あまのはらふりさけみれば・・・・

北京で単身赴任生活2年、帰国後も中国ネタを書き綴ります。

流星ひとつ

2014-03-30 11:17:33 | 日記
 10月末に北京を訪れた知人が、日本から持参するお土産のリクエストを訊いてくれた際にこの本を
所望した。

 昨年、緊急出版された、30年ほど前のインタビュー、訊き手で作者は沢木耕太郎氏、インタビュー
の相手は、昨夏に自死したとみられる歌手の藤圭子さん。
 子供心に綺麗な人だと思っていたし(ませガキ)、独特の歌い方が記憶に残っていた。
 今となっては、宇多田ヒカルさんのお母さん、と言ったほうが分かり易いのかもしれない。

 所望した理由は、インタビューの内容もさることながら、沢木氏はあとがきで一体、出版の意図を
どう説明するのだろうか、ということ。死人に口なし、反論できない藤さんの発言をどうして死後に
世に出すのか、卑怯ではないか、という気持ちが強かったのだ。

 しかし実際に読んでみると、そこには藤さんの真っ直ぐな人柄と、真っ直ぐな生き方が、淡々と
綴られており、数々のスキャンダルの裏側や、あの有名な「夢は夜ひらく」の中の歌詞のエピソード
など、読ませる内容だった。

 読んでいくうちに沢木氏の出版意図は、藤さんの名誉回復の意味が一番強いように思われた。

 ただ、やはり内容の真偽を検証できる唯一の相手方がこの世を去った後に、一旦出版を封印した作品
を世に出すことは、やはりひっかかりがある。
 下世話な週刊誌の中には、沢木氏と藤さんの仲を勘ぐるものもあって、それはどうかと思うけれども
御本人御存命のうちに出して欲しかったというのが、やはり読後感。

 ともあれ、ご冥福を祈り合掌。