種田山頭火というと放浪の俳諧師として知られる一風変わった人物である。
早稲田大学文学科を中退。生家が破産し、以後、修行僧の如き托鉢姿で各地
を放浪して歩く。
他人の家の前に立ち、施しのコメや金銭を受けて回って暮らしていたのである。
笠へぽつりと椿だった 山頭火
この句は山頭火が托鉢行脚姿で歩いているときに、上からぽつりと椿が落ちて
きて、かぶっている笠の上に落ちたのであろう。目の前には椿が咲いており
地面には落ち椿が散らばっている。
托鉢姿でなければ体験できないシチュエーションである。
俳句というより自由律詩とよぶべきかもしれない。