで静止したり

活動できるような温度ではないようにも感じました。


↓石の質や大きさによって表面温度は異なる



日差しが少し和らぎはじめたころに

何度も見たはずの石上で

オスが発見できるのは、そういうことかもしれません。


マグソクワガタの夕方

2015-05-26 20:07:39 | マグソクワガタ

一昨日は、コルリ観察した後でマグソクワガタを

見に行きました。




現地到着は17:00頃

昼頃から活動が活発になるマグソクワガタにとっては

既に夕方。

日当たりの悪い川原には影がさしています。

前回見に来たときは早すぎてフライング!

今回は、時間遅すぎ。

↓ 河原には紛らわしい甲虫が毎回います・・・



未だに これを見つけたときは一瞬メスか?

と思ってしまいます。

実に紛らわしい。

そんな中、友人はマグソクワガタを発見しました。

オス2頭です。

いずれの個体も小石の上に付いていました。

もちろん(?)メスの姿や飛翔する個体を

見ることはありませんでしたが

思いもよらぬ夕刻の光景は

コルリクワガタの残像を一瞬で消してしまいました。

↓ 最初の一頭 17:15


↓ 次の一頭  17:30過ぎ



マグソクワガタのメスは交尾を済ませると

移動してしまうため(恐らく産卵)なかなか発見できません。

そのことは、

ピンポイント分布するこの河原では

特に喜ばしいことですが

ここは、他の産地に比べ 

「非常に条件が悪い」と精通した方から聞いているのも事実です。




「グソクワガタはこの周辺水域にも分布している」

と、私は考えてはいるものの

周辺河川を探しても探しても

いまだにその姿を見ることは出来ていません・・・


マグソクワガタの秘密

2015-05-06 23:25:56 | マグソクワガタ

マグソクワガタの秘密

GW最後の日、今日はマグソクワタについて

野外と飼育を通して私がこれまでに知り得たことを掻い摘んでみます。

尚、詳細な地名や場所を特定できそうな画像はありません。

*追記:2016年3月21日「メスの行方」
*追記:2017年6月10日「飼育下」

マグソクワガタ Nicagus japonicus Nagel,1928

分布:北海道・本州  

発生:おおよそ4月下~6月

観察期間:2005年5月4日~ 

場所:分布最西方面及び自宅


野外観察

野外での発生時期は、その年の天候によって若干のズレが生じますが

最も多く観察できるのは5月中頃でした。

観察は、天気がよく、風の少ない日のお昼前~16:00くらいまでがベストでした。

交尾


オスは、小石や草本、砂地などで触覚を広げてメスの飛来を待ちます。

待機するオスはある程度間隔をあけて止まっており

観察では、オス同士が戦うような場面は見ませんでした。

メスは、1~1.5m位の高さを直線的に飛翔してきます。

メスは、着地の瞬間に転倒する個体が複数観察できました。

↓ メスは、オスの二回りほどあり、まるで別物です

メスが着地すると付近にいたオスが歩行や飛翔して集まり

メスの激しい奪い合いが始ります。


その様子は、”おしくらまんじゅう”みたいな感じです。

↓ 発生木の一つと思われる埋木、増水時には水の中!

 1頭のオスがメスと交尾を成立させると他のオスは申し合わせたように散らばります。

また、オスは交尾を済ませたメスには興味を示しませんでした。

マグソクワガタの交尾はどうやら早い者勝ちのようです。

飼育観察(管理温度18~24度)生育ステージ(n43)



産卵場所は、朽ち木です(マットでも産卵するらしい)

卵の大きさは、直径約0.5mm程度です。

画像に写る卵(3個)には糸のようなものが付着していた記憶があります↓

孵化した幼虫はその年の秋には終齢となり、翌年の6月下旬に羽化しました(卵から13ヶ月

これでは当年の活動には間に合いません。

↓ 初齢~終齢幼虫


↓ 幼虫頭部

幼虫期での雌雄判別は私にはできませんでした。

幼虫は、触ると死んだふり(?)をします。

蛹の期間はほぼ16日です。

↓ 前蛹

オスが先に羽化をはじめ、5日ほど遅れてメスが羽化を始めます。

最初の羽化から最後の羽化が終わるまでに要した日数は13日で

2週間くらいの間に集中して羽化することが判りました。

羽化にかかる時間は約1時間。

↓ 1メモリ1mm


昼夜問わず羽化します。ラッシュ!ラッシュ!

↓ 蛹時に後翅にマダラ模様が付きます

↓ 横向きのまま羽化してしまいました


後翅は暫くはたたんだままで横向きから体制を整えたら後翅を伸ばし乾かします↓

横向きのまま羽化(脱皮)した個体でも、羽が変形したり、はみ出したりする

所謂羽化不全のようなことにはなりませんでした。

雌雄の比率はオス47%・メス53%の五分五分

↓ オス

↓ 羽化翌日の2オス


その他

飼育下ではオスは交尾後1週間程度生存していました。

交尾の時間は10分~

交尾を済ませたメスは地中に潜り、画像のメスは20日間潜りっぱなしでした。

2頭のメスから採れた卵の数は、68個

メスと同居させずに飼育したオス5頭(未交尾)の中には

翌年の5月まで生存した個体がいました(殆ど潜りっぱなし)

つまり、一度外界に出てきたオスが次の春まで生存したということです。

また、雌雄ともに摂食(ゼリー)する姿を見ることはありませんでした。

考察

中期に渡り観察をしてきたマグソクワフガタですが中でも興味深かったのは

①交尾直後のメスにはオスが振り向かないこと(野外観察)

