
アケビ
今回も特にお土産を買うつもりはなかったのですが、絵のモデルになりそうで買えそうなモノがあればとお店をチラチラ見ながら歩いていました。
妻籠のお店の棚に値段の付いていないイガつきの栗が並んでいて欲しくなりました。
「あの棚の栗、分けていただけませんか」
「あれは売り物ではなくてね。もうイガが茶色くなってね」と。
「茶色くてもいいのですが、ダメですか」と私。
「良ければ差し上げますよ。売り物でないからお金はいただけません」
そう言って袋に入れてくださいました。

いただいた栗
それでもただと言う訳にはいかないので店先にあった真っ赤な唐辛子の枝を一束買いました。
「裏の山の方に行かれたら栗の付いた枝があるから好きなのを折っていいですよ。収穫は終わってるから後は落ちるだけですから」と言われます。
そう言われても、他人の山に勝手に入って採る訳にはいかないです。コスモスの家の方といいこのお店の方といい皆さん細かいことを言われない。土地柄でしょうか・・・勝手にどうぞってなかなか言えないとことと思いました。
小さなリュックに新聞紙で包んだ唐辛子を突っ込むと丁度赤い唐辛子が顔を出します。白髪頭に黒いリュック、間にのぞく赤い唐辛子、後ろ姿がきれいでいいじゃないかとそのまま背負って歩きました。

唐辛子
それから少し歩くと戸をいっぱい開け放った縁側に細々並べた店にプラスチックの容器に入ったアケビがありました。白っぽいアケビですがいい具合に開いてモデルにも食べるのにも良さそうです。1パック200円、驚きの安さですが、持って帰ることを思うと1パックしか買えません。添えられた枝についているのは三枚の葉なのでミツバアケビかな。次々に覗いて行く人はいても誰もアケビには興味がないようでした。だからこんな値段でいくつもあるんだわ、もったいないこと。これは潰さないようにそっとリュックの上の方に入れて、いただいた栗は下の方へ。
街道沿いには栗きんとんや栗のお菓子の看板が多くて、今が旬なんだと思いながらも並んでまで買う気にもなれず、買っても自分用に2個、それなら夕食用のお弁当買った方がいいかしらと夢の無い結論になりました。


買ったアケビは家に帰って何枚かスケッチしてから実をスプーンですくって食べました。トロリ、ネットリとして甘い。甘いものがない時代、きっと収穫が楽しみだっただろうと思いながら食べると黒い粒々の種が多すぎて、ぺっぺとしながら食べたのは二つ。
そして残ったアケビの皮は挽肉とキノコを味噌で味付けして詰め、フライパンで焼いてアケビの肉詰に。以前、開田高原の宿でいただいて初めて知ったものです。その後ブロ友さんの記事にもあってアケビが手に入れば作ってみたいと思っていました。今回やっと手に入ったのです。
多めの油でゆっくり火を通して出来上がり見た目は、う~~ん、どうかしら。
食べれば柔らかくなった皮がちょっぴりほろ苦くて美味しかった。秋の夜長、これを肴にして一杯なんていいだろうなと思いながら下戸の私は新米のご飯をお代わりしました。おかずにしても味噌の風味が美味しかった。
アケビに栗に唐辛子、自分へのお土産になりました。
思い付きで出かけた一日旅、その割には充実した楽しい時間を過ごすことが出来ました。
おしまい。
街道テクテク は今日で終わります。訪問有難うございました。
明日から私にしては忙しく、今週はブログお休みするかと思います。どうぞよろしく。