これは、メス或いはオスによる何らかの信号があるものと想像します。

②未交尾のオスが飼育下ではその次の春まで生存したこと。

飼育という特殊な環境下での出来事とはいえ、思いのほか長生きすることを知りました。

↓ オス野外個体

この時の観察では7月・8月に地表に現れた個体も確認したので

もしかして・・・という思いが今でもあります。

③卵には糸のようなものが付着していたこと。

この時の記録メモをしていませんが卵と糸が繋がっていたと記憶します。
                                                                                   
追記:メスの行方(ゆくえ)

マグソクワガタは、メスを発見できるチャンスが非常に少なく

その行動はまだよくわかっていません。

飼育では雌雄の比率は五分五分ということが検証できました。

観察場所では、交尾を済ませたメスはしばらくすると川上に飛んでいきます。

このメスの行方を幾度か追ってみたのですが

途中の水流と石のぬめりに足をとられ、見失うばかりでした。

恐らく産卵場所へ移動しているものと推察しますが

まだ確認するには至っておりません(2016.3.21)

追記:飼育下(2017年6月10日)

今年は久しぶりに飼育をしました。

過去も含め、野外から持ち帰ったマグソクワガタの交尾成立を見たことがありません。

それは今年も同じでした。

↓ メスに乗るオスを乗り越え、後ずさりしてそのオスを排除する

↓ 排除されないよう前方に移動してメイドガードするオス

↓ メスは、どのオスも受け入れない


↓ メスはオスを受け入れない





↓ いくら試みても交尾は成立しない

マグソクワガタの産卵セットはマットでもよいみたいですが

観察するには現地に近い条件でセットする必要がありました。

↓ 川砂

↓ 産卵セット 朽ち木を砂で埋める

↓ セット完了

セットから20日ほど経過したころオスは砂の上で死亡しており

その後メスも砂の中で死亡しているのを確認しました。

そこで産卵の有無を確認してみたところ幾つかの卵を見つけることが出来ました。

↓ 画像中央と中央左側

↓ 画像中央、卵の大きさは1㎜あるかないか

マグソクワガタは、他のクワガタとは異なり朽ち木を齧って産卵はしません。

朽ち木の表面に産み着けられた卵はやがて孵化し、幼虫は朽ち木の中に入って行きます。

また、先の飼育観察の項でも書いてますが、卵は糸のようなものと繋がっている場合があり

それが朽ち木に起因する菌系等によるものかどうかは残念ながら今回もわかりませんでした。

また、卵は割り箸などで触れるとくっつきます。

↓ 卵は何かとつながっているため、宙に浮いたようになる

↓ ぶら下がった卵(中央の白ぼけ)

*画像はすべて2017年撮影

余談~出会い

過去にマグソクワガタの野外観察をしていた時

2人の男性がカメラを持って河原に降りてきました。

「?」漁業組合の入場券確認かと思いながら観察を続けていると

「マグソクワガタですか?」と声をかけられました。

「はいそうです。」

その方は、ここでマグソクワガタを最初に発見された方でした。

なにを隠そう 私はその方の撮られた写真(図鑑)を頼りに

高山性のクワガタをそれまで探してきたのです。

そして、もうお一方も聞き覚えのあるお名前・・・

「え~っ!!」とても衝撃的な出会いでした。

今でも昨日のことのように思い出します。

その節は、いろいろな知見と情報を頂きありがとうございました。

最後に

今日は、私がこれまでにしたためてきたマグソクワダタのことを

私なりに簡潔した形で書いたので説明不足も多々あると思いますが

過去の文献や他者URL等で記述されていないような事柄を出来るだけ選びました。

また、限られた範囲での観察のため特殊な例を見た可能性もありますので

これ以上踏み込んだ推測は控えます。


↓ 三段目右2頭がメス(全て野外個体)


以上、私の見た「マグソクワガタ」でした。

*追記:2016年3月21日「メスの行方」
*追記:2017年6月10日「飼育下」
*追記以外の画像はすべてアナログ写真

参考文献:
 田花雅一・奥田雅雄,1992.マグソクワガタについて.月間むし(256).

 高橋寿郎,2000.きべりはむし(28-1).

 高橋寿郎,2000.きべりはむし(28-2).

 藤田宏,2000.新潟県小千谷市のマグソクワガタ.月刊むし(356).

 藤井弘,2005.春のもう一つのクワガタムシ.KUWAGATA MAGAZINE(24).


マグソクワガタ~フライング!

2015-04-29 23:02:34 | マグソクワガタ

今日、マグソクワガタを見に行ってきました。

結果はボーズ、まだ発生していないようでした。

↓*参考画像:アナログ写真


場所は本種分布西の方・・・




現地の天候:曇り 

気温:20~21度くらい 風:時折微風




マグソクワガタは、画像のようなところの

砂地や石や草本に付いています。



この河原は幅が狭いため、増水や雪崩からの

ダメージを受けやすく

毎年地形が変わってしまう特異な場所です。



増水時でもよどむ場所に居座るこの朽ち木は

10年以上前から移動していません↓ 


↑ 発生木の一つではないかと思っています。



ハンミョウは発生していました。



この小さなコガネ虫の飛翔に惑わされました。





数百m下流も探しましたがいませんでした
↓(ここにはいた試しがない!)



残念ながら今日はフライングをしてしまいましたが

マグソクワガタについては 

これまでにしたためた記録がありますので

次回は、その生態など記してみたいと思います。

 
↓ *参考画像:2006・アナログ写真 
    羽化翌日の♂♂


* 余談

この河原では毎年のように獣の死骸を発見します。

イノシシとか、シカとか・・・

今年は3頭のシカでした。

何者かに食べられたのでしょう。

周辺に散乱していた毛の付いた足は何ともリアルで

厳しいものがありました